119 / 137
第十五章
一生に一度の瞬間⑥
しおりを挟む
可愛いスープボウルが気になるけれど、一気にテンションが下がった。蒼空さんが悪いわけではないけれど、カッコ良すぎて目を惹きすぎるのが悪い。いつもならあまり気にならないけれど、なぜか今日は嫉妬心が沸き起こる。明日のオフィスでの発表を前に、ナイーブになっているのだろうか。
「蒼空さん行こう」
「どうした? 欲しい物があるんじゃないのか?」
「もういいの」
「凛花」
「ん?」
「俺が良くない。凛花と一緒に使いたい」
何もかも理解した上で、言ってくれている優しい気持ちが、スッと私を包み込んでくれる。
結局、お揃いのスープボウルとスプーンを買って店を出た。朝食にこのスープボウルを一緒に使うのが楽しみだ。朝食だけじゃなく、一生一緒に使えたらいいなぁと思う。
気になった店を見つけては寄り道を繰り返して、長い散歩をして目的地のSAKURAが見えてきた。
エントランスの前のロータリーには、高級車がどんどん入ってくる。そこへ、車体が他よりも長い一際高級な車が入って来た。
どんな人が乗っているのか気になって思わず見てしまう。
助手席から男性が出てきて、後部座席の扉を開いた。すると、長身のイケメン男性が降りてきて、中に手を差し伸べている。
「あ!!」
「えっ⁉ 知ってる人?」
「あの人が、陽さんの兄で神楽坂リゾートの社長だ」
「オーラが凄い」
男性の手を取って次に降りて来たのが、イケメン男性に並んでも引けを取らない美女だ。
「じゃあ」
「ああ、このホテルの名前にもなっている愛妻のさくらさんだな」
さらに中学生くらいの美少年と小学生の双子の美少女が続いて降りて来た。
「一家揃って凄い迫力。美しすぎる家族だね」
「プッ、確かに」
一見冷たそうに見える神楽坂社長が、さくらさんに向かって微笑んだ瞬間だった。辺りからは『きゃあ』と黄色い声が上がる。そんな周りの声なんて一切聞こえていないのか、さくらさんの腰を抱いてホテルへと入って行った。その後には、王子に手を繋いでもらった双子の姫が続き、おとぎ話を見ている感覚に陥る。
「蒼空さん行こう」
「どうした? 欲しい物があるんじゃないのか?」
「もういいの」
「凛花」
「ん?」
「俺が良くない。凛花と一緒に使いたい」
何もかも理解した上で、言ってくれている優しい気持ちが、スッと私を包み込んでくれる。
結局、お揃いのスープボウルとスプーンを買って店を出た。朝食にこのスープボウルを一緒に使うのが楽しみだ。朝食だけじゃなく、一生一緒に使えたらいいなぁと思う。
気になった店を見つけては寄り道を繰り返して、長い散歩をして目的地のSAKURAが見えてきた。
エントランスの前のロータリーには、高級車がどんどん入ってくる。そこへ、車体が他よりも長い一際高級な車が入って来た。
どんな人が乗っているのか気になって思わず見てしまう。
助手席から男性が出てきて、後部座席の扉を開いた。すると、長身のイケメン男性が降りてきて、中に手を差し伸べている。
「あ!!」
「えっ⁉ 知ってる人?」
「あの人が、陽さんの兄で神楽坂リゾートの社長だ」
「オーラが凄い」
男性の手を取って次に降りて来たのが、イケメン男性に並んでも引けを取らない美女だ。
「じゃあ」
「ああ、このホテルの名前にもなっている愛妻のさくらさんだな」
さらに中学生くらいの美少年と小学生の双子の美少女が続いて降りて来た。
「一家揃って凄い迫力。美しすぎる家族だね」
「プッ、確かに」
一見冷たそうに見える神楽坂社長が、さくらさんに向かって微笑んだ瞬間だった。辺りからは『きゃあ』と黄色い声が上がる。そんな周りの声なんて一切聞こえていないのか、さくらさんの腰を抱いてホテルへと入って行った。その後には、王子に手を繋いでもらった双子の姫が続き、おとぎ話を見ている感覚に陥る。
13
お気に入りに追加
431
あなたにおすすめの小説
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
冷徹上司の、甘い秘密。
青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。
「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」
「別に誰も気にしませんよ?」
「いや俺が気にする」
ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。
※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》
隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません
如月 そら
恋愛
旧題:隠れドS上司はTL作家を所望する!
【書籍化】
2023/5/17 『隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません』としてエタニティブックス様より書籍化❤️
たくさんの応援のお陰です❣️✨感謝です(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
🍀WEB小説作家の小島陽菜乃はいわゆるTL作家だ。
けれど、最近はある理由から評価が低迷していた。それは未経験ゆえのリアリティのなさ。
さまざまな資料を駆使し執筆してきたものの、評価が辛いのは否定できない。
そんな時、陽菜乃は会社の倉庫で上司が同僚といたしているのを見てしまう。
「隠れて覗き見なんてしてたら、興奮しないか?」
真面目そうな上司だと思っていたのに︎!!
……でもちょっと待って。 こんなに慣れているのなら教えてもらえばいいんじゃないの!?
けれど上司の森野英は慣れているなんてもんじゃなくて……!?
※普段より、ややえちえち多めです。苦手な方は避けてくださいね。(えちえち多めなんですけど、可愛くてきゅんなえちを目指しました✨)
※くれぐれも!くれぐれもフィクションです‼️( •̀ω•́ )✧
※感想欄がネタバレありとなっておりますので注意⚠️です。感想は大歓迎です❣️ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)💕
【完結】エリート産業医はウブな彼女を溺愛する。
花澤凛
恋愛
第17回 恋愛小説大賞 奨励賞受賞
皆さまのおかげで賞をいただくことになりました。
ありがとうございます。
今好きな人がいます。
相手は殿上人の千秋柾哉先生。
仕事上の関係で気まずくなるぐらいなら眺めているままでよかった。
それなのに千秋先生からまさかの告白…?!
「俺と付き合ってくれませんか」
どうしよう。うそ。え?本当に?
「結構はじめから可愛いなあって思ってた」
「なんとか自分のものにできないかなって」
「果穂。名前で呼んで」
「今日から俺のもの、ね?」
福原果穂26歳:OL:人事労務部
×
千秋柾哉33歳:産業医(名門外科医家系御曹司出身)
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる