50 / 137
第七章
真っ直ぐな想い⑦
しおりを挟む
窓の外には最高の夜景、向かいの席には美しい彼氏。
高級ホテルの上質な部屋で、夢でも見ているような非現実的な状況にいる。
「改めて、俺達の始まりに乾杯」
「乾杯」
グラスを軽く合わせながらも、私に視線を向けた蒼空さんに微笑まれると、食事だというのに身体が疼く。私の身体はどうしてしまったのだろう。まさか食事を前にした私が、そんなことを感じているなんて、蒼空さんは思いもしないだろう。勝手に恥ずかしくなって、慌ててシャンパンを口にするも、頬にはすでに熱を感じた。
「凛花どうした? もう酔った?」
まだ口にしたばかりのシャンパンで酔うはずもないのだが、そう言われるほど頬が赤いのだろう。
「蒼空さんに酔いました」
「へ⁉」
「あ!!」
無意識に出た本音が更に私の羞恥心を煽る。言い訳するわけではないが、世のほとんどの女性が蒼空さんのようなイケメンと、この状況になったら同じ反応をするに違いない。
「俺は凛花にメロメロだ」
「へ⁉」
今度は私が驚く番だ。まさかそんなことを言われるとは……
せっかく両想いになって同棲まで始めたはずが、忙しすぎてあの日から全く進展していないにも等しい。言葉では伝えあっても、愛し合う時間が全くなかったのだ。
ただ単に、蒼空さんのモテ具合を再認識して、私が相応しいのか疑問が膨れ上がる期間になっただけだった。
私の心の内を知る由もない蒼空さんには、なにも責任はないけれど、モテモテなことを恨めしく思う。彼氏がモテることは自慢になるのかもしれないが、私にとっては自慢ではなくプレッシャーでしかないのだ。
「林がいなくなって、何か困ることはないか?」
「私達の負担はかなり減ったけど、反対に開発部の林先輩に仕事を振っていた皆さんが忙しそうで……」
「自業自得だ。元々自分でやるべき仕事を、頼りすぎていたんだ。凛花達は、今まで自分達の仕事以外の雑用が多過ぎた」
他の誰でもなく、蒼空さんが気づいて見ていてくれていただけで、今までの仕事が報われた気がするから不思議だ。
「あっ、これ美味しい」
お料理は魚がメインのフレンチで、全てが運ばれてきているので、マナーも気にせずに、好きなものから食べられて嬉しい。
高級ホテルの上質な部屋で、夢でも見ているような非現実的な状況にいる。
「改めて、俺達の始まりに乾杯」
「乾杯」
グラスを軽く合わせながらも、私に視線を向けた蒼空さんに微笑まれると、食事だというのに身体が疼く。私の身体はどうしてしまったのだろう。まさか食事を前にした私が、そんなことを感じているなんて、蒼空さんは思いもしないだろう。勝手に恥ずかしくなって、慌ててシャンパンを口にするも、頬にはすでに熱を感じた。
「凛花どうした? もう酔った?」
まだ口にしたばかりのシャンパンで酔うはずもないのだが、そう言われるほど頬が赤いのだろう。
「蒼空さんに酔いました」
「へ⁉」
「あ!!」
無意識に出た本音が更に私の羞恥心を煽る。言い訳するわけではないが、世のほとんどの女性が蒼空さんのようなイケメンと、この状況になったら同じ反応をするに違いない。
「俺は凛花にメロメロだ」
「へ⁉」
今度は私が驚く番だ。まさかそんなことを言われるとは……
せっかく両想いになって同棲まで始めたはずが、忙しすぎてあの日から全く進展していないにも等しい。言葉では伝えあっても、愛し合う時間が全くなかったのだ。
ただ単に、蒼空さんのモテ具合を再認識して、私が相応しいのか疑問が膨れ上がる期間になっただけだった。
私の心の内を知る由もない蒼空さんには、なにも責任はないけれど、モテモテなことを恨めしく思う。彼氏がモテることは自慢になるのかもしれないが、私にとっては自慢ではなくプレッシャーでしかないのだ。
「林がいなくなって、何か困ることはないか?」
「私達の負担はかなり減ったけど、反対に開発部の林先輩に仕事を振っていた皆さんが忙しそうで……」
「自業自得だ。元々自分でやるべき仕事を、頼りすぎていたんだ。凛花達は、今まで自分達の仕事以外の雑用が多過ぎた」
他の誰でもなく、蒼空さんが気づいて見ていてくれていただけで、今までの仕事が報われた気がするから不思議だ。
「あっ、これ美味しい」
お料理は魚がメインのフレンチで、全てが運ばれてきているので、マナーも気にせずに、好きなものから食べられて嬉しい。
22
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない
若松だんご
恋愛
――俺には、将来を誓った相手がいるんです。
お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。
――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。
ほげええっ!?
ちょっ、ちょっと待ってください、課長!
あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?
課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。
――俺のところに来い。
オオカミ課長に、強引に同居させられた。
――この方が、恋人らしいだろ。
うん。そうなんだけど。そうなんですけど。
気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。
イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。
(仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???
すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》
隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません
如月 そら
恋愛
旧題:隠れドS上司はTL作家を所望する!
【書籍化】
2023/5/17 『隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません』としてエタニティブックス様より書籍化❤️
たくさんの応援のお陰です❣️✨感謝です(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
🍀WEB小説作家の小島陽菜乃はいわゆるTL作家だ。
けれど、最近はある理由から評価が低迷していた。それは未経験ゆえのリアリティのなさ。
さまざまな資料を駆使し執筆してきたものの、評価が辛いのは否定できない。
そんな時、陽菜乃は会社の倉庫で上司が同僚といたしているのを見てしまう。
「隠れて覗き見なんてしてたら、興奮しないか?」
真面目そうな上司だと思っていたのに︎!!
……でもちょっと待って。 こんなに慣れているのなら教えてもらえばいいんじゃないの!?
けれど上司の森野英は慣れているなんてもんじゃなくて……!?
※普段より、ややえちえち多めです。苦手な方は避けてくださいね。(えちえち多めなんですけど、可愛くてきゅんなえちを目指しました✨)
※くれぐれも!くれぐれもフィクションです‼️( •̀ω•́ )✧
※感想欄がネタバレありとなっておりますので注意⚠️です。感想は大歓迎です❣️ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)💕
恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~
泉南佳那
恋愛
「よっしゃー」が口癖の
元気いっぱい営業部員、辻本花梨27歳
×
敏腕だけど冷徹と噂されている
俺様部長 木沢彰吾34歳
ある朝、花梨が出社すると
異動の辞令が張り出されていた。
異動先は木沢部長率いる
〝ブランディング戦略部〟
なんでこんな時期に……
あまりの〝異例〟の辞令に
戸惑いを隠せない花梨。
しかも、担当するように言われた会社はなんと、元カレが社長を務める玩具会社だった!
花梨の前途多難な日々が、今始まる……
***
元気いっぱい、はりきりガール花梨と
ツンデレ部長木沢の年の差超パワフル・ラブ・ストーリーです。
狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
羽村美海
恋愛
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。
とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。
そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー
住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……?
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
✧天澤美桜•20歳✧
古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様
✧九條 尊•30歳✧
誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
*西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨
※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。
※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。
※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。
✧
✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧
✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧
【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】
Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ
慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。
その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは
仕事上でしか接点のない上司だった。
思っていることを口にするのが苦手
地味で大人しい司書
木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)
×
真面目で優しい千紗子の上司
知的で容姿端麗な課長
雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29)
胸を締め付ける切ない想いを
抱えているのはいったいどちらなのか———
「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」
「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」
「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」
真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。
**********
►Attention
※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる