50 / 138
第九章
俺様ドクターが甘すぎる①
しおりを挟む
コーヒーの香りが鼻孔をくすぐり、カチャカチャとお皿がぶつかり合う音が遠くで聞こえる。深い眠りについていた私の意識が少しずつ浮上し、重い瞼を開けた。
視界には、大きな窓と絶景が広がる。
そこで、私が今どこにいるのかを思い出し飛び起きた。
キッチンには、お風呂上がりでまだ濡れた髪の部屋着姿の柾さんが、冷蔵庫から私がさっき入れたバケットサンドを出しているところだった。
「おはよう」
「おはようございます。すみません、私寝ちゃってましたね」
「気にすることはない。もっと寝てても良かったのに。それより、美味そうなサンドだ。いただくな」
「はい!冷蔵庫の中のドレッシングをかけて下さい。ところで今何時ですか?」
「1時だ」
「もう、お昼ご飯の時間になってる……。お昼にパスタを作ろうと思っていたんです」
「じゃあ、パスタは夜ご飯でどうだ?月が負担なら外食でもいいぞ」
「柾さんはどっちがいいですか?」
「俺は月がいい」
「じゃあ、そうしましょう」
柾さんが若干ニヤついているのが気になる……。何かおかしなことを言っただろうか?
「美味い」
野菜と生ハムをはさんだだけのバケットサンドを、美味いと言いながら食べてくれている。
貴公子と言われていたイケメンの笑顔は、破壊力が半端ない。
まだ、二人で会うのは2回目のはずが、あまり緊張感を感じなくなっている。私の前での柾さんが、貴公子で厳しいイメージとは全く違うからかもしれない。最悪の第一印象も今ではいい思い出のような気がしている。
「あっ、昨日、柾さんの親友の土井先生って方に会いました」
「はあ?いつ?」
「ええっと、柾さんがうちの署に来てくれた後の搬送で」
「うちに来てたのか。俺も病棟じゃなく救急にいたら良かった。今日の朝、祐介に会ったけど何も言ってなかったな。何か言われたか?」
「柾さんが彼女宣言した相手が気になったそうです」
「あいつのことでなにか、困ったことがあったらすぐに言ってくれ」
「親友なんですよね?」
「まあな。一見チャラいが愛妻家で仕事もできる」
「私も、一瞬チャラいと思っちゃいました」
「悪い奴じゃない」
「それはわかります」
視界には、大きな窓と絶景が広がる。
そこで、私が今どこにいるのかを思い出し飛び起きた。
キッチンには、お風呂上がりでまだ濡れた髪の部屋着姿の柾さんが、冷蔵庫から私がさっき入れたバケットサンドを出しているところだった。
「おはよう」
「おはようございます。すみません、私寝ちゃってましたね」
「気にすることはない。もっと寝てても良かったのに。それより、美味そうなサンドだ。いただくな」
「はい!冷蔵庫の中のドレッシングをかけて下さい。ところで今何時ですか?」
「1時だ」
「もう、お昼ご飯の時間になってる……。お昼にパスタを作ろうと思っていたんです」
「じゃあ、パスタは夜ご飯でどうだ?月が負担なら外食でもいいぞ」
「柾さんはどっちがいいですか?」
「俺は月がいい」
「じゃあ、そうしましょう」
柾さんが若干ニヤついているのが気になる……。何かおかしなことを言っただろうか?
「美味い」
野菜と生ハムをはさんだだけのバケットサンドを、美味いと言いながら食べてくれている。
貴公子と言われていたイケメンの笑顔は、破壊力が半端ない。
まだ、二人で会うのは2回目のはずが、あまり緊張感を感じなくなっている。私の前での柾さんが、貴公子で厳しいイメージとは全く違うからかもしれない。最悪の第一印象も今ではいい思い出のような気がしている。
「あっ、昨日、柾さんの親友の土井先生って方に会いました」
「はあ?いつ?」
「ええっと、柾さんがうちの署に来てくれた後の搬送で」
「うちに来てたのか。俺も病棟じゃなく救急にいたら良かった。今日の朝、祐介に会ったけど何も言ってなかったな。何か言われたか?」
「柾さんが彼女宣言した相手が気になったそうです」
「あいつのことでなにか、困ったことがあったらすぐに言ってくれ」
「親友なんですよね?」
「まあな。一見チャラいが愛妻家で仕事もできる」
「私も、一瞬チャラいと思っちゃいました」
「悪い奴じゃない」
「それはわかります」
2
お気に入りに追加
725
あなたにおすすめの小説
花咲くように 微笑んで
葉月 まい
恋愛
初恋の先輩、春樹の結婚式に
出席した菜乃花は
ひょんなことから颯真と知り合う
胸に抱えた挫折と失恋
仕事への葛藤
互いの悩みを打ち明け
心を通わせていくが
二人の関係は平行線のまま
ある日菜乃花は別のドクターと出かけることになり、そこで思わぬ事態となる…
✼•• ┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈••✼
鈴原 菜乃花(24歳)…図書館司書
宮瀬 颯真(28歳)…救急科専攻医
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
契約結婚のはずが、幼馴染の御曹司は溺愛婚をお望みです
紬 祥子(まつやちかこ)
恋愛
旧題:幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。
夢破れて帰ってきた故郷で、再会した彼との契約婚の日々。
★第17回恋愛小説大賞(2024年)にて、奨励賞を受賞いたしました!★
☆改題&加筆修正ののち、単行本として刊行されることになりました!☆
※作品のレンタル開始に伴い、旧題で掲載していた本文は2025年2月13日に非公開となりました。
お楽しみくださっていた方々には申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいませ。
クリスマスに咲くバラ
篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる