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第二章

俺様ドクターと再会④

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 そんな中、ひとりボーッとしている子が気になった。

「僕のお名前は?」
「……」
「亮くんだよ。あのね、私亮くんのとなりにいたんだけど、車がきた時うしろにこけて、ドンってかべに頭を打ってたよ」
「えっ⁇亮くん、お姉ちゃんの声聞こえる?」
「……」

 目は開いているが、反応がない。呼吸と脈は正常だが、どこかおかしい。驚いて黙っているのではなさそうだ。

「ごめんね。ちょっと頭を触らせてね」

 反応はないが、声を掛けてからそっと触れると、後頭部に大きなたん瘤ができている。かなりの衝撃を受けたのだろう。すぐに病院に搬送するべきだと判断した。

「救急車は?」
「雫石さんが乗って来た、先ほど男の子を搬送した救急車が間もなく戻って来るそうです」
「そうですか。私は、亮くんと戻った救急車で病院に向かいます。もう一台の救急車も戻って来ると思うので、けがの処置と搬送をお願いして下さい。あとは、警察にお任せします」
「わかりました」

 救急車のストレッチャーに亮くんをそっと乗せて、救急車に乗り込む。

「先ほどの患者はどこに搬送されたんですか?」
「男の子と運転手は浜中だ」
「電話では、脳外科医が足りないとか?」
「病院でも直接確認したから間違いない」
「じゃあ、港浜ですね」
「すぐに確認する」

 確認してくれている間にも、急変しないか心配だ。

「港浜オッケーだ。出すぞ」
「良かった~」

 サイレンを鳴らし走り出す。救急車だと、五分くらいで着くだろう。

「私、ここに転勤してから港浜救命救急センターの搬送は、まだ2回目です」
「そうなのか?」
「たまたまだと思いますが、浜中ばかりで」
「じゃあ、脳外の若き天才貴公子を知らないのか?」
「き、貴公子?プッ、何ですか?それ」
「知らない方が珍しいぞ。全国から貴公子目当てでやって来るんだ」
「貴公子見たさに?」
「ああ違う違う。天才って言っただろう?見た目だけなく腕もピカイチだ」
「なんか胡散臭いですね。絶対性格悪そう……」
「性格はわからないが、人にも自分にも厳しいらしい」

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