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第十二章
彼女が可愛すぎて困る SIDE柾①
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月に会いたい気持ちが限界に達し悶々としていた時だった。
「先生、それは今ここで言うべきことですか?」
廊下を歩いていると、遠くから聞き覚えのある愛しの彼女の声が聞こえた気がした。しかも、医者に対して意見を言っているようだ。
「あなた何様?」
時田の偉そうな声が廊下に響く。
「ご家族にも色々な事情がおありでしょうし、娘さんが運ばれて不安な時に言うべきことではないと思います」
「医者の私に意見するの?」
病院の廊下で、しかも搬送された患者の家族に何を言ったかはわからないが、時田の口調からするとかなり失礼な態度を取ったことが想像できる。前々から、看護師達の間で、時田の態度に不満が上がっているとは聞いていた。ただ、俺をはじめ男性に対しては、バレないようにしている。俺と祐介は見抜いていたが、面倒なので放っておいた。だが、月が関わっているなら話は別だ。
「こんなところで何の騒ぎだ?」
「あっ、久遠先生。お疲れ様です~」
一気に声色が変わった……。
本当に根性の腐ったやつだ。同じ医者として恥ずかしい。現に、月も患者の家族も呆れ顔だ。
「で?この騒ぎは?」
「そこの女が、医者の私に対して意見するんです~」
何が医者の私だ。どれほど偉いと思っているのだ?
「お前何様だ?」
俺は、時田に言ったのだ。だが、目の前の女は何を勘違いしたのか、月に言ったと思ったらしい。
「ですよね~。救急隊員の分際で医者に偉そうに言うなんて!」
どれだけ人をバカにしたら気が済むのだ?
「お前に言ってるんだ」
思わず声を荒げてしまう。おめでたい思考回路に救いようがない。この際だから、お前の腐った根性を叩きのめしてやろうじゃないか。俺の月を敵に回したことを後悔させてやる。自分の都合のいいように勘違いしないよう、目の前の女にはっきり言ってやった。
それに俺は、久しぶりの彼女を前にもう限界なんだ。
「月、会いたかった……」
隠すつもりもないので、時田や看護師達が見ていることも承知で声をかけた。
「「「るな?」」」
案の定、一斉に疑問の声が上がる。
「先生、それは今ここで言うべきことですか?」
廊下を歩いていると、遠くから聞き覚えのある愛しの彼女の声が聞こえた気がした。しかも、医者に対して意見を言っているようだ。
「あなた何様?」
時田の偉そうな声が廊下に響く。
「ご家族にも色々な事情がおありでしょうし、娘さんが運ばれて不安な時に言うべきことではないと思います」
「医者の私に意見するの?」
病院の廊下で、しかも搬送された患者の家族に何を言ったかはわからないが、時田の口調からするとかなり失礼な態度を取ったことが想像できる。前々から、看護師達の間で、時田の態度に不満が上がっているとは聞いていた。ただ、俺をはじめ男性に対しては、バレないようにしている。俺と祐介は見抜いていたが、面倒なので放っておいた。だが、月が関わっているなら話は別だ。
「こんなところで何の騒ぎだ?」
「あっ、久遠先生。お疲れ様です~」
一気に声色が変わった……。
本当に根性の腐ったやつだ。同じ医者として恥ずかしい。現に、月も患者の家族も呆れ顔だ。
「で?この騒ぎは?」
「そこの女が、医者の私に対して意見するんです~」
何が医者の私だ。どれほど偉いと思っているのだ?
「お前何様だ?」
俺は、時田に言ったのだ。だが、目の前の女は何を勘違いしたのか、月に言ったと思ったらしい。
「ですよね~。救急隊員の分際で医者に偉そうに言うなんて!」
どれだけ人をバカにしたら気が済むのだ?
「お前に言ってるんだ」
思わず声を荒げてしまう。おめでたい思考回路に救いようがない。この際だから、お前の腐った根性を叩きのめしてやろうじゃないか。俺の月を敵に回したことを後悔させてやる。自分の都合のいいように勘違いしないよう、目の前の女にはっきり言ってやった。
それに俺は、久しぶりの彼女を前にもう限界なんだ。
「月、会いたかった……」
隠すつもりもないので、時田や看護師達が見ていることも承知で声をかけた。
「「「るな?」」」
案の定、一斉に疑問の声が上がる。
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