30 / 66
第九章
初デート⁇④
しおりを挟む
「由奈ちゃんお待たせ。遅れてごめん」
「ううん。私も今来たところ」
返事をしながらも、この数カ月で落ち着いた男らしい声になっていることに驚く。
由奈は小学校卒業の時には160㎝あり今はほとんど伸びていない。卒業式の時でも由奈よりはかなり高かった身長が、驚くほど伸びている。瑞希と対面した瞬間から驚きしかない。
「今日は空けてくれてありがとう」
「私の方こそ、瑞希くん忙しいのに時間をつくってくれてありがとう」
「何か僕達お礼を言い合っておかしいね」
「プッ、だね」
「じゃあ行こうか」
「うん」
瑞希の登場から、瑞希のことしか視界に入ってなかったのだが、顔を上げると周りからの視線がたくさん向けられていることに気づいた。
噴水の前にいた女の子達が瑞希を見ているのだ。一方の瑞希は、普段から見られなれているのか全く気にする様子がない。
「由奈ちゃん切符買うよね?」
「あっ、ICカード持ってる。お母さんがチャージしておいてくれたの」
「そっか、僕も持っているから行こう」
改札に向かって歩いていても注目されている。
「瑞希くん、視線気にならない?」
「へ⁈由奈ちゃん誰かに見られているの?」
「え⁈瑞希くんを見てるんだよ(まさかの本人は全く気づいていないのだろうか)」
「え⁈気のせいだよ」
なるほど。瑞希くん本人が全く気づいていないのだとわかった。これだけ見られるのなら無自覚の方がいいのだと思う由奈だった……。
由奈も気にしないように心掛ける。せっかくの瑞希との一日を周りを気にして終わらせたくない。
すぐに、水族館方面の電車が来て乗り込んだ。
「宿題終わった?」
「うん、なんとか。毎日朱里ちゃんと頑張ったの。瑞希くんは?」
「僕も。小学校の時とは違って、夏休みの宿題多くて大変だよね」
「本当に。図書館に通ったよ」
「地元の図書館?」
「うん」
「由奈ちゃんや朱里ちゃんが居たの知ってたら僕も行けばよかったな」
瑞希がさり気なく言った言葉にもきゅんとしてしまう。交換ノートに図書館へ行っていることを書いていたら、本当にきてくれたのだろうか。
「ううん。私も今来たところ」
返事をしながらも、この数カ月で落ち着いた男らしい声になっていることに驚く。
由奈は小学校卒業の時には160㎝あり今はほとんど伸びていない。卒業式の時でも由奈よりはかなり高かった身長が、驚くほど伸びている。瑞希と対面した瞬間から驚きしかない。
「今日は空けてくれてありがとう」
「私の方こそ、瑞希くん忙しいのに時間をつくってくれてありがとう」
「何か僕達お礼を言い合っておかしいね」
「プッ、だね」
「じゃあ行こうか」
「うん」
瑞希の登場から、瑞希のことしか視界に入ってなかったのだが、顔を上げると周りからの視線がたくさん向けられていることに気づいた。
噴水の前にいた女の子達が瑞希を見ているのだ。一方の瑞希は、普段から見られなれているのか全く気にする様子がない。
「由奈ちゃん切符買うよね?」
「あっ、ICカード持ってる。お母さんがチャージしておいてくれたの」
「そっか、僕も持っているから行こう」
改札に向かって歩いていても注目されている。
「瑞希くん、視線気にならない?」
「へ⁈由奈ちゃん誰かに見られているの?」
「え⁈瑞希くんを見てるんだよ(まさかの本人は全く気づいていないのだろうか)」
「え⁈気のせいだよ」
なるほど。瑞希くん本人が全く気づいていないのだとわかった。これだけ見られるのなら無自覚の方がいいのだと思う由奈だった……。
由奈も気にしないように心掛ける。せっかくの瑞希との一日を周りを気にして終わらせたくない。
すぐに、水族館方面の電車が来て乗り込んだ。
「宿題終わった?」
「うん、なんとか。毎日朱里ちゃんと頑張ったの。瑞希くんは?」
「僕も。小学校の時とは違って、夏休みの宿題多くて大変だよね」
「本当に。図書館に通ったよ」
「地元の図書館?」
「うん」
「由奈ちゃんや朱里ちゃんが居たの知ってたら僕も行けばよかったな」
瑞希がさり気なく言った言葉にもきゅんとしてしまう。交換ノートに図書館へ行っていることを書いていたら、本当にきてくれたのだろうか。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
灰かぶりの子ども・サンドリヨン
山口かずなり
児童書・童話
サンドリヨンは、美人な子ども。
毎日お掃除ばかりで灰まみれ。
三つの呼び鈴が鳴ったら、3人の女のお世話ばかり。
そんな可哀想なサンドリヨンにも、叶えたい夢がありました。
その夢とは…。
(不幸でしあわせな子どもたちシリーズでは、他の子どもたちのストーリーが楽しめます。 短編集なので気軽にお読みください)
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
灰色のねこっち
ひさよし はじめ
児童書・童話
痩せっぽちでボロボロで使い古された雑巾のような毛色の猫の名前は「ねこっち」
気が弱くて弱虫で、いつも餌に困っていたねこっちはある人と出会う。
そして一匹と一人の共同生活が始まった。
そんなねこっちのノラ時代から飼い猫時代、そして天に召されるまでの驚きとハラハラと涙のお話。
最後まで懸命に生きた、一匹の猫の命の軌跡。
※実話を猫視点から書いた童話風なお話です。
ちきゅうのおみやげ(α版)
山碕田鶴
絵本
宇宙人の たこ1号 が地球観光から戻ってきました。おみやげは何かな?
「まちがいさがし」をしながらお話が進む絵本です。フルカラー版と白黒版があります。フルカラー、白黒共に絵柄は同じです。
カラーユニバーサルデザイン推奨色使用。
※絵本レイアウト+加筆修正した改稿版が「絵本ひろば」にあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる