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第四章
歯車が動き出す⑬
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「ああ」
「近江さん、残念だけど二次会は諦めて、先輩と話をした方がいい」
「ええっ?」
なぜか近藤くんまで湊翔さんの味方のようだ。
「じゃあ、みんな行こう!」
私達の周りに集まって事の成り行きを見ていた同級生達を連れて立ち去ろうとしている。綾ちゃんに視線を向けると、こちらも何かを悟ったのか頷いているではないか。
「こっち」
やっと腕の中から解放されたと思ったら、湊翔さんに逃がさないとばかりにしっかりと手を握られて来た道を戻る。いつも大人だった湊翔さんの切羽詰まったような表情に、言葉を挟むことはもちろん拒否することもできそうにない。
あの時、音信不通になったのには何か理由があったのだろうか。
湊翔さんと再会したことで当時の気持ちがよみがえり、期待してしまう自分がいる。辛かったはずの気持ちを一瞬にして忘れ去り、カッコ良くなった姿にキュンキュンしてしまうのは致し方ないと思う。
七海と似ている湊翔さんの横顔からは感情が読み取れない。
手を引かれて連れて来られたのは、さきほどまで同窓会が行われていたホテル。そう、湊翔さんとの思い出の詰まったホテルだ。
エントランスを抜けてエレベーターへ乗り込むと、迷うことなく最上階のボタンを押している。
湊翔さんもあの時のことを覚えているだろうか。私にとっては一生の思い出だ。
「轟様、いらっしゃいませ」
「ああ、個室は空いてる?」
「はい。ご用意させていただきます」
顔見知りなのか、湊翔さんが常連なのか、入口の店員さんから名前を呼ばれている。しかも、休日でにぎわっているところにいきなりやってきて、個室に案内してもらえるというのが驚きだ。
一体湊翔さんは何者なの?
以前は夜景の見える窓際の席に案内されたけれど、個室も夜景は見えるとはいえ店内の音が遮られて静かで雰囲気が異なった。座ったソファもフカフカで、私でも高級だとわかる。同窓会だったのでいつもより綺麗な格好をしているのが救いだ。
ソファの隣にぴったりとくっつき座った湊翔さんからの視線を感じる。
「近江さん、残念だけど二次会は諦めて、先輩と話をした方がいい」
「ええっ?」
なぜか近藤くんまで湊翔さんの味方のようだ。
「じゃあ、みんな行こう!」
私達の周りに集まって事の成り行きを見ていた同級生達を連れて立ち去ろうとしている。綾ちゃんに視線を向けると、こちらも何かを悟ったのか頷いているではないか。
「こっち」
やっと腕の中から解放されたと思ったら、湊翔さんに逃がさないとばかりにしっかりと手を握られて来た道を戻る。いつも大人だった湊翔さんの切羽詰まったような表情に、言葉を挟むことはもちろん拒否することもできそうにない。
あの時、音信不通になったのには何か理由があったのだろうか。
湊翔さんと再会したことで当時の気持ちがよみがえり、期待してしまう自分がいる。辛かったはずの気持ちを一瞬にして忘れ去り、カッコ良くなった姿にキュンキュンしてしまうのは致し方ないと思う。
七海と似ている湊翔さんの横顔からは感情が読み取れない。
手を引かれて連れて来られたのは、さきほどまで同窓会が行われていたホテル。そう、湊翔さんとの思い出の詰まったホテルだ。
エントランスを抜けてエレベーターへ乗り込むと、迷うことなく最上階のボタンを押している。
湊翔さんもあの時のことを覚えているだろうか。私にとっては一生の思い出だ。
「轟様、いらっしゃいませ」
「ああ、個室は空いてる?」
「はい。ご用意させていただきます」
顔見知りなのか、湊翔さんが常連なのか、入口の店員さんから名前を呼ばれている。しかも、休日でにぎわっているところにいきなりやってきて、個室に案内してもらえるというのが驚きだ。
一体湊翔さんは何者なの?
以前は夜景の見える窓際の席に案内されたけれど、個室も夜景は見えるとはいえ店内の音が遮られて静かで雰囲気が異なった。座ったソファもフカフカで、私でも高級だとわかる。同窓会だったのでいつもより綺麗な格好をしているのが救いだ。
ソファの隣にぴったりとくっつき座った湊翔さんからの視線を感じる。
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