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第七章

真っ直ぐな想い⑥

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 今度こそ、お風呂に入ってくるように言われて、豪華なバスルームで手足を思いっ切り伸ばして、お湯に浸かる。シャワーでいいかと思っていたが、すでにバスタブにお湯がはられていたら、入らずにはいられない。

 先程までの行為に、身体の節々がギシギシ感じる。慣れない体勢と日頃の運動不足が原因だ。

「凛花、大丈夫か?」
「えっ⁉」

 バスルームの外から、蒼空さんの心配そうな声が聞こえてきた。

「長いから、倒れているか眠っているのかと思った」
「ごめんなさい。すぐに上がるね」
「いや、何もなければいいんだ」
「蒼空さんも入るよね?」
「ああ、一緒に入っていいのか?」
「ちょっ、ちょっと、やっ」
「プッ、冗談だ。ゆっくりでいいから」

 私の焦りようにツボったようで、未だ扉の向こうでクスクスと聞こえる。常に蒼空さんの手のひらの上で転がされているのだ。先輩としても、上司としても完璧な人に、私が勝てるはずもなく。待たせていることに気づいたら、のんびりはしていられない。

 もちろん着替えの用意はないので、冗談ではなくバスローブを着るしかない。ショーツも先ほどの行為で濡れてしまって、履くことができないのだ。下着もつけずにバスローブ一枚で、このまま過ごすなんて恥ずかしいが、他に手立てがない。

「お待たせしました……」

 そっと扉を開けて声を掛けると、ダイニングテーブルの上には美味しそうな食事が、すでに運ばれて来ていた。蒼空さんはソファに座って、ローテーブルにパソコンを置いてなにか仕事をしていたようだ。

「温かいうちに食事にしよう」
「はい」
「何飲む?」
「蒼空さんは?」
「陽さんがシャンパンを用意してくれていたみたいで、食事と一緒に運んで来てくれたからいただこうかな」
「じゃあ、せっかくなので私も少しだけ」

 シャンパンクーラーで冷やされたボトルを取り、私に注いでくれる姿が絵になりすぎていて、思わず魅入ってしまう。何をしても人を魅了するなんてズルすぎる。

「私が」
「いいから座ってて」

 蒼空さんの分を私が注ごうと思ったが、さっと制された。


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