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第七章

真っ直ぐな想い②

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 メッセージを送る時間も、もどかしいとばかりに電話を掛けた。

「はい」
「蒼空さん、前まで来たよ」
「了解、エントランスに来て」
「はい」

 ドキドキしながら重厚な扉をくぐると、素敵なエントランスが広がる。ただ、前回の遅い時間とは違い、エントランスにもフロントにも人が多い。綺麗に着飾った人達が視界に入る。思わず自分の服装を確認するが、残念ながら勤務終わりの私の服装は、シンプルなワンピースだ。今回もたまたまワンピースを着ていて良かったと思う。

「凛花」

 声が聞こえた方に顔を向けると、いつもながらに堂々とした蒼空さんが、こちらへ向かって一直線にやって来る。その姿は、華があり周囲の視線を集めているのだ。いつでもどこでも絵になる人だ。

「蒼空さん、お待たせしちゃった?」
「大丈夫だ。さっきまでここで打ち合わせをしていたんだ」
「オフィスに戻らなくても大丈夫なの?」
「ああ、全て終わらせている。やっと今週末は、凛花と思う存分過ごすことができる。行こう」

 自然に私の腰へ手を回して、エスコートしてくれる。エレベーターへ向かうだけで、あちらこちらから視線が突き刺さるのは気のせいではないだろう。

 前回同様に、上層階行きのエレベーターに乗り込みカードをかざしている。前回は、最上階のひとつ下のボタンを押していたが、今日はふたつ下だ。
 
 エレベーターはぐんぐん上昇し、あっという間に目的の階に到着した。扉が開くと見覚えのあるフロア――

「お腹空いた?」
「うん……。少し」
「じゃあ、ルームサービスを頼もう。料理が来るまでに、ゆっくり風呂に入るといい」
「今日は、ここに泊まるの?」
「ああ、今日と明日な」
「へ!?」
「せっかく同棲まで始めたのに、忙しすぎて凛花を堪能していない。こんなはずじゃなかったんだ。だから、もう一度やり直し」

 もう一度やり直しとは、どの部分のことを言っているのだろうか。一応、一緒に住んで毎日朝食を共にしている。

「何も用意してきていないよ」
「今、着ている服はクリーニングしてくれるし、部屋にいる間はバスローブで過ごせばいい」


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