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第七章

俺様ドクターは我慢できない③

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 先ほど嫌味を言われたばかりの病院に着くと、私の悩みの種の時田先生が待っていた。

「金谷真知さん、17歳、妊娠8ヶ月です。破水しているかもしれません」
「はあ?17歳?」
「はい」
「検診を受けていた病院は?」
「ありません」
「はあ?何考えてるの?」

 若い女性患者に対して、不信感をあらわにものを言っている。相手は、一刻を争うかも知れない患者様だ。まだ、私に絡むならまだしも、病院に搬送された人に対してとる態度ではないだろう。

 カチンと来たが、まずは患者を優先すべきだと、言葉を飲み込んだ。

「処置室に運んで。産科医は?」
「今、中村先生がこちらに向かっています」

 時田先生を追いかけてきた看護師が答える。

 処置室には、産科の中村先生がすでに到着していた。

「中村先生お疲れ様です。何かお手伝いすることはありますか?」
「あとはこちらで診る」
「じゃあお願いします」

 男性医師を前に先ほどまでの態度が一変している。呆れてものが言えないとはこのことだろう。

 処置室の前には、呆然としている母親が座っていた。救急車が到着した時は驚きで動転していたが、病院に着いて目の前の現実に呆けているのだろう。まだ、高校生の娘が妊娠していて、更には緊急事態を迎えたのだ。母の気持ちを考えると気の毒になる。

 ところが、目の前の女医は更に追い詰める発言をする。

「あなた、さっきの子の母親よね?子供が妊娠しているのにも気づかなかったの?」
「……。はい」
「8カ月よ?何を見てたの」

 あまりの責める言い方と態度に、我慢の限界が来てしまった。

「先生、それは今ここで言うべきことですか?」
「あなた何様?」
「ご家族にも色々な事情がおありでしょうし、娘さんが運ばれて不安な時に言うべきことではないと思います」
「医者の私に意見するの?」

 ここで、思わぬ人物が登場した。

「こんなところで何の騒ぎだ?」
「あっ、久遠先生。お疲れ様です~」

 猫なで声の時田先生を前に、呆れてものも言えない。今まで責められていた母親も驚き顔だ。


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