ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~

せいとも

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第十八章

俺様ドクターの想定外⑦

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「琴が懐いてる……」
「え?」
「琴は、極度の人見知りなんだ」
「そうなの?」
「お~い。琴~」

 男性が中から出て来て琴ちゃんを呼んでいる。背格好から雰囲気まで柾さんによく似ている。

「あっ、パパ」
「琴⁈」

 なぜか、私と琴ちゃんを見て驚き目を見開いている。

「柾、これはどういう状況だ?」
「俺にもさっぱり」
「パパ、月お姉ちゃんだよ」
「は、初めまして」
「もしかして、先ほど百貨店で?」
「は、はあ」
「兄貴、どういうことだ?」
「さっき、琴が月さんにお世話になったんだよ。まさか柾の相手だとは……。とりあえず中に入ろう。琴」

 琴ちゃんは、パパが手を出し抱っこしようとするも、応じず首を横に振っている。

「月お姉ちゃんがいい」
「「……」」

 男二人、琴ちゃんに振られショックを受けている。私はこの状況でどうしたらいいのだろうか。

「琴、重いから降りなさい」
「わかった」

 素直に降りたと思ったら、私と手を繋ぎにこにこしている。私が、琴ちゃんを独占しているようで気が引けるのはどうしてだろう。
 
 琴ちゃんに手を引かれ、戸惑っている暇もなく中に案内される。玄関を入ると吹き抜けになっていて広々とした贅沢な空間に驚く。正面に二階へ続く階段があり、本当にリゾートホテルに来たような感覚だ。

「こっち」

 慌てて靴を脱ぎ琴ちゃんについて行く。

「琴、待ちなさい。月さん、スリッパも履いていないだろう?」
「琴、そろそろ俺に月を返してくれないか?」
「やだ。月お姉ちゃんこっちこっち」
「琴、どこに行くんだ?」
「琴の部屋」
「待ちなさい。まだ、じいじやばあばも月さんに会っていないだろう?」
「えー」

 小さな口を尖らせている姿がたまらなく可愛い。

「私にも、琴ちゃんのお祖父様とお祖母様にご挨拶させてもらってもいい?」
「うん、いいよ。こっち」
「ブハッ」

 柾さんが突然吹き出した。

「どうしたの?」
「兄貴見てみろ。琴が月に夢中でショック受けてる」

 確かに、表情が暗い……。

 
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