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第四章

部活①

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 中学生になって勉強では、教科が増えて教科ごとに担当の先生が代わる。急に難しくなったと感じる。

 なにより定期的にテストがあって、小学校と違い成績の順位がはっきりと分かってしまう。姉の由香は、いつも上位の成績でいざとなれば姉に泣きつくしかないが、姉は今年受験生だ。あまり迷惑をかけるわけにはいかない。

 勉強だけでなくは、部活動も始まる。

「ゆーちゃん、部活見学どこに行く?」
「朱里ちゃんは?」
「悩んでる……。テニス部にも興味があるし、でも吹奏楽部にも入りたいし」
「わかる!私はバスケと吹奏楽で悩んでる」
「じゃあ、吹奏楽部は一緒に見に行こうよ」
「うん」

 最近グループのメッセージでは、何やら不穏な空気が流れている。絵里香にグループのメッセージに参加していないことを突っ込まれたが、悪口が飛びかっていて入れる雰囲気ではないのだ。由奈と朱里は距離を置いて、できれば抜けたいと思っている。

「ねえねえ」
「雛ちゃんどうしたの?」

 ふたりに声をかけてきたのは、絵里香にグループから抜かれた雛だ。今、グループで悪口を言われている一人だ。

「あのグループにまだ入ってる?」
「え?」
「絵里香達の」
「うん……一応……」
「私の悪口言ってるでしょう?」

 雛本人に聞かれてなんと答えていいのかわからない。

「まあ、言いづらいよね。絵里香達には気をつけた方がいいよ」
「「……」」

 雛は忠告をしてくれたようだ。卒業式の直後は学年の半数くらいが入っていたはずのグループが、自分から抜けたり雛のように絵里香達によって抜かれたりで、今は一クラス分の人数にまで減っている。由奈と朱里はどうしたらいいのかわからず傍観しているのだ。

 瑞希がなぜスマホを持たないと言っていたのか、日々身に染みて実感している。あれだけ賢く人に流されることのない瑞希でさえ、使いこなせる自信がないと言っていたのだ。

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