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第十一章
平和な学校生活①
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翌日のテストの日、絵里香達をはじめとする昨日親が呼び出された生徒達は欠席していた。もちろん美雪の姿もない。
課題テストは、夏休み図書館で頑張ったこともあり、由奈と朱里は満足のいく出来だった。
ここからは、文化祭に向けて忙しくなる。
けれど、気になるのは美雪のこと――。
◇◇◇
真鍋先生に話をしてから数日後の放課後だった。
由奈と朱里は、前回の会議室に呼ばれた。
『コンコン』「はい」返事と同時に中から扉が開いた。
「待っていたわ」
真鍋先生が出迎えてくれ会議室に足を踏み入れたのだが……。
会議室には、一年生のクラス担任全員と学年主任が揃っていた。こちらに背中を向けている制服を着た子と保護者の姿もある。
「「……」」
驚いて思わず入口で立ち止まってしまう。
「さあ、こっちよ」
物々しい雰囲気の会議室に緊張が増す。
用意されていた椅子に座ろうとした時に、制服姿の子がこちらを見た。
「「ええ⁈美雪⁇」」
髪の色は元に戻り、長めだった髪が肩くらいの長さまで切られてスッキリしている。
「アリガトウ……」
先生達が揃った室内で雑談できるわけもなく、小さくお礼の言葉だけが美雪から紡がれた。どうしても伝えたかったのだろう。
「竹内さん、北川さん、今回は君達のお陰で問題を一つ解決できた。感謝している」
「ありがとうございました」
美雪の母親が目を潤ませお礼の言葉を口にした。
「真鍋先生から君達の話を聞いて、学年でこれからどうするべきかを再度話し合ったんだ。学校側は藤井さんが風紀を乱している一員だとの認識で、置かれている立場を全く理解できていなかった。われわれ教師には微妙な関係が見えていなかった。藤井さん自身の意志で髪の色を染めたり、注意されるようなことをしているんだと思っていたんだよ」
「ふたりが話をしてくれてすぐに、学年主任と一緒に藤井さんのお宅に話を聞きに行ったの」
真鍋先生が由奈達の話を聞いてすぐに動いてくれたのだ。
「藤井さんのお母様も、娘さんの変化に戸惑うばかりで、詳しくはわからないままだった。帰りが遅い日があったり、急に髪を染めたり、小学校を卒業してからの急激な変化にショックでどう声をかけていいかわからなかったらしい」
課題テストは、夏休み図書館で頑張ったこともあり、由奈と朱里は満足のいく出来だった。
ここからは、文化祭に向けて忙しくなる。
けれど、気になるのは美雪のこと――。
◇◇◇
真鍋先生に話をしてから数日後の放課後だった。
由奈と朱里は、前回の会議室に呼ばれた。
『コンコン』「はい」返事と同時に中から扉が開いた。
「待っていたわ」
真鍋先生が出迎えてくれ会議室に足を踏み入れたのだが……。
会議室には、一年生のクラス担任全員と学年主任が揃っていた。こちらに背中を向けている制服を着た子と保護者の姿もある。
「「……」」
驚いて思わず入口で立ち止まってしまう。
「さあ、こっちよ」
物々しい雰囲気の会議室に緊張が増す。
用意されていた椅子に座ろうとした時に、制服姿の子がこちらを見た。
「「ええ⁈美雪⁇」」
髪の色は元に戻り、長めだった髪が肩くらいの長さまで切られてスッキリしている。
「アリガトウ……」
先生達が揃った室内で雑談できるわけもなく、小さくお礼の言葉だけが美雪から紡がれた。どうしても伝えたかったのだろう。
「竹内さん、北川さん、今回は君達のお陰で問題を一つ解決できた。感謝している」
「ありがとうございました」
美雪の母親が目を潤ませお礼の言葉を口にした。
「真鍋先生から君達の話を聞いて、学年でこれからどうするべきかを再度話し合ったんだ。学校側は藤井さんが風紀を乱している一員だとの認識で、置かれている立場を全く理解できていなかった。われわれ教師には微妙な関係が見えていなかった。藤井さん自身の意志で髪の色を染めたり、注意されるようなことをしているんだと思っていたんだよ」
「ふたりが話をしてくれてすぐに、学年主任と一緒に藤井さんのお宅に話を聞きに行ったの」
真鍋先生が由奈達の話を聞いてすぐに動いてくれたのだ。
「藤井さんのお母様も、娘さんの変化に戸惑うばかりで、詳しくはわからないままだった。帰りが遅い日があったり、急に髪を染めたり、小学校を卒業してからの急激な変化にショックでどう声をかけていいかわからなかったらしい」
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