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第十四章
彼の家族⑦
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「だっておかしいでしょう? 今まで女の陰が全くなかったのに、突然会ってほしい人がいるだなんて」
「私のことは蒼空さんから聞いたのでしょうか?」
蒼空さんの話だと、まだ詳しくは話していないはず。私がクラウドフラップで働いていて名前まで知っていることが疑問だ。
「蒼空くんが詳しく言わずに帰ったから、大介くんに聞いたの」
「金ちゃん先輩に?」
「何? あなた大介くんのことも知っているの?」
「は、はい……。金ちゃん先輩には詳しくお聞きになってないですか?」
「電話をしたら忙しそうだったから、名前と職場を聞き出しただけよ」
きっと金ちゃん先輩は、妹さんが私のところへ来るために連絡をしてきたとは思わなかったのだろう。
「そうですか。私は蒼空さんの高校時代の後輩なんです」
「ええっ⁉ あっ‼」
突然何かを思い出したのか、驚いたはあとなぜか慌てている様子だ。私は訳が分からず戸惑うしかない。何かマズイことでも言ったのだろうか。妹さんからの次の言葉を待つしかない。
「あなた、バスケ部のマネージャーだった子?」
「は、はい」
「はぁ~」
なぜか攻撃的な視線が少し緩んで、ため息をついている。一人何かに納得しているけれど、私にはどういう状況か全く理解できない。
そこへ――
「凛花!!」
「え⁉」
なぜか蒼空さんが焦った様子でこちらへ向かってやって来るではないか。蒼空さんにここへ来ることは約束通り言ってはいない。けれど、目の前からは疑いの視線を向けられた。
「美和、どういうことだ?」
「そ、蒼空さん、どうしてここが?」
「あなたが蒼空くんに言ったんじゃないの?」
誤解だとわかってもらうために、私はひたすら首を横に振ってアピールを繰り返す。
「凛花には聞いていない」
「じゃあなんで蒼空くんがここにいるのよ」
「知り合いがここの人で、凛花が女性とラウンジにいると連絡をくれたんだ。特徴を聞いたらお前に似てたから飛んできた」
なるほど。以前お会いした神楽坂さんが私を見掛けて蒼空さんに連絡してくれたようだ。
「ふーん」
「それよりどういうことだ? 勝手に凛花を呼び出すなんて」
「私のことは蒼空さんから聞いたのでしょうか?」
蒼空さんの話だと、まだ詳しくは話していないはず。私がクラウドフラップで働いていて名前まで知っていることが疑問だ。
「蒼空くんが詳しく言わずに帰ったから、大介くんに聞いたの」
「金ちゃん先輩に?」
「何? あなた大介くんのことも知っているの?」
「は、はい……。金ちゃん先輩には詳しくお聞きになってないですか?」
「電話をしたら忙しそうだったから、名前と職場を聞き出しただけよ」
きっと金ちゃん先輩は、妹さんが私のところへ来るために連絡をしてきたとは思わなかったのだろう。
「そうですか。私は蒼空さんの高校時代の後輩なんです」
「ええっ⁉ あっ‼」
突然何かを思い出したのか、驚いたはあとなぜか慌てている様子だ。私は訳が分からず戸惑うしかない。何かマズイことでも言ったのだろうか。妹さんからの次の言葉を待つしかない。
「あなた、バスケ部のマネージャーだった子?」
「は、はい」
「はぁ~」
なぜか攻撃的な視線が少し緩んで、ため息をついている。一人何かに納得しているけれど、私にはどういう状況か全く理解できない。
そこへ――
「凛花!!」
「え⁉」
なぜか蒼空さんが焦った様子でこちらへ向かってやって来るではないか。蒼空さんにここへ来ることは約束通り言ってはいない。けれど、目の前からは疑いの視線を向けられた。
「美和、どういうことだ?」
「そ、蒼空さん、どうしてここが?」
「あなたが蒼空くんに言ったんじゃないの?」
誤解だとわかってもらうために、私はひたすら首を横に振ってアピールを繰り返す。
「凛花には聞いていない」
「じゃあなんで蒼空くんがここにいるのよ」
「知り合いがここの人で、凛花が女性とラウンジにいると連絡をくれたんだ。特徴を聞いたらお前に似てたから飛んできた」
なるほど。以前お会いした神楽坂さんが私を見掛けて蒼空さんに連絡してくれたようだ。
「ふーん」
「それよりどういうことだ? 勝手に凛花を呼び出すなんて」
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