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第十七章
俺様ドクターの思惑⑧
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「ええっ!!どうしよう……」
「月、あなたまさか失礼なことをしたんじゃないでしょうね?」
「いつも気さくに声をかけてくれるから、ついつい気軽に話しかけちゃって……。まさか柾さんのご家族に近しい人だとは思わなかったから」
「プハッ。何かと思えばそんなことか。後藤さんは喜んでると思うぞ。素敵なお嬢さんですねって言われたことがある。それこそ、急によそよそしくなったら悲しむから今まで通りでいてくれ」
「う、うん……」
そうは言われても複雑な気持ちは抜けない。失礼なことはしていないと思うが、会うたびに話しかけてくれるので、嬉しくて勝手に祖父のように思っておしゃべりしていた。
落ち込んでいる私をよそに、柾さんが姿勢を正した。
「お母様、私は月さんを愛しています。今すぐにでも一緒になりたいのですが、お互い忙しくて今はそのタイミングではないと思っています。改めて、ご挨拶に伺う日まで見守っていただけますか?」
柾さんの真剣な表情と言葉に、私だけでなく母や志乃ちゃんまでが頬を赤くして照れている。
「柾さん……」
感極まって言葉の出ない私の代わりに、母が姿勢を正し口を開く。
「まーくん、いえ柾さん。恋愛経験のない娘に彼氏ができて、正直に言うと嬉しい反面不安も大きかったの。しかも、イケメンでお医者様だと志乃ちゃんに聞いた時は、騙されているんじゃないかと思ったわ。だから、なにかあるなら早いうちにと思って無理言ってまでも来てもらったの」
「はい」
「でも今日、柾さんに会って良かったわ。本当は、主人も息子も心配していて、仕事を休むとまで言っていたの」
「え?!」
「何驚いてるの?当たり前じゃない。あなたは、私達家族の大切なお姫様なんだから」
母のお姫様発言に普段なら笑い飛ばしていたかもしれないが、私のことをいつも見守ってくれている家族を思い出し、素直に感謝の気持ちが溢れた。
今まで、何をするにも反対されることがなかったのは、私のことを信じて見守ってくれていたからだ。なにか困ったことがあれば、全力で助けてくれる安心感がずっとあったのだ。
私が救急救命士を目指すと言ったときも、全く反対されることはなかった。むしろ女性の少ない職場で大変だと思うが頑張りなさいと背中を押してくれた。
まだまだ子供だった私には、こんなにも大きな親の愛情を理解しきれていなかったのだと痛感する。
「月さんと過ごす中で、家族に大切に育てられていたんだろうなと、常々思っていました。優しくもあり、間違ったことは違うと言えるしっかりした月さんに惚れています」
「「「……」」」
戸惑いなく紡がれる目の前のイケメンからの言葉に、私だけでなく母と志乃ちゃんまで骨抜きだ。
「月、いい人と出会ったわね。捨てられないように、頑張りなさい」
「うん」
「捨てるなんて、あり得ませんから」
私の返事に、柾さんが否定の言葉を被せる。あの日偶然あのバスに乗っていて、あの日偶然事故に遭わなければ、救急隊員とドクター以上の関係になっていたかはわからない。
チビ団子と言われて始まった関係が、こうして家族に紹介する関係にまでなっているのだ。これからも彼を大切にしたい。
「月、あなたまさか失礼なことをしたんじゃないでしょうね?」
「いつも気さくに声をかけてくれるから、ついつい気軽に話しかけちゃって……。まさか柾さんのご家族に近しい人だとは思わなかったから」
「プハッ。何かと思えばそんなことか。後藤さんは喜んでると思うぞ。素敵なお嬢さんですねって言われたことがある。それこそ、急によそよそしくなったら悲しむから今まで通りでいてくれ」
「う、うん……」
そうは言われても複雑な気持ちは抜けない。失礼なことはしていないと思うが、会うたびに話しかけてくれるので、嬉しくて勝手に祖父のように思っておしゃべりしていた。
落ち込んでいる私をよそに、柾さんが姿勢を正した。
「お母様、私は月さんを愛しています。今すぐにでも一緒になりたいのですが、お互い忙しくて今はそのタイミングではないと思っています。改めて、ご挨拶に伺う日まで見守っていただけますか?」
柾さんの真剣な表情と言葉に、私だけでなく母や志乃ちゃんまでが頬を赤くして照れている。
「柾さん……」
感極まって言葉の出ない私の代わりに、母が姿勢を正し口を開く。
「まーくん、いえ柾さん。恋愛経験のない娘に彼氏ができて、正直に言うと嬉しい反面不安も大きかったの。しかも、イケメンでお医者様だと志乃ちゃんに聞いた時は、騙されているんじゃないかと思ったわ。だから、なにかあるなら早いうちにと思って無理言ってまでも来てもらったの」
「はい」
「でも今日、柾さんに会って良かったわ。本当は、主人も息子も心配していて、仕事を休むとまで言っていたの」
「え?!」
「何驚いてるの?当たり前じゃない。あなたは、私達家族の大切なお姫様なんだから」
母のお姫様発言に普段なら笑い飛ばしていたかもしれないが、私のことをいつも見守ってくれている家族を思い出し、素直に感謝の気持ちが溢れた。
今まで、何をするにも反対されることがなかったのは、私のことを信じて見守ってくれていたからだ。なにか困ったことがあれば、全力で助けてくれる安心感がずっとあったのだ。
私が救急救命士を目指すと言ったときも、全く反対されることはなかった。むしろ女性の少ない職場で大変だと思うが頑張りなさいと背中を押してくれた。
まだまだ子供だった私には、こんなにも大きな親の愛情を理解しきれていなかったのだと痛感する。
「月さんと過ごす中で、家族に大切に育てられていたんだろうなと、常々思っていました。優しくもあり、間違ったことは違うと言えるしっかりした月さんに惚れています」
「「「……」」」
戸惑いなく紡がれる目の前のイケメンからの言葉に、私だけでなく母と志乃ちゃんまで骨抜きだ。
「月、いい人と出会ったわね。捨てられないように、頑張りなさい」
「うん」
「捨てるなんて、あり得ませんから」
私の返事に、柾さんが否定の言葉を被せる。あの日偶然あのバスに乗っていて、あの日偶然事故に遭わなければ、救急隊員とドクター以上の関係になっていたかはわからない。
チビ団子と言われて始まった関係が、こうして家族に紹介する関係にまでなっているのだ。これからも彼を大切にしたい。
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