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第二十一章
エピローグ①
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今、私はホテルのチャペルの入口にお父さんと立っている。真っ白のウエディングドレスを着た私のお腹は膨らみ、存在を主張している。
柾さんの病院で倒れた日、土井先生に呼ばれた産科医の大谷先生が病室に来てくれた。
私の母親と同じ歳くらいのベテランの先生だった。
「あらあら、土井先生から呼ばれたから来てみたら、久遠先生の奥様かしら?」
「まだ、籍は入れていませんがまもなく」
「え⁈」
柾さんが堂々と答えている内容に驚き思わず声を出してしまった。
「何度でもいうが俺はすぐにでも結婚したいと思っている」
「……」
「まあまあ、港浜の貴公子は意外と情熱的なのね。いいものを見せてもらったわ」
さすがベテランの貫禄なのだろう。くすくすと笑われて柾さんの方がタジタジになっているではないか。
「どちらにしても、診てみないとね」
「「よろしくお願いします」」
産婦人科に移動して、尿検査とエコー検査の結果妊娠三ヶ月と診断されたのだった。
柾さんは大喜びで、産科の大谷先生の前で再度プロポーズするという焦りように、大谷先生は大爆笑だった。
港浜救命救急センター内での出来事に、瞬く間に噂が病院中に広まったのは言うまでもない……。
体調が落ち着くまで数日休みをもらい復帰した後は、港浜救命救急センターに患者様を搬送するたびに、看護師達から冷やかされて大変だった。ただ、皆さん歓迎モードで一安心した。柾さんに憧れてはいても、時田先生や三橋さんのような過激な人は今はいないのだ。
なんなら、最近の柾さんは幸せオーラが全開で、仕事がしやすいと感謝されたくらいだ。
お互いの実家には、私が寝込んでいる間に柾さんが報告に行ってくれ、怒られることもなく喜ばれた。
志乃ちゃんによると、私の母の喜びようは半端なく、ご近所に言いふらしていたらしい……。恥ずかしさで頭が痛い。
両家の意向で、妊娠中期の間に結婚式を挙げることが決まり、急ピッチで準備が進み今日に至るのだ。
柾さんの病院で倒れた日、土井先生に呼ばれた産科医の大谷先生が病室に来てくれた。
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