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第十三章

体育祭①

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 文化祭と中間テストが終わると、次は体育祭。

 以前は10月に体育祭、11月に文化祭だったのだが、年々気温が上昇し9月から10月上旬は暑い日が多い。熱中症対策から体育祭と文化祭の時期を変えたのだ。結果、文化部の三年生の引退が以前よりも1カ月ほど早まった。けれど反対の意見はなく、文化部の受験生にとっては勉強時間が増えてプラスになっている。

「ゆーちゃん、どの競技を希望する?」
「朱里ちゃんは?」
「私、リレーとか目立つ競技は嫌かも……」
「わかる~」

 リレーは、間違いなく盛り上がるが注目されてしまう。運動は嫌いではないが、目立つほど早くはない。

「玉入れとか団体競技がいいな」
「私も」

 運動が得意な瑞希は、体育祭でクラス対抗リレーに選ばれていた。体育祭後の交換ノートには、2位でバトンが回ってきて、接戦だったがなんとか1位でゴールできたと書いてあった。交換ノートを読んだだけで、光景を想像して興奮してしまう。瑞希の走りを見てみたかった。きっとカッコよく盛り上がったに違いない。

 文化部が文化祭で発表するように、体育祭では運動部の部活対抗リレーがある。すでに引退した運動部の3年生がメインで出場し盛り上がる。

 小学校の運動会は学年で競技が決まっているが、由奈の通う中学では、競技毎にクラスで何人と人数が決まっていて、チーム対抗で競うのだ。

 各チームには応援団があり、部活を休んで放課後に練習するほどの気合いの入りようだ。姉の話だと毎年かなり盛り上がるらしい。

 普段はやんちゃで先生に怒られることが多い男子が、このときばかりはと立候補するのだ。

 中学生になって多くの子が、大人になる過程の思春期を迎えている。

 個人差はあるけれど、心と体のバランスを保つのが難しい時期……。

 親や先生に露骨に反抗している子もいれば、一人で悩み閉じこもってしまう子もいる。

「田中くん、気合い入ってるね」
「普段は先生に怒られてばかりなのに……」
「本当に……。反抗ばかりしてるイメージなのに、頑張っている姿を見て見直したわ」
「私も」
 

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