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第十四章
俺様ドクターのストーカー②
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ただ、私の勘違いだということもある。確信がもてないまま不安な日々を過ごす。
仕事は順調で、毎日が充実している。少しでも多くの命を救うことを目標に、転勤してきてからやっと余裕が出てきたところだ。
日々、出動要請はひっきりなしに入ってくる。
今度は、バイクとトラックの事故が発生。青信号を直進してきたバイクに右折をしたトラックがぶつかったのだ。バイクの運転手は3メートルほど飛ばされた。
現場に着くと、先に到着した警察車両が交通整理を始めている。アスファルトにはバイクが横転して数メートル滑った跡が残っていた。
バイクの男性は、横たわったままピクリとも動かない。下手に動かすと余計に悪化させることがあるため、警察の判断によりその場で救急車の到着を待っていた。僅かだが呼吸はしている。早急に搬送する必要がある。
ヘルメットに大きな傷ができていることからも、頭を打っている可能性が大きい。
できるだけ衝撃を与えないようにストレッチャーに乗せ、首を固定し酸素マスクを装着する。
「港浜に搬送する」
搬送先を当たっていた先輩からの言葉に安堵した。柾さんが担当するかはわからないのだが、なぜか柾さんが浮かび助けてくれる気がしたのだ。
「到着します」
運転席から聞こえた言葉と同時に後ろの扉が外から開けられた。そこには、数日振りの柾さんの姿が……。だが、一刻を争う状況だ。
「荒川昌也さん23歳。トラックと衝突、バイクで横転。ヘルメットに大きな傷がありました」
免許証で確認した情報を伝える。
「頭を打っている可能性が高いな、CT」
「はい」
一緒に来ていた看護師に指示を出した。返事をして顔をこちらに向けた看護師が、なぜか一瞬私を睨んだ気がした。一瞬のことに気のせいかもしれないが……。
ストレッチャーと共に柾さんが去る瞬間、私の頭を大きな手でポンポンとした。大丈夫だと言ってくれているようで安心する。
一緒に住んでいてもなかなか会えないが、稀に病院で遭遇するこの瞬間が、嬉しかったりするのだ。
日々柾さんへの想いが大きくなっていく――。
仕事は順調で、毎日が充実している。少しでも多くの命を救うことを目標に、転勤してきてからやっと余裕が出てきたところだ。
日々、出動要請はひっきりなしに入ってくる。
今度は、バイクとトラックの事故が発生。青信号を直進してきたバイクに右折をしたトラックがぶつかったのだ。バイクの運転手は3メートルほど飛ばされた。
現場に着くと、先に到着した警察車両が交通整理を始めている。アスファルトにはバイクが横転して数メートル滑った跡が残っていた。
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ヘルメットに大きな傷ができていることからも、頭を打っている可能性が大きい。
できるだけ衝撃を与えないようにストレッチャーに乗せ、首を固定し酸素マスクを装着する。
「港浜に搬送する」
搬送先を当たっていた先輩からの言葉に安堵した。柾さんが担当するかはわからないのだが、なぜか柾さんが浮かび助けてくれる気がしたのだ。
「到着します」
運転席から聞こえた言葉と同時に後ろの扉が外から開けられた。そこには、数日振りの柾さんの姿が……。だが、一刻を争う状況だ。
「荒川昌也さん23歳。トラックと衝突、バイクで横転。ヘルメットに大きな傷がありました」
免許証で確認した情報を伝える。
「頭を打っている可能性が高いな、CT」
「はい」
一緒に来ていた看護師に指示を出した。返事をして顔をこちらに向けた看護師が、なぜか一瞬私を睨んだ気がした。一瞬のことに気のせいかもしれないが……。
ストレッチャーと共に柾さんが去る瞬間、私の頭を大きな手でポンポンとした。大丈夫だと言ってくれているようで安心する。
一緒に住んでいてもなかなか会えないが、稀に病院で遭遇するこの瞬間が、嬉しかったりするのだ。
日々柾さんへの想いが大きくなっていく――。
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