上 下
77 / 138
第十三章

俺様ドクターと同棲生活⁈④

しおりを挟む
 マンションの駐車場には、初めて入るが高級車ばかりが並んでいる。本当に自分がここの住人になるのかと思うと恐れ多い。

 柾さんの運転する車は、迷うことなくどこかに向かっている。服装を聞いた時に、少しオシャレをして行くところと言われた。柾さんも、スーツを着ているのだが、どこに連れて行かれるのだろう……。

 車が走ること数十分、前回同様神楽坂リゾートが手掛ける、都心にあるラグジュアリーホテルが見えてきた。

 『SAKURA』と名づけられたこのホテルは、神楽坂リゾートの社長が愛する妻をイメージして建てられたと世間では有名なようだが、その話を私は知らなかった。

「柾さん、今から行くのって?」
「神楽坂グループの『SAKURA』だ。先日行った『エタニティ』も素晴らしかったが、ここも凄いぞ」
「ここは来たことがあるの?」
「ああ、前回エタニティを手配してくれた友人の陽に連れて来てもらったんだ」
「今回も?」
「ああ、陽に世話になった。今回は前もって連絡入れたけどな」
「いつかお会いする機会があれば、お礼を言いたいです」
「そうだな。いつか紹介するよ」

 そのいつかは間もなくなのだが、私達は知る由もなかった。

 車が『SAKURA』のエントランスに入ると、外から扉が開けられた。

「久遠様いらっしゃいませ」
「え⁈」
「どうした?」
「車で来客の名前がわかるなんて」
「ああ、ここはセキュリティのために、車で訪れるときは、事前に車種とナンバーの登録が必要なんだ」
「なんか凄いね……」
「ああ、徹底したサービスと行き届いた心遣いが人気だからな。お願いします」
「お預かりいたします」

 自然な動作で、柾さんが車のキーを預けた。そして、私の腰を抱き入口に向かう。

 『SAKURA』と名前からも分かるように、和のイメージがふんだんに盛り込まれ、尚且つ和洋折衷を絶妙なバランスで取り入れている。

「SAKURAって素敵な名前だね」
「月は知らないか?世間では愛妻家で有名な神楽坂の社長で、陽の兄である怜さんの奥さんがさくらさんって名前なんだ」
「奥さんをイメージしているんですか?」
「そうらしい」
「すごい……」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。

真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。 地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。 ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。 イラスト提供 千里さま

Catch hold of your Love

天野斜己
恋愛
入社してからずっと片思いしていた男性(ひと)には、彼にお似合いの婚約者がいらっしゃる。あたしもそろそろ不毛な片思いから卒業して、親戚のオバサマの勧めるお見合いなんぞしてみようかな、うん、そうしよう。 決心して、お見合いに臨もうとしていた矢先。 当の上司から、よりにもよって職場で押し倒された。 なぜだ!? あの美しいオジョーサマは、どーするの!? ※2016年01月08日 完結済。

【完】あなたから、目が離せない。

ツチノカヲリ
恋愛
入社して3年目、デザイン設計会社で膨大な仕事に追われる金目杏里(かなめあんり)は今日も徹夜で図面を引いていた。共に徹夜で仕事をしていた現場監理の松山一成(まつやまひとなり)は、12歳年上の頼れる男性。直属の上司ではないが金目の入社当時からとても世話になっている。お互い「人として」の好感は持っているものの、あくまで普通の会社の仲間、という間柄だった。ところがある夏、金目の30歳の誕生日をきっかけに、だんだんと二人の距離が縮まってきて、、、。 ・全18話、エピソードによってヒーローとヒロインの視点で書かれています。

政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。

如月 そら
恋愛
父のお葬式の日、雪の降る中、園村浅緋と母の元へ片倉慎也が訪ねてきた。 父からの遺言書を持って。 そこに書かれてあったのは、 『会社は片倉に託すこと』 そして、『浅緋も片倉に託す』ということだった。 政略結婚、そう思っていたけれど……。 浅緋は片倉の優しさに惹かれていく。 けれど、片倉は……? 宝島社様の『この文庫がすごい!』大賞にて優秀作品に選出して頂きました(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) ※表紙イラストはGiovanni様に許可を頂き、使用させて頂いているものです。 素敵なイラストをありがとうございます。

若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~

雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」 夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。 そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。 全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載

十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす

和泉杏咲
恋愛
私は、もうすぐ結婚をする。 職場で知り合った上司とのスピード婚。 ワケアリなので結婚式はナシ。 けれど、指輪だけは買おうと2人で決めた。 物が手に入りさえすれば、どこでもよかったのに。 どうして私達は、あの店に入ってしまったのだろう。 その店の名前は「Bella stella(ベラ ステラ)」 春の空色の壁の小さなお店にいたのは、私がずっと忘れられない人だった。 「君が、そんな結婚をするなんて、俺がこのまま許せると思う?」 お願い。 今、そんなことを言わないで。 決心が鈍ってしまうから。 私の人生は、あの人に捧げると決めてしまったのだから。 ⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚ 東雲美空(28) 会社員 × 如月理玖(28) 有名ジュエリー作家 ⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚

【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~

蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。 嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。 だから、仲の良い同期のままでいたい。 そう思っているのに。 今までと違う甘い視線で見つめられて、 “女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。 全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。 「勘違いじゃないから」 告白したい御曹司と 告白されたくない小ボケ女子 ラブバトル開始

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

処理中です...