ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~

せいとも

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第十六章

必死な俺 SIDE柾⑧

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 何を思ったのか、今度は俺の視力を確認する。月の姿がはっきり見えているかの確認だったらしい。無自覚で自己評価も低いのか、俺がこれだけ執着して嫉妬をしているのに、全く伝わっていないのだ。

 車に乗り込み、月の地元を目指す。

 せっかく出席するのに、俺に遠慮して顔を出して帰って来ようと思ったようだが、送り迎えを買って出た俺を気にすることなく楽しんでほしい。砂川と二人で会うなら反対するが、友達もたくさん来ているだろう。

 月を会場の前で降ろし、どこか仕事のできる場所を探す。会場の近くがいいと車を走らせていると、五分ほどのところに、ファミレスを見つけた。パソコンを持ち店内に入ると、やたらと視線を感じる。

「いらっしゃいませ~お一人様ですか?」
「ああ」

 やたらと語尾を伸ばす店員が、俺の後ろを伺いながら聞いてきた。連れは同窓会だと言いたいほどいつも以上にイラつき、落ち着かない気分の俺に話し掛けてほしくない。

 注文を取りに来てもやたらと絡んでくる。軽くは話かけられない冷たいオーラを出しているはずが、全く通じていないのか空気が読めないのか、とにかくウザいのだ。

 食事をしようと思ったが、何かを運んでくるたびに話しかけられてはたまったもんじゃない。ドリンクバーを頼み、ひたすらパソコン作業をして過ごす。何度も時計を見るが、今日に限って時間が全然進まない。時計とにらめっこを続け、やっと一時間半が過ぎた。このままここにいても、もう集中できないと諦め伝票をもって立つ。レジには先ほどからやたらと絡んでくる女性店員がいた。声に出さないようにため息をつく。

「ありがとうございました~お会計は495円になります~」

 無言で1000円札を渡しお釣りを待っていると、最後のチャンスとばかりに話かけてくる。

「お兄さん、超イケメン。良かったら連絡先を教えてください」

 語尾にハートマークが飛び散りそうなほどの、甘ったるい甲高い媚をうるような声を出す。



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