62 / 138
第十一章
俺様ドクターの包囲網⑤
しおりを挟む
「今日もだけど、大体いつもコンビニのおにぎりかカップ麺だな」
「お野菜は?」
「サプリメントを飲んでいる」
「な⁈ドクターが一番身体に悪そうな食事だね」
「まあ、そうだな。食堂に行けるのなんて、年に1・2回あったらいい方だ。せっかく行っても呼び戻されることもあるしな」
「たまに食べたくなるけど、カップ麺ばかりだと嫌にならない?」
「そういう月達の職場はどうなんだ?」
「結婚している先輩は、愛妻弁当の人が多いよ。独身で実家に住んでる人は、お母様が作ってくれていたり……」
「愛妻弁当か……」
何かを思い浮かべているのか、柾さんがニヤけている。
「で?月は普段どうしてるんだ?」
「私?私は、時間があるときは自分で作って持って行ってるよ。無理な時は、コンビニだけど……」
「作ってるなんてえらいな。今度俺の分も頼む」
「まあ、いつか……」
これだけ時間が合わないと、お弁当を作っても渡す機会がない。だが、柾さんはなぜか不敵な笑みを浮かべている。
本当に空腹だったのだろう。食べる手が止まらない。
「ご飯おかわり入れようか?」
「ああ。豚汁ももらえるか?」
「うん」
食事の食べ方やお箸の持ち方まで、綺麗で見惚れてしまう。細い身体のどこに入るのか不思議なくらい、作ったものは全て残さず食べてくれた。
片づけをして、食後のコーヒーを淹れている時に、時田先生の件を思い出した。
「そういえば、時田先生が転勤されたとか」
「はあ??何で知ってるんだ?」
「土井先生に聞いたの」
「いつ?」
「昨日、港浜に搬送したときに会ったの」
「俺は、なかなか月に会えないのに、あいつと会うなんて」
「へ⁈」
柾さんは、違うことが気になったようだ。確かに柾さんと病院内で遭遇したのは、園児を搬送したときと、時田先生とやり合ったときだけだ。
「時田は、看護師達からずっと苦情が出ていたんだ。ただ、医者の人数がぎりぎりの中で、簡単に追い出すわけにはいかなかった。今回のように患者さんに迷惑をかけていたらすぐに処分できたんだが……」
「お野菜は?」
「サプリメントを飲んでいる」
「な⁈ドクターが一番身体に悪そうな食事だね」
「まあ、そうだな。食堂に行けるのなんて、年に1・2回あったらいい方だ。せっかく行っても呼び戻されることもあるしな」
「たまに食べたくなるけど、カップ麺ばかりだと嫌にならない?」
「そういう月達の職場はどうなんだ?」
「結婚している先輩は、愛妻弁当の人が多いよ。独身で実家に住んでる人は、お母様が作ってくれていたり……」
「愛妻弁当か……」
何かを思い浮かべているのか、柾さんがニヤけている。
「で?月は普段どうしてるんだ?」
「私?私は、時間があるときは自分で作って持って行ってるよ。無理な時は、コンビニだけど……」
「作ってるなんてえらいな。今度俺の分も頼む」
「まあ、いつか……」
これだけ時間が合わないと、お弁当を作っても渡す機会がない。だが、柾さんはなぜか不敵な笑みを浮かべている。
本当に空腹だったのだろう。食べる手が止まらない。
「ご飯おかわり入れようか?」
「ああ。豚汁ももらえるか?」
「うん」
食事の食べ方やお箸の持ち方まで、綺麗で見惚れてしまう。細い身体のどこに入るのか不思議なくらい、作ったものは全て残さず食べてくれた。
片づけをして、食後のコーヒーを淹れている時に、時田先生の件を思い出した。
「そういえば、時田先生が転勤されたとか」
「はあ??何で知ってるんだ?」
「土井先生に聞いたの」
「いつ?」
「昨日、港浜に搬送したときに会ったの」
「俺は、なかなか月に会えないのに、あいつと会うなんて」
「へ⁈」
柾さんは、違うことが気になったようだ。確かに柾さんと病院内で遭遇したのは、園児を搬送したときと、時田先生とやり合ったときだけだ。
「時田は、看護師達からずっと苦情が出ていたんだ。ただ、医者の人数がぎりぎりの中で、簡単に追い出すわけにはいかなかった。今回のように患者さんに迷惑をかけていたらすぐに処分できたんだが……」
0
お気に入りに追加
708
あなたにおすすめの小説
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。
真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。
地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。
ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。
イラスト提供 千里さま
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
【完】あなたから、目が離せない。
ツチノカヲリ
恋愛
入社して3年目、デザイン設計会社で膨大な仕事に追われる金目杏里(かなめあんり)は今日も徹夜で図面を引いていた。共に徹夜で仕事をしていた現場監理の松山一成(まつやまひとなり)は、12歳年上の頼れる男性。直属の上司ではないが金目の入社当時からとても世話になっている。お互い「人として」の好感は持っているものの、あくまで普通の会社の仲間、という間柄だった。ところがある夏、金目の30歳の誕生日をきっかけに、だんだんと二人の距離が縮まってきて、、、。
・全18話、エピソードによってヒーローとヒロインの視点で書かれています。
Catch hold of your Love
天野斜己
恋愛
入社してからずっと片思いしていた男性(ひと)には、彼にお似合いの婚約者がいらっしゃる。あたしもそろそろ不毛な片思いから卒業して、親戚のオバサマの勧めるお見合いなんぞしてみようかな、うん、そうしよう。
決心して、お見合いに臨もうとしていた矢先。
当の上司から、よりにもよって職場で押し倒された。
なぜだ!?
あの美しいオジョーサマは、どーするの!?
※2016年01月08日 完結済。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ
慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。
その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは
仕事上でしか接点のない上司だった。
思っていることを口にするのが苦手
地味で大人しい司書
木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)
×
真面目で優しい千紗子の上司
知的で容姿端麗な課長
雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29)
胸を締め付ける切ない想いを
抱えているのはいったいどちらなのか———
「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」
「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」
「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」
真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。
**********
►Attention
※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
駆け引きから始まる、溺れるほどの甘い愛
玖羽 望月
恋愛
雪代 恵舞(ゆきしろ えま)28歳は、ある日祖父から婚約者候補を紹介される。
アメリカの企業で部長職に就いているという彼は、竹篠 依澄(たけしの いずみ)32歳だった。
恵舞は依澄の顔を見て驚く。10年以上前に別れたきりの、初恋の人にそっくりだったからだ。けれど名前すら違う別人。
戸惑いながらも、祖父の顔を立てるためお試し交際からスタートという条件で受け入れる恵舞。結婚願望などなく、そのうち断るつもりだった。
一方依澄は、早く婚約者として受け入れてもらいたいと、まずお互いを知るために簡単なゲームをしようと言い出す。
「俺が勝ったら唇をもらおうか」
――この駆け引きの勝者はどちら?
*付きはR描写ありです。
エブリスタにも投稿中。スター特典もこちらでは公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる