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第十三章
体育祭④
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グラウンドに出ると、観覧席はすでに保護者でいっぱいだ。わが子の姿を残そうと、カメラやムービーを構えている。
空は晴れ渡り、11月にしては暖かい。
校長先生の開会の言葉があり、生徒代表が選手宣誓をする。
そして、『パーン』と大きな始まりの合図がなり、体育祭が始まった。
徒競走、綱引きの後、借り物競争でかなりの盛り上がりをみせる。
腕時計、水筒、おにぎり、メガネ――。
「おにぎりなんて持ってる人いる?」
「おにぎり当たったら最悪だね」
朱里と会話しながら見ていると、おにぎりを引いた三年生の男子は迷うことなく観覧席の方に向かっている。そして、在校生の兄弟なのか小さい子供を連れたお母さんが多いところへ行き、おにぎりを持っているか聞いているようだ。そして、驚くことにおにぎりを借りて一番でゴールしたのだ。
グラウンドからは、大きな拍手が沸き起こる。先生達も、なぜかテントの下で驚いた顔をしている。きっと、テントの下で準備していたのだろう。
案の定、クラスの女子達が大騒ぎしている声が聞こえてくる。
「ねえねえ、今の先輩だれ?超カッコ良かったんですけど」
「私知ってるよー。フフッ」
「もったいぶらずに教えてよ」
「サッカー部だった西田先輩」
「あー、聞いたことある。きっと、部対抗のリレーにも出るよね」
「彼女いるのかな?」
「それは知らない」
おにぎりの先輩は西田先輩だとわかった。
「みんな凄いね」
「そうだね。三年生とは普段あまり接点がないからかな」
「朱里ちゃんの気になる人も楽しみ」
活躍する先輩を見るたびにクラスの女子は盛り上がっていた。
その後も競技が続き、玉入れの番が来た。各チームの学年混合で行われる。いよいよ由奈と朱里の出番だ。
由奈が必死に籠に向かって玉を投げている姿をどこからか父と母が見ているのだろう。地味な競技ではあるが、勝ちたいと必死で投げ続けた。由奈達のチームが勝利し、チーム得点を稼ぐ。席に戻るころには、思っている以上に嬉しくテンションが上がっている。
空は晴れ渡り、11月にしては暖かい。
校長先生の開会の言葉があり、生徒代表が選手宣誓をする。
そして、『パーン』と大きな始まりの合図がなり、体育祭が始まった。
徒競走、綱引きの後、借り物競争でかなりの盛り上がりをみせる。
腕時計、水筒、おにぎり、メガネ――。
「おにぎりなんて持ってる人いる?」
「おにぎり当たったら最悪だね」
朱里と会話しながら見ていると、おにぎりを引いた三年生の男子は迷うことなく観覧席の方に向かっている。そして、在校生の兄弟なのか小さい子供を連れたお母さんが多いところへ行き、おにぎりを持っているか聞いているようだ。そして、驚くことにおにぎりを借りて一番でゴールしたのだ。
グラウンドからは、大きな拍手が沸き起こる。先生達も、なぜかテントの下で驚いた顔をしている。きっと、テントの下で準備していたのだろう。
案の定、クラスの女子達が大騒ぎしている声が聞こえてくる。
「ねえねえ、今の先輩だれ?超カッコ良かったんですけど」
「私知ってるよー。フフッ」
「もったいぶらずに教えてよ」
「サッカー部だった西田先輩」
「あー、聞いたことある。きっと、部対抗のリレーにも出るよね」
「彼女いるのかな?」
「それは知らない」
おにぎりの先輩は西田先輩だとわかった。
「みんな凄いね」
「そうだね。三年生とは普段あまり接点がないからかな」
「朱里ちゃんの気になる人も楽しみ」
活躍する先輩を見るたびにクラスの女子は盛り上がっていた。
その後も競技が続き、玉入れの番が来た。各チームの学年混合で行われる。いよいよ由奈と朱里の出番だ。
由奈が必死に籠に向かって玉を投げている姿をどこからか父と母が見ているのだろう。地味な競技ではあるが、勝ちたいと必死で投げ続けた。由奈達のチームが勝利し、チーム得点を稼ぐ。席に戻るころには、思っている以上に嬉しくテンションが上がっている。
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