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第十三章
変化の時 SIDE蒼空②
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オフィスは平和を取り戻し、凛花も同期とランチに出るほどに、橋本の存在を忘れ去りつつある。
そんなある日――
外出先から戻った昌磨が、何やら険しい表情をしている。休憩室の自動販売機で飲み物を買っていた俺は、気づかずに通り過ぎる昌磨に声を掛けた。
「何かあったのか?」
「えっ? ああ、蒼空。いいところに」
「何だ? 何があった」
「さっき、オフィスビルに戻ってきた時に、吉瀬さんと一緒になったんだけど、男に声を掛けられてた」
「はあ⁉」
「吉瀬さんと同期の子が、うちの会社で働いているのを知ってたみたいで、名前を聞かれたって」
「で?」
「そんな怖い顔するなよ。俺がタイミング良く声を掛けたみたいで、逃げていった」
「どこの奴だ?」
「ハハッ、あまり言いたくないけど」
「どういうことだ?」
「だから、顔が怖いって」
「早く言えよ」
「片桐ホールディングスの床田って名乗ったそうだ」
「……」
寄りにも寄って、片桐の支社の奴か……
次、凛花に声を掛けようものなら、片桐を出すしかないな。
その機会はすぐにやってきた。
クラウドフラップの社長と役職者が集まって、数ヶ月に一度開かれる会食の日、凛花は同期の佐田と食事に行くという。
橋本のことがあってから心配は尽きないが、俺が凛花を閉じ込めておくわけにもいかない。
今回の会食の場所が、会社から近い『SAKURA』なのだが、凛花達もSAKURAの近くのイタリアンの店に行くようで、少し安心する。帰りは一緒に帰れるかもしれない。
俺があまりにも凛花を心配している様子を見ていた佐田に笑われたが、その通りだから気にならない。
会食が終わり、メッセージを入れるとSAKURAのラウンジでお茶をしていると返事が返ってきた。まだイタリアンの店で食事をしているだろうと思っていたので意外だ。
なぜか昌磨もついてくるというので、二人でラウンジに向かったのだが正解だった。昌磨が、先日凛花達に声を掛けた片桐の社員がこちらを見ているのに気づいたのだ。
イタリアンの店からラウンジに移動したのも、あいつらのせいだったらしい。一言文句を言ってやらないと気がすまない。
そんなある日――
外出先から戻った昌磨が、何やら険しい表情をしている。休憩室の自動販売機で飲み物を買っていた俺は、気づかずに通り過ぎる昌磨に声を掛けた。
「何かあったのか?」
「えっ? ああ、蒼空。いいところに」
「何だ? 何があった」
「さっき、オフィスビルに戻ってきた時に、吉瀬さんと一緒になったんだけど、男に声を掛けられてた」
「はあ⁉」
「吉瀬さんと同期の子が、うちの会社で働いているのを知ってたみたいで、名前を聞かれたって」
「で?」
「そんな怖い顔するなよ。俺がタイミング良く声を掛けたみたいで、逃げていった」
「どこの奴だ?」
「ハハッ、あまり言いたくないけど」
「どういうことだ?」
「だから、顔が怖いって」
「早く言えよ」
「片桐ホールディングスの床田って名乗ったそうだ」
「……」
寄りにも寄って、片桐の支社の奴か……
次、凛花に声を掛けようものなら、片桐を出すしかないな。
その機会はすぐにやってきた。
クラウドフラップの社長と役職者が集まって、数ヶ月に一度開かれる会食の日、凛花は同期の佐田と食事に行くという。
橋本のことがあってから心配は尽きないが、俺が凛花を閉じ込めておくわけにもいかない。
今回の会食の場所が、会社から近い『SAKURA』なのだが、凛花達もSAKURAの近くのイタリアンの店に行くようで、少し安心する。帰りは一緒に帰れるかもしれない。
俺があまりにも凛花を心配している様子を見ていた佐田に笑われたが、その通りだから気にならない。
会食が終わり、メッセージを入れるとSAKURAのラウンジでお茶をしていると返事が返ってきた。まだイタリアンの店で食事をしているだろうと思っていたので意外だ。
なぜか昌磨もついてくるというので、二人でラウンジに向かったのだが正解だった。昌磨が、先日凛花達に声を掛けた片桐の社員がこちらを見ているのに気づいたのだ。
イタリアンの店からラウンジに移動したのも、あいつらのせいだったらしい。一言文句を言ってやらないと気がすまない。
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