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第十五章
一生に一度の瞬間⑥
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可愛いスープボウルが気になるけれど、一気にテンションが下がった。蒼空さんが悪いわけではないけれど、カッコ良すぎて目を惹きすぎるのが悪い。いつもならあまり気にならないけれど、なぜか今日は嫉妬心が沸き起こる。明日のオフィスでの発表を前に、ナイーブになっているのだろうか。
「蒼空さん行こう」
「どうした? 欲しい物があるんじゃないのか?」
「もういいの」
「凛花」
「ん?」
「俺が良くない。凛花と一緒に使いたい」
何もかも理解した上で、言ってくれている優しい気持ちが、スッと私を包み込んでくれる。
結局、お揃いのスープボウルとスプーンを買って店を出た。朝食にこのスープボウルを一緒に使うのが楽しみだ。朝食だけじゃなく、一生一緒に使えたらいいなぁと思う。
気になった店を見つけては寄り道を繰り返して、長い散歩をして目的地のSAKURAが見えてきた。
エントランスの前のロータリーには、高級車がどんどん入ってくる。そこへ、車体が他よりも長い一際高級な車が入って来た。
どんな人が乗っているのか気になって思わず見てしまう。
助手席から男性が出てきて、後部座席の扉を開いた。すると、長身のイケメン男性が降りてきて、中に手を差し伸べている。
「あ!!」
「えっ⁉ 知ってる人?」
「あの人が、陽さんの兄で神楽坂リゾートの社長だ」
「オーラが凄い」
男性の手を取って次に降りて来たのが、イケメン男性に並んでも引けを取らない美女だ。
「じゃあ」
「ああ、このホテルの名前にもなっている愛妻のさくらさんだな」
さらに中学生くらいの美少年と小学生の双子の美少女が続いて降りて来た。
「一家揃って凄い迫力。美しすぎる家族だね」
「プッ、確かに」
一見冷たそうに見える神楽坂社長が、さくらさんに向かって微笑んだ瞬間だった。辺りからは『きゃあ』と黄色い声が上がる。そんな周りの声なんて一切聞こえていないのか、さくらさんの腰を抱いてホテルへと入って行った。その後には、王子に手を繋いでもらった双子の姫が続き、おとぎ話を見ている感覚に陥る。
「蒼空さん行こう」
「どうした? 欲しい物があるんじゃないのか?」
「もういいの」
「凛花」
「ん?」
「俺が良くない。凛花と一緒に使いたい」
何もかも理解した上で、言ってくれている優しい気持ちが、スッと私を包み込んでくれる。
結局、お揃いのスープボウルとスプーンを買って店を出た。朝食にこのスープボウルを一緒に使うのが楽しみだ。朝食だけじゃなく、一生一緒に使えたらいいなぁと思う。
気になった店を見つけては寄り道を繰り返して、長い散歩をして目的地のSAKURAが見えてきた。
エントランスの前のロータリーには、高級車がどんどん入ってくる。そこへ、車体が他よりも長い一際高級な車が入って来た。
どんな人が乗っているのか気になって思わず見てしまう。
助手席から男性が出てきて、後部座席の扉を開いた。すると、長身のイケメン男性が降りてきて、中に手を差し伸べている。
「あ!!」
「えっ⁉ 知ってる人?」
「あの人が、陽さんの兄で神楽坂リゾートの社長だ」
「オーラが凄い」
男性の手を取って次に降りて来たのが、イケメン男性に並んでも引けを取らない美女だ。
「じゃあ」
「ああ、このホテルの名前にもなっている愛妻のさくらさんだな」
さらに中学生くらいの美少年と小学生の双子の美少女が続いて降りて来た。
「一家揃って凄い迫力。美しすぎる家族だね」
「プッ、確かに」
一見冷たそうに見える神楽坂社長が、さくらさんに向かって微笑んだ瞬間だった。辺りからは『きゃあ』と黄色い声が上がる。そんな周りの声なんて一切聞こえていないのか、さくらさんの腰を抱いてホテルへと入って行った。その後には、王子に手を繋いでもらった双子の姫が続き、おとぎ話を見ている感覚に陥る。
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