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第十七章

俺様ドクターの思惑⑦

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 あまりの真剣な表情に、言葉に嘘がないと伝わってくる。

「『K-onケーオン』という会社はご存知ですか?」
「もちろんよ。ゼネコンの中でも最大手よね」
「今私が住んでいるマンションもK-onの物件なんです。K-onのKは久遠のKで敢えてUを抜いているのですが、私の祖父が創業した会社なんです」
「「「ええ⁈」」」

 医者でイケメン以外にも、かなりのハイスペックで驚くべき事実が判明した。
 
「どうしてお医者様に?」

 母の疑問も最もだ。私も、なぜ医者なのかと不思議に思う。もちろん、お医者様も立派な仕事だが、ご実家とは全く違う分野だ。

「私は三人兄弟の末っ子で、幸いにも優秀な兄が二人もいます。もちろん私が希望すればK-onで働くこともできましたが、幼いころから家業には興味がなく、医者という職業に憧れがあったんです」
「はあ……」

 医者になりたいと言っても誰でもなれるわけではない。柾さん自身がかなり優秀だったことは明白だ。

「ですから、実家は兄達に任せて私は好きな道に進みました」
「そんな立派な家柄なら、月が相手で大丈夫なのかしら?」
「うちの両親も恋愛結婚していますし、一番上の兄も恋愛結婚しています。二番目の兄はまだ結婚はしていないのですが、特に見合いを勧められたりもありません。普段の月さんを見ていても素敵なご家族の中で育ったのだろうと思っていましたから、何も問題ありません」

 母は満足気に頷いている。予想以上の家柄の柾さんに驚きはあるが、柾さんが私自身を見てくれているように、私も柾さん自身に惚れている。

「えっじゃあ」
「ん?」

 私はここで大事なことを思い出した。

「ご家族は私のことをご存知かもしれないんだよね?今日のお土産も家族が用意してくれたって……」
「あー、まあ、うん」

 柾さんにしては珍しく歯切れの悪い返事だ。

「気になる……」
「うちのマンションのコンシェルジュの後藤さんいるだろう?」
「一番偉い人だよね」
「まあ、そうだな。その後藤さんは、以前は祖父の秘書をしてたんだ。だから、俺のことは筒抜けだ」



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