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第十八章
俺様ドクターの想定外⑥
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ここまできて、遅いかもしれないが柾さんがK-onの御曹司だと実感した。お医者様でも世界が違うのに、ここに私がお邪魔していいのだろうか。私が一人で思い悩んでいるうちに、目の前の門が自動で開いていく。
開いた門の先は――。
広大なお庭の中を通る道があり、奥の方に真っ白な建物が見えている。どこかのリゾートホテルに来たみたいだ。柾さんは迷うことなく車を進めるが、私の心臓はバクバクとうるさい。後ろでは、門が閉まり逃げ道を塞がれた気分になる。
門から住居まで車でも距離を感じる。歩いたら迷ってしまって辿り着かないのではないだろうか……。
「柾さんは、子供の頃からここに住んでいるんだよね?」
「ああ」
「門から家まで遠すぎて、帰るのが嫌にならない?」
「……。プハッ」
「なんで笑うの?」
「嫌になるほど、歩いたことがない」
「へ⁈」
「いつも送迎してもらってたからな」
「……」
これだけの邸宅に住んでいるのだ。送迎が当たり前なのだと納得する。
真っ白な洋館の前はロータリーになっていて、ロータリーの横には広大なスペースがあり、高級車が何台も止まっている。柾さんも慣れた様子で車を止めている。
「行こうか」
「ま、柾さん、本当に私で大丈夫?」
「何をいまさら。祖父と父は、先日せっかく会ったのに話ができなかったと残念がっていた。母は、二人だけが会ってズルいと言っていたよ」
「でも……」
車の中で話をしていると、玄関の扉から女の子が出てきた。
「えっ⁈琴ちゃん⁇」
「琴を知っているのか?」
もう、今の状況に訳がわからない。柾さんが車を降りたので私も慌てて降りると、柾さんの方に向かっていた琴ちゃんが、私の姿を見つけてこちらに向かってくる。
「月お姉ちゃ~ん」
「琴ちゃん!」
満面の笑顔で走ってくる姿はまるで天使だ。先ほどの泣き顔が嘘のようにキラキラとしている。琴ちゃんを抱き上げ見つめ合う。
「月お姉ちゃん、どうしてここにいるの?」
「琴ちゃんは、どうしてここにいるの?」
質問を質問で返すほど私は動揺しているのだ。
開いた門の先は――。
広大なお庭の中を通る道があり、奥の方に真っ白な建物が見えている。どこかのリゾートホテルに来たみたいだ。柾さんは迷うことなく車を進めるが、私の心臓はバクバクとうるさい。後ろでは、門が閉まり逃げ道を塞がれた気分になる。
門から住居まで車でも距離を感じる。歩いたら迷ってしまって辿り着かないのではないだろうか……。
「柾さんは、子供の頃からここに住んでいるんだよね?」
「ああ」
「門から家まで遠すぎて、帰るのが嫌にならない?」
「……。プハッ」
「なんで笑うの?」
「嫌になるほど、歩いたことがない」
「へ⁈」
「いつも送迎してもらってたからな」
「……」
これだけの邸宅に住んでいるのだ。送迎が当たり前なのだと納得する。
真っ白な洋館の前はロータリーになっていて、ロータリーの横には広大なスペースがあり、高級車が何台も止まっている。柾さんも慣れた様子で車を止めている。
「行こうか」
「ま、柾さん、本当に私で大丈夫?」
「何をいまさら。祖父と父は、先日せっかく会ったのに話ができなかったと残念がっていた。母は、二人だけが会ってズルいと言っていたよ」
「でも……」
車の中で話をしていると、玄関の扉から女の子が出てきた。
「えっ⁈琴ちゃん⁇」
「琴を知っているのか?」
もう、今の状況に訳がわからない。柾さんが車を降りたので私も慌てて降りると、柾さんの方に向かっていた琴ちゃんが、私の姿を見つけてこちらに向かってくる。
「月お姉ちゃ~ん」
「琴ちゃん!」
満面の笑顔で走ってくる姿はまるで天使だ。先ほどの泣き顔が嘘のようにキラキラとしている。琴ちゃんを抱き上げ見つめ合う。
「月お姉ちゃん、どうしてここにいるの?」
「琴ちゃんは、どうしてここにいるの?」
質問を質問で返すほど私は動揺しているのだ。
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