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第四章
俺様ドクターと急展開⑥
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「目の前の獲物は逃がさない主義なんだ」
「へッ??」
一気に色気全開の視線に変わる。獣に狙われた小動物の気持ちが分かった気がした。
「今、彼氏とかいるのか?」
「いないですが……。居たこともないです」
思わず余計なことまで口にしてしまったかもしれない。目の前の貴公子の笑顔が黒く見えた。
「じゃあ、今この瞬間から俺が彼氏だ。よそ見は許さない。愛される覚悟をしろ」
一方的に俺様発言が続くのだが、なぜか柾さんの口から放たれた言葉は笑い飛ばせないほど違和感がない。きっと、普通の男が言ったら笑い飛ばされるか、ストーカー扱いされるのくらいの自分勝手な言葉なのだが……。
「私、女性らしくもないですし、恋愛経験もないですし、柾さんに見合うとは思えないんですが」
「見合う見合わないじゃない。俺が本能から欲しいと思ったんだ。恋愛経験がない?それは、俺にとっては最高のことだな。さっきのがファーストキスか?」
「はあ……。人工呼吸以外では」
「月に、人工呼吸をしてもらったやつにも嫉妬するな」
「はい?」
「俺自身、初めて感じる感情だ」
「……」
思考回路が停止していて、何が正しいかわからない。ただ、さっきキスされた時、驚きはしたが嫌ではなかった。
最初の出会いがボサボサマスク男でチビ団子と言われ、最悪の出会いだと思ったのは確かだ。
救急車で亮くんを搬送した時も、貴公子としては興味がなかったが、医者としては彼なら助けてくれると安心感はあった。あの時は、まさかマスク男と貴公子が同一人物だとは思わなかったが……。
ここ数日での出来事なのに、目の前の柾さんからは熱い想いが伝わってくる。
「お手柔らかに……」
これ以上抵抗しても敵う気がしない。今朝からの柾さんを見ていると、もっと知りたいと興味が湧いているのも事実だ。
「わかったと言いたいところだが、目の前にチラつくバスローブの隙間から見える肌に、我慢の限界だ」
「へッ??」
いきなり横抱きのまま立ち上がった柾さんは、迷うことなく二階への階段を上がる。私にとっては未知の世界への階段だ。
「ま、待って」
「却下。待てない」
もう、彼の腕の中から抜け出せないことを悟った。
私は、一体どうなるの~?心の中の叫びは誰にも届かない。
「へッ??」
一気に色気全開の視線に変わる。獣に狙われた小動物の気持ちが分かった気がした。
「今、彼氏とかいるのか?」
「いないですが……。居たこともないです」
思わず余計なことまで口にしてしまったかもしれない。目の前の貴公子の笑顔が黒く見えた。
「じゃあ、今この瞬間から俺が彼氏だ。よそ見は許さない。愛される覚悟をしろ」
一方的に俺様発言が続くのだが、なぜか柾さんの口から放たれた言葉は笑い飛ばせないほど違和感がない。きっと、普通の男が言ったら笑い飛ばされるか、ストーカー扱いされるのくらいの自分勝手な言葉なのだが……。
「私、女性らしくもないですし、恋愛経験もないですし、柾さんに見合うとは思えないんですが」
「見合う見合わないじゃない。俺が本能から欲しいと思ったんだ。恋愛経験がない?それは、俺にとっては最高のことだな。さっきのがファーストキスか?」
「はあ……。人工呼吸以外では」
「月に、人工呼吸をしてもらったやつにも嫉妬するな」
「はい?」
「俺自身、初めて感じる感情だ」
「……」
思考回路が停止していて、何が正しいかわからない。ただ、さっきキスされた時、驚きはしたが嫌ではなかった。
最初の出会いがボサボサマスク男でチビ団子と言われ、最悪の出会いだと思ったのは確かだ。
救急車で亮くんを搬送した時も、貴公子としては興味がなかったが、医者としては彼なら助けてくれると安心感はあった。あの時は、まさかマスク男と貴公子が同一人物だとは思わなかったが……。
ここ数日での出来事なのに、目の前の柾さんからは熱い想いが伝わってくる。
「お手柔らかに……」
これ以上抵抗しても敵う気がしない。今朝からの柾さんを見ていると、もっと知りたいと興味が湧いているのも事実だ。
「わかったと言いたいところだが、目の前にチラつくバスローブの隙間から見える肌に、我慢の限界だ」
「へッ??」
いきなり横抱きのまま立ち上がった柾さんは、迷うことなく二階への階段を上がる。私にとっては未知の世界への階段だ。
「ま、待って」
「却下。待てない」
もう、彼の腕の中から抜け出せないことを悟った。
私は、一体どうなるの~?心の中の叫びは誰にも届かない。
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