俺様上司と複雑な関係〜初恋相手で憧れの先輩〜

第九章

凛花を傷つける奴は許さない SIDE蒼空⑦

　凛花が会議室を出ていった後も、俺と昌磨はその場に残った。
　
「おかしくないか？」
「ああ。ずっと、林が厄介なやつだと思っていたが」
「やはり黒幕がいたんじゃないか？　早急に調べた方がいいぞ」
「ああ、昌磨はオフィス内の防犯カメラの映像を、確認してもらえないか？」
「蒼空は？」
「マンションのコンシェルジュに依頼して、マンション周辺の防犯カメラを調べてもらうよ」
「橋本の行動を確認しないとな」
「ああ」

　オフィス内のことになるので、社長にも事情を話し協力してもらう。
　
　その日のうちに、警備室に残っている映像を見せてもらうことができた。橋本と接点があまりなさそうな、林や浜口に声を掛けている姿を確認することができたのだが、音声がないのでどんな話をしているかはわからない。ただ、なにかしら接触していたことはわかった。

　ただ、住んでいるところも知られているので、どうするべきか悩む。まさか、翌日に急展開を迎えるとは考えもしなかった。　

　いつも通りの時間に出社して、昌磨と話をしている時だった。

　スマホが着信を告げる――

「はい」
「片桐様、おはようございます。コンシェルジュの田辺でございます」
「おはようございます。なにかわかりましたか？」
「昨日の件ですが、最新の映像から遡って確認していたところ、早朝に片桐様が出社される前から、吉瀬様が出られるまで同じ女性がカメラに映っています」
「え⁉」
「まだ三ヶ月分ほど確認したところなのですが、吉瀬様と一緒に住まれる前から、その女性は映っております。申し上げにくいのですが、時々休日にも……」

　完全なストーカーではないか……。休日まで見られていたと思うとゾッとする。俺と凛花が同棲を始めた日に目撃したのもその女だろう。

「警察に提出する必要が出てくるかもしれないので、保管していただけますか？」
「かしこまりました。残りの映像も確認して、保管しておきます」
「ありがとうございます」

　連絡を入れた時に、一年分の映像が残っていると言っていた。申し訳ないが、女がいつから映っているのか確認してもらいたい。