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第十章
公認の仲③
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「クールで女性を寄せつけないオーラを出してた片桐部長が、凛花と同棲してるんでしょう?」
「うん」
「きっかけは?」
「実は、高校の部活の先輩なの」
「ええ⁉」
驚くのも無理はない。蒼空さんとこの会社で再会した時に『はじめまして』と言われて以来、私は誰にもこのことを打ち明けていなかったのだ。社内で知っているのは、轟課長くらいだろう。
「ずっと、片想いしていたの。まさかつき合うことになるなんて、夢にも思ってなかったよ」
「普段の二人を見ていても、そんなに前からの知り合いとは、思わなかったもん。片桐部長なら、高校の時からモテてそうだね」
「すごい人気だったよ。でもね、ずっと彼女はいなかったの」
「なんで⁉」
「目標があったんだって」
「ストイックな片桐部長っぽい。でも、最終的に凛花を選んだのは納得だよ」
「え⁉」
「すっごくお似合いだもん」
「……。ありがとう」
今まで全く自信がなかった私に、小春の言葉はすごく嬉しくて、胸が熱くなる。
「応援するから、何かあったらいつでも相談してね」
「うん」
相談できる人がいることは、今の私にとってどれだけ心強いか……
「風花も片桐部長のことは諦めたみたいだよ」
「そうなの?」
「林さんや橋本さんなら負ける気がしないけど、凛花が相手だと諦めるしかないよね」
「へ⁉」
「相変わらず無自覚なんだから……。片桐部長も心配だろうね」
小春がひとりで何かに納得しているけれど、全く意味がわからない。無自覚とはどういうことだろう。
「片桐部長は、社外の人にも人気があるから、凛花も大変だね」
「……」
蒼空さんは、取引先の人にも男女問わず人気がある。私の知らないところでも、ライバルはたくさんいると思う。目の前のライバルは、いなくなったけれど安心できないのだ。
ランチが終わって、小春とエレベーターを待っている時だった。
「ねえねえ」
後ろで男性が誰かを呼んでいるけれど、私と小春は関係ないだろうと思っていた。
「クラウドフラップの二人だよね?」
「「へ⁉」」
どうやら私達を呼んでいたみたいだ。
「名前教えてよ」
「「……」」
いきなり名前を聞かれても、答える義理はない。
「うん」
「きっかけは?」
「実は、高校の部活の先輩なの」
「ええ⁉」
驚くのも無理はない。蒼空さんとこの会社で再会した時に『はじめまして』と言われて以来、私は誰にもこのことを打ち明けていなかったのだ。社内で知っているのは、轟課長くらいだろう。
「ずっと、片想いしていたの。まさかつき合うことになるなんて、夢にも思ってなかったよ」
「普段の二人を見ていても、そんなに前からの知り合いとは、思わなかったもん。片桐部長なら、高校の時からモテてそうだね」
「すごい人気だったよ。でもね、ずっと彼女はいなかったの」
「なんで⁉」
「目標があったんだって」
「ストイックな片桐部長っぽい。でも、最終的に凛花を選んだのは納得だよ」
「え⁉」
「すっごくお似合いだもん」
「……。ありがとう」
今まで全く自信がなかった私に、小春の言葉はすごく嬉しくて、胸が熱くなる。
「応援するから、何かあったらいつでも相談してね」
「うん」
相談できる人がいることは、今の私にとってどれだけ心強いか……
「風花も片桐部長のことは諦めたみたいだよ」
「そうなの?」
「林さんや橋本さんなら負ける気がしないけど、凛花が相手だと諦めるしかないよね」
「へ⁉」
「相変わらず無自覚なんだから……。片桐部長も心配だろうね」
小春がひとりで何かに納得しているけれど、全く意味がわからない。無自覚とはどういうことだろう。
「片桐部長は、社外の人にも人気があるから、凛花も大変だね」
「……」
蒼空さんは、取引先の人にも男女問わず人気がある。私の知らないところでも、ライバルはたくさんいると思う。目の前のライバルは、いなくなったけれど安心できないのだ。
ランチが終わって、小春とエレベーターを待っている時だった。
「ねえねえ」
後ろで男性が誰かを呼んでいるけれど、私と小春は関係ないだろうと思っていた。
「クラウドフラップの二人だよね?」
「「へ⁉」」
どうやら私達を呼んでいたみたいだ。
「名前教えてよ」
「「……」」
いきなり名前を聞かれても、答える義理はない。
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