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第十八章
俺様ドクターの想定外②
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「港浜南救急の雫石と申します」
「「え⁈」」
「え⁈」
声をかけるとなぜか男性二人から驚きの声が上がり、思わず私も同じ戸惑いの声を上げてしまう。何に驚かれたのか全くわからないが、悠長にしている余裕はない。
「胸はどのように痛みますか?持病などありませんか?」
「あ、ああ。少し嫌な痛みがある。以前に心筋梗塞を患ったことがあって、普段から注意をしてるんだが……」
今はまだ少しの痛みだけで会話できている状態だが、いつ急変するかわからない。
「かかりつけの病院はありますか?」
「港浜救命救急センターです」
もう一人の男性が答えてくれた。
「了解しました。問合せしますので、お名前と年齢を教えていただけますか?」
なぜか私の質問に、男性二人が顔を見合わせて何かを合図している。
「久遠だ。久遠勝、80歳だ」
「く、く、久遠⁈」
今度は私が驚く番だ。運転手付きの高級車に乗る久遠という名の年配男性……。
だが、驚いている場合ではない。担架に乗せ、もう一人の男性に同乗してもらい救急車に乗り込む。
「患者様は久遠勝さん80歳。かかりつけの病院は、港浜救命救急センターです」
「「ええ⁈」」
助手席に乗る先輩隊員へ伝えた瞬間、驚きの声が上がったのだ。改めて男性を見ると、柾さんと同じ遺伝子を持つことが容易に想像できる男性二人なのだ。一人は祖父で、もう一人は父親ではないだろうかと思う。
「港浜救命救急センター受け入れオッケーだ」
「向かいます」
運転席と助手席で会話がなされた後、サイレンを鳴らし走り出す。
後部座席に乗る私達は微妙な空気になっている。私と柾さんの関係をどこまでご存知かもわからないし、どう思われているかもわからない。けれど、私が名乗った時の驚きの反応からすると、私の名前と職業を知っていることはわかった。
「あの~」
父親だと思われる男性から声が掛かる。
「はい」
「こんな状況でなんですが、柾とつき合っているお嬢さんですよね」
「は、はい」
「まさかこんな形でお会いすることになるとは……」
「だな。後藤から話は聞いておる」
私もまさかこんなタイミングでお会いすることになるとは思わなかった。 今の表情と話し方では、賛成してもらえているのか反対なのかもわからない……。
「「え⁈」」
「え⁈」
声をかけるとなぜか男性二人から驚きの声が上がり、思わず私も同じ戸惑いの声を上げてしまう。何に驚かれたのか全くわからないが、悠長にしている余裕はない。
「胸はどのように痛みますか?持病などありませんか?」
「あ、ああ。少し嫌な痛みがある。以前に心筋梗塞を患ったことがあって、普段から注意をしてるんだが……」
今はまだ少しの痛みだけで会話できている状態だが、いつ急変するかわからない。
「かかりつけの病院はありますか?」
「港浜救命救急センターです」
もう一人の男性が答えてくれた。
「了解しました。問合せしますので、お名前と年齢を教えていただけますか?」
なぜか私の質問に、男性二人が顔を見合わせて何かを合図している。
「久遠だ。久遠勝、80歳だ」
「く、く、久遠⁈」
今度は私が驚く番だ。運転手付きの高級車に乗る久遠という名の年配男性……。
だが、驚いている場合ではない。担架に乗せ、もう一人の男性に同乗してもらい救急車に乗り込む。
「患者様は久遠勝さん80歳。かかりつけの病院は、港浜救命救急センターです」
「「ええ⁈」」
助手席に乗る先輩隊員へ伝えた瞬間、驚きの声が上がったのだ。改めて男性を見ると、柾さんと同じ遺伝子を持つことが容易に想像できる男性二人なのだ。一人は祖父で、もう一人は父親ではないだろうかと思う。
「港浜救命救急センター受け入れオッケーだ」
「向かいます」
運転席と助手席で会話がなされた後、サイレンを鳴らし走り出す。
後部座席に乗る私達は微妙な空気になっている。私と柾さんの関係をどこまでご存知かもわからないし、どう思われているかもわからない。けれど、私が名乗った時の驚きの反応からすると、私の名前と職業を知っていることはわかった。
「あの~」
父親だと思われる男性から声が掛かる。
「はい」
「こんな状況でなんですが、柾とつき合っているお嬢さんですよね」
「は、はい」
「まさかこんな形でお会いすることになるとは……」
「だな。後藤から話は聞いておる」
私もまさかこんなタイミングでお会いすることになるとは思わなかった。 今の表情と話し方では、賛成してもらえているのか反対なのかもわからない……。
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