70 / 137
第九章
凛花を傷つける奴は許さない SIDE蒼空⑧
しおりを挟む
「何か、わかったのか?」
通話しているのを、横で見ていた昌磨に聞かれた。
「マンションの防犯カメラに、俺が出勤する時間から凛花の出勤時間まで、同じ女性が映っているらしい」
「え⁉ お前、それヤバくないか?」
「だから、こんな朝早くに連絡をくれたんだ」
「違う! ヤバイ奴なのは間違いないけど、そこじゃなくて吉瀬さん今日から少しだけ早く出るんじゃなかったか?」
「ああ」
「蒼空の出る時間からいるなら、時間を変えてもその女と確実に遭遇するぞ」
昌磨の言葉を聞いた瞬間、俺は走り出す。もし、いつもより早い時間に出たことで、女が凛花を怪しむことがあれば、危険な目に遭う可能性が高くなる。まだ映像を確認していないから、橋本だとは断言できないが、橋本で間違いないと思う。
俺のあとを昌磨も追いかけてきている。オフィスビルのエレベーターは、出勤ラッシュ前ですぐに到着した。一階に着いたと同時に、俺はマンションへ向かって全力で走り出した。
どうか無事であってくれと祈りながら……
マンションが見えてきた。
そして、前の歩道には何かを話している様子の、二人の女性の姿が見える。
「凛花‼」
「吉瀬さん‼」
俺と昌磨が大きな声で呼んだ瞬間に、女が凛花を思いっ切り突き飛ばしたのだ。凛花の身体が地面に叩きつけられて、後頭部を打ちつける。
必死に走るも、スローモーションのように凛花が倒れる姿に、頭が真っ白になる。
俺が凛花のところにたどり着いたタイミングで、なぜか警察も到着した。
「押さえろ」
「大丈夫ですか? 救急車を呼びます。動かさないで下さい」
一人が橋本を捕まえ、一人が救急車を手配している。その横で、抱きしめることもできない俺は、凛花の手を握ることしかできない。
「片桐部長、助けて。何で私がこんな目に……」
虚ろな目をした橋本が、自分の犯した罪の重さもわからないのか、俺に助けを求めてくる。
「お知り合いですか?」
「……」
凛花が心配で頭の働かない俺の代わりに、昌磨が答えてくれる。
病院で無事を確認するまで生きた心地がしなかった。
凛花を傷つける奴は許さない……
通話しているのを、横で見ていた昌磨に聞かれた。
「マンションの防犯カメラに、俺が出勤する時間から凛花の出勤時間まで、同じ女性が映っているらしい」
「え⁉ お前、それヤバくないか?」
「だから、こんな朝早くに連絡をくれたんだ」
「違う! ヤバイ奴なのは間違いないけど、そこじゃなくて吉瀬さん今日から少しだけ早く出るんじゃなかったか?」
「ああ」
「蒼空の出る時間からいるなら、時間を変えてもその女と確実に遭遇するぞ」
昌磨の言葉を聞いた瞬間、俺は走り出す。もし、いつもより早い時間に出たことで、女が凛花を怪しむことがあれば、危険な目に遭う可能性が高くなる。まだ映像を確認していないから、橋本だとは断言できないが、橋本で間違いないと思う。
俺のあとを昌磨も追いかけてきている。オフィスビルのエレベーターは、出勤ラッシュ前ですぐに到着した。一階に着いたと同時に、俺はマンションへ向かって全力で走り出した。
どうか無事であってくれと祈りながら……
マンションが見えてきた。
そして、前の歩道には何かを話している様子の、二人の女性の姿が見える。
「凛花‼」
「吉瀬さん‼」
俺と昌磨が大きな声で呼んだ瞬間に、女が凛花を思いっ切り突き飛ばしたのだ。凛花の身体が地面に叩きつけられて、後頭部を打ちつける。
必死に走るも、スローモーションのように凛花が倒れる姿に、頭が真っ白になる。
俺が凛花のところにたどり着いたタイミングで、なぜか警察も到着した。
「押さえろ」
「大丈夫ですか? 救急車を呼びます。動かさないで下さい」
一人が橋本を捕まえ、一人が救急車を手配している。その横で、抱きしめることもできない俺は、凛花の手を握ることしかできない。
「片桐部長、助けて。何で私がこんな目に……」
虚ろな目をした橋本が、自分の犯した罪の重さもわからないのか、俺に助けを求めてくる。
「お知り合いですか?」
「……」
凛花が心配で頭の働かない俺の代わりに、昌磨が答えてくれる。
病院で無事を確認するまで生きた心地がしなかった。
凛花を傷つける奴は許さない……
12
お気に入りに追加
431
あなたにおすすめの小説
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
冷徹上司の、甘い秘密。
青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。
「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」
「別に誰も気にしませんよ?」
「いや俺が気にする」
ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。
※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》
隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません
如月 そら
恋愛
旧題:隠れドS上司はTL作家を所望する!
【書籍化】
2023/5/17 『隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません』としてエタニティブックス様より書籍化❤️
たくさんの応援のお陰です❣️✨感謝です(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
🍀WEB小説作家の小島陽菜乃はいわゆるTL作家だ。
けれど、最近はある理由から評価が低迷していた。それは未経験ゆえのリアリティのなさ。
さまざまな資料を駆使し執筆してきたものの、評価が辛いのは否定できない。
そんな時、陽菜乃は会社の倉庫で上司が同僚といたしているのを見てしまう。
「隠れて覗き見なんてしてたら、興奮しないか?」
真面目そうな上司だと思っていたのに︎!!
……でもちょっと待って。 こんなに慣れているのなら教えてもらえばいいんじゃないの!?
けれど上司の森野英は慣れているなんてもんじゃなくて……!?
※普段より、ややえちえち多めです。苦手な方は避けてくださいね。(えちえち多めなんですけど、可愛くてきゅんなえちを目指しました✨)
※くれぐれも!くれぐれもフィクションです‼️( •̀ω•́ )✧
※感想欄がネタバレありとなっておりますので注意⚠️です。感想は大歓迎です❣️ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)💕
【完結】エリート産業医はウブな彼女を溺愛する。
花澤凛
恋愛
第17回 恋愛小説大賞 奨励賞受賞
皆さまのおかげで賞をいただくことになりました。
ありがとうございます。
今好きな人がいます。
相手は殿上人の千秋柾哉先生。
仕事上の関係で気まずくなるぐらいなら眺めているままでよかった。
それなのに千秋先生からまさかの告白…?!
「俺と付き合ってくれませんか」
どうしよう。うそ。え?本当に?
「結構はじめから可愛いなあって思ってた」
「なんとか自分のものにできないかなって」
「果穂。名前で呼んで」
「今日から俺のもの、ね?」
福原果穂26歳:OL:人事労務部
×
千秋柾哉33歳:産業医(名門外科医家系御曹司出身)
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる