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第九章
凛花を傷つける奴は許さない SIDE蒼空③
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「田中、お前が今日提出するはずの書類は?」
「……。すみません」
すでに、どの書類のことか察して謝ってくる。
「謝罪はいらない。どうしたんだ?」
「林さんに頼みました」
「そうか、で? 残業でもしないと間に合わない状態の仕事を林に頼んで、金曜は直帰したと?」
「すみません」
「林、頼まれた仕事はどうした?」
「できています」
「お前が自分でしたのか?」
「はい」
「じゃあ、すぐに持ってこい。俺に説明してくれ」
「え? 説明……」
よくも堂々と自分がしたと言えるものだと呆れる。
「できるわけないよな? 金曜は合コンだったか?」
「なんで⁉」
「お前の仕事振りは全て把握している。要領だけは一流だが、今まで開発部にいたこと自体が不思議だ。今回は、社長と話をしたから、社長から処分の内容を聞いてくれ」
「そんな」
「あと、俺と吉瀬さんのことを何か言っていたみたいだが、お前が実際に見たことなのか?」
「え、いえ……」
「誰に聞いたんだ?」
「……」
この話には、黙り込んでしまった。口を割るつもりはないらしい……
これ以上、林に用はない。林がどうするかはわからないが、田中をはじめとする開発部の男共は、気軽に仕事を頼めなくなるだろう。これで、凛花の負担はかなり減るはずだ。
話が終わりフロアに戻るも凛花の姿がない。
「吉瀬さんはどこへ行った?」
「凛花先輩は、轟課長に呼ばれてどこかへ行きましたよ」
「そうか、ありがとう」
「いいえ」
凛花の後輩の橋本は、林とは違って仕事は真面目だし、控えめな女性だと思っていた。まさかこいつが一番腹黒いとは、気づけなかったのだ。俺が気づけていたら、後々凛花がケガをすることはなかっただろう……
会議室は『使用中』になっている。他の会議室は空室になっているので、ここで間違いないだろうが、念のためノックをすると昌磨が返事をした。
昌磨と二人のシチュエーションが、無性に腹が立つ。ここが会社なんて関係ない。本能のままに凛花の元へ行き抱きしめた。
昌磨は俺の行動に吹き出しているが、今のこの状況を説明してもらおうか。俺の凛花を呼び出して、二人きりになるなんて……
「……。すみません」
すでに、どの書類のことか察して謝ってくる。
「謝罪はいらない。どうしたんだ?」
「林さんに頼みました」
「そうか、で? 残業でもしないと間に合わない状態の仕事を林に頼んで、金曜は直帰したと?」
「すみません」
「林、頼まれた仕事はどうした?」
「できています」
「お前が自分でしたのか?」
「はい」
「じゃあ、すぐに持ってこい。俺に説明してくれ」
「え? 説明……」
よくも堂々と自分がしたと言えるものだと呆れる。
「できるわけないよな? 金曜は合コンだったか?」
「なんで⁉」
「お前の仕事振りは全て把握している。要領だけは一流だが、今まで開発部にいたこと自体が不思議だ。今回は、社長と話をしたから、社長から処分の内容を聞いてくれ」
「そんな」
「あと、俺と吉瀬さんのことを何か言っていたみたいだが、お前が実際に見たことなのか?」
「え、いえ……」
「誰に聞いたんだ?」
「……」
この話には、黙り込んでしまった。口を割るつもりはないらしい……
これ以上、林に用はない。林がどうするかはわからないが、田中をはじめとする開発部の男共は、気軽に仕事を頼めなくなるだろう。これで、凛花の負担はかなり減るはずだ。
話が終わりフロアに戻るも凛花の姿がない。
「吉瀬さんはどこへ行った?」
「凛花先輩は、轟課長に呼ばれてどこかへ行きましたよ」
「そうか、ありがとう」
「いいえ」
凛花の後輩の橋本は、林とは違って仕事は真面目だし、控えめな女性だと思っていた。まさかこいつが一番腹黒いとは、気づけなかったのだ。俺が気づけていたら、後々凛花がケガをすることはなかっただろう……
会議室は『使用中』になっている。他の会議室は空室になっているので、ここで間違いないだろうが、念のためノックをすると昌磨が返事をした。
昌磨と二人のシチュエーションが、無性に腹が立つ。ここが会社なんて関係ない。本能のままに凛花の元へ行き抱きしめた。
昌磨は俺の行動に吹き出しているが、今のこの状況を説明してもらおうか。俺の凛花を呼び出して、二人きりになるなんて……
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