ドクターと救急救命士は天敵⁈～最悪の出会いは最高の出逢い～

第十五章

俺様ドクターの嫉妬③

　砂川くんに会ったことで、急に懐かしい気持ちが芽生える。一度友達に連絡をしてみようと思ったが、勤務終わりの身体は睡眠を欲しているのだ。帰りつきシャワーを浴びたら、あっという間に眠りについていた。

　どれくらい眠ったのだろうか……。

　スマホの着信で意識が浮上し目が覚めた。辺りはすっかり夕暮れ時だ。午前中に眠ったはずだが、何時間寝ていたのだろうか。寝過ぎでボーッとする。相手が誰かも見ずに電話に出た。

「はい」
「るーちゃん？」
「えっ？」
「私、志乃」
「あっ、志乃ちゃん久しぶり！どうしたの？」

　高校時代の友達からの電話に、驚きと嬉しさでテンションが上がる。私も連絡しようと思っていた相手だ。

「るーちゃん、今日砂川に会ったの？」
「えっ、なんで知ってるの？」
「砂川から私に連絡があって、同窓会に絶対に連れて来いって言うの」
「志乃ちゃん、砂川くんと仲良かったっけ？」
「るーちゃん忘れたの？私、野球部のマネージャーしてたんだけど」
「えっ？そうだっけ？」
「そうだよー。砂川達の最後の試合、るーちゃんもりーこと一緒に来てくれてたじゃん」
「……」

　高校時代を思い出そうとするも、自分が参加していた行事は覚えているが、野球部のことは全く思い出せない。

「覚えてないみたいだね。まあいいや。で、同窓会どうする？」
「うーん。懐かしくて行きたい気もするんだけど、仕事がどうなるか。シフト出てみないとなんとも」
「るーちゃん、救急救命士さんだもんね」
「志乃ちゃんは出席するの？」
「私は、土日休みだからね。今回の同窓会の幹事、砂川達元野球部のメンバーなんだ。だから元野球部は全員参加しろって連絡来たの」
「そうなんだ。りーこは？」
「りーこは、土日休みではないけど、夜ならシフト次第で行けるって言ってた。この前、りーこのお店に行ってきたの」

　りーこの仕事は、地元の駅ナカに入っているアパレルショップの店員さんだ。二十代～三十代をターゲットにした、大人可愛いがコンセプトの人気ショップなのだ。