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第十一章

懐かしのメンバー⑦

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「大介は?」
「俺は、ワインにしようかな」
「じゃあ、ボトルで頼むか」
「ああ、任せる」

 蒼空さんがさっと注文してくれて、運ばれて来たドリンクでもう一度乾杯をする。

「蒼空先輩は、何をしても絵になりますね」
「そうか? 普通だろう?」

 私と優香は声にこそ出さないが、何もかも完璧で普通ではないと内心では叫んでいた。蒼空さんが普通だったら、世の男性達が困ってしまう。

「金ちゃん先輩は、全く歳を取らないですね。なんかズルイ」
「はあ? どこがだ? これでも苦労してるんだぞ」
「「えー」」

 全くそんな風には見えない。

「現に、もう結婚しているやつもいたのに、彼女すらいない。っていうか、暇がない」
「何のお仕事をしているんですか?」
「あれ? 凛花達は知らなかったか? 俺の実家が金城スポーツを経営している」

 金城スポーツといえば、大手スポーツメーカーで、高校のバスケ部のユニホームも金城スポーツの物だった。

 ロゴがオシャレな『K』のマークで、普段からみんな『Kケイ』としか言わないので、意識したことがなかったし、ましてや金ちゃん先輩の実家の会社だとは考えもしなかった。

「まさかのお坊ちゃま……」

 優香の口から思わず本音が漏れる。私も口にこそ出さなかったが同じことを思った。

「お坊ちゃまは止めてくれ。今の時代、親が社長だからって簡単に跡を継げるわけでもないし、みんなの目が厳しいから日々努力が欠かせない」
「まあ、努力が欠かせないのは、どの職業でも一緒だ」
「そうですね」
「凛花と優香も大人になったんだなぁと感慨深いよ」
「金ちゃん先輩、二歳しか変わらないのに言うことはオジサン臭い」
「ホント、見た目とのギャップが」

 私と優香は思わず笑い転げてしまう。

「お前ら笑いすぎ。蒼空も澄ましてないでなんか言えよ。ちゃっかり凛花を手に入れて」
「羨ましいからって、俺に突っかかるな」
「羨ましいよりも、遅いくらいだろう? やっとかと思ったよ。偶然にも一緒の会社で働きだしたのに、時間かかり過ぎだろう」
「蒼空先輩、凛花を大切にして下さいね」
「言われなくてもわかってる」

 長いつき合いの二人から突っ込まれて、タジタジになっている蒼空さんが新鮮だ。


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