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第十八章
エピローグ②
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まだまだ、驚くことが続く。
蒼空さんの実家へご挨拶に訪れた時のこと――
地元の閑静な高級住宅街を車が走っている。
「そ、蒼空さん。まさかこの辺りですか?」
「ああ」
長い壁が続き、一軒一軒がとてつもない広さのお屋敷が建つ地域だ。
その中でも一際目立つ豪邸が……
「こ、ここ?」
「ああ」
蒼空さんのマンションも高級なので、きっとご実家も豪邸ではないかと予想していた。ところが、そんな私の想像の遥か上をいく、とてつもない豪邸に驚きを隠せない。驚きすぎて言葉も出ない……
どこかで見ているのか、蒼空さんの車を認識して自動で門が開いていく。奥に見えていた豪邸は、真っ白な洋館で外国ドラマの世界に入った気分になる。
「凛花どうした?」
「蒼空さんはここから毎日高校へ通ってたんですよね?」
「はあ?」
「だって、普通にみんなと同じ制服を着て、みんなと同じに汗を流していたイメージと、この豪邸とがあまりにも一致しなくて」
「そうか? みんなと一緒に部活終わりに買い食いしていたのを知っているだろう?」
そう言われると、無理をしていたようには見えなかったし、まさかこんなに豪邸に住んでいるとは思わせないくらいに馴染んでいた。
「凛花の知る俺が全てだ」
「うん!」
緊張しすぎて、本当の蒼空さんを見失いそうになる。でも、いつも私のことを考えてくれている姿こそが真の姿なのだ。
さり気なく私の腰に手を回しエスコートしてくれる。手土産は、前回私の実家に用意してくれた『長谷屋』の和菓子が、美和ちゃんをはじめご両親も好きだと知り、蒼空さんに予約してもらった。
深呼吸して気持ちを落ち着ける。私達が玄関へ到着する前に、美和ちゃんが出てきてくれた。
「いらっしゃい」
「こんにちは。お邪魔します」
「この前は、突然押しかけてごめんなさい」
「そんな。前回も謝ってもらったので、気にしないで下さい」
「両親も楽しみにしているの。行きましょう」
美和ちゃんに手を取られてグイグイと引っ張られる。
「こら美和」
「何よ」
「俺の凛花に触るな」
「俺の凛花? はぁ? 束縛の強い男は嫌われるわよ」
蒼空さんの実家へご挨拶に訪れた時のこと――
地元の閑静な高級住宅街を車が走っている。
「そ、蒼空さん。まさかこの辺りですか?」
「ああ」
長い壁が続き、一軒一軒がとてつもない広さのお屋敷が建つ地域だ。
その中でも一際目立つ豪邸が……
「こ、ここ?」
「ああ」
蒼空さんのマンションも高級なので、きっとご実家も豪邸ではないかと予想していた。ところが、そんな私の想像の遥か上をいく、とてつもない豪邸に驚きを隠せない。驚きすぎて言葉も出ない……
どこかで見ているのか、蒼空さんの車を認識して自動で門が開いていく。奥に見えていた豪邸は、真っ白な洋館で外国ドラマの世界に入った気分になる。
「凛花どうした?」
「蒼空さんはここから毎日高校へ通ってたんですよね?」
「はあ?」
「だって、普通にみんなと同じ制服を着て、みんなと同じに汗を流していたイメージと、この豪邸とがあまりにも一致しなくて」
「そうか? みんなと一緒に部活終わりに買い食いしていたのを知っているだろう?」
そう言われると、無理をしていたようには見えなかったし、まさかこんなに豪邸に住んでいるとは思わせないくらいに馴染んでいた。
「凛花の知る俺が全てだ」
「うん!」
緊張しすぎて、本当の蒼空さんを見失いそうになる。でも、いつも私のことを考えてくれている姿こそが真の姿なのだ。
さり気なく私の腰に手を回しエスコートしてくれる。手土産は、前回私の実家に用意してくれた『長谷屋』の和菓子が、美和ちゃんをはじめご両親も好きだと知り、蒼空さんに予約してもらった。
深呼吸して気持ちを落ち着ける。私達が玄関へ到着する前に、美和ちゃんが出てきてくれた。
「いらっしゃい」
「こんにちは。お邪魔します」
「この前は、突然押しかけてごめんなさい」
「そんな。前回も謝ってもらったので、気にしないで下さい」
「両親も楽しみにしているの。行きましょう」
美和ちゃんに手を取られてグイグイと引っ張られる。
「こら美和」
「何よ」
「俺の凛花に触るな」
「俺の凛花? はぁ? 束縛の強い男は嫌われるわよ」
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