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第二章
俺様ドクターと再会⑪
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「頭を切開して脳内にたまっている血液を除去する手術を行った。幸い何とか間に合ったが、あと少し搬送が遅れていたら後遺症が残るか、最悪の場合は命を落としていたかもしれない」
「間に合ったんですね。良かった」
「月が気づいたんだろう?」
「私じゃなくて、亮くんのお友達が教えてくれたんです。頭を打っていたって」
「そうだな。亮くんは、友達にも救急隊員にも恵まれているらしい」
さり気なく褒められ、更には優しい顔で微笑まれて、居心地が悪い。ボサボサマスクのままなら良かったのに……。
何はともあれ、亮くんが無事で本当に良かった。あの状況で奇跡的に死者が出なかったのだ。あと少し、突っ込んだ場所が悪ければ、最悪の事態になっていただろう。
安心したところに、料理が運ばれてきた。話に夢中で忘れていたが、美味しそうな匂いに誘われ一気に空腹感が増す。テーブルの中央に置かれた料理は、私が知っている洋食屋さんとは見た目から違っていた。
洋食セットは、馴染みあるハンバーグとエビフライが乗っているのだが、ハンバーグは厚みがありオーブンでじっくり焼かれ手が込んでいる。エビフライは、今まで見たことのない大きさの有頭エビで作られていて二尾も乗っている。ハンバーグの肉汁とエビフライのサクサク感が見ただけで高級だと伝わってくる。
オムライスとナポリタンは、熱々の鉄板に乗っていてジュウジュウと美味しそうな音がしている。
半熟トロトロの卵に包まれデミグラスソースがかかったオムライスと、庶民のイメージとは違うたっぷり野菜と分厚いベーコンが入り半熟卵が乗せられたナポリタンに、目が釘付けになる。
「ククッ」
「へッ??」
料理に夢中になっていて、柾さんの存在を若干忘れかけていた。笑われたことに驚き目の前に視線を向けた。
「いや。凄く幸せそうな顔をしていたから」
「この料理を見て幸せを感じない方がおかしくないですか?」
「あ、ああ」
私の勢いに押されたような返事が返ってきた。
「間に合ったんですね。良かった」
「月が気づいたんだろう?」
「私じゃなくて、亮くんのお友達が教えてくれたんです。頭を打っていたって」
「そうだな。亮くんは、友達にも救急隊員にも恵まれているらしい」
さり気なく褒められ、更には優しい顔で微笑まれて、居心地が悪い。ボサボサマスクのままなら良かったのに……。
何はともあれ、亮くんが無事で本当に良かった。あの状況で奇跡的に死者が出なかったのだ。あと少し、突っ込んだ場所が悪ければ、最悪の事態になっていただろう。
安心したところに、料理が運ばれてきた。話に夢中で忘れていたが、美味しそうな匂いに誘われ一気に空腹感が増す。テーブルの中央に置かれた料理は、私が知っている洋食屋さんとは見た目から違っていた。
洋食セットは、馴染みあるハンバーグとエビフライが乗っているのだが、ハンバーグは厚みがありオーブンでじっくり焼かれ手が込んでいる。エビフライは、今まで見たことのない大きさの有頭エビで作られていて二尾も乗っている。ハンバーグの肉汁とエビフライのサクサク感が見ただけで高級だと伝わってくる。
オムライスとナポリタンは、熱々の鉄板に乗っていてジュウジュウと美味しそうな音がしている。
半熟トロトロの卵に包まれデミグラスソースがかかったオムライスと、庶民のイメージとは違うたっぷり野菜と分厚いベーコンが入り半熟卵が乗せられたナポリタンに、目が釘付けになる。
「ククッ」
「へッ??」
料理に夢中になっていて、柾さんの存在を若干忘れかけていた。笑われたことに驚き目の前に視線を向けた。
「いや。凄く幸せそうな顔をしていたから」
「この料理を見て幸せを感じない方がおかしくないですか?」
「あ、ああ」
私の勢いに押されたような返事が返ってきた。
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