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第六章

モテる男の彼女⑥

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 少しでも顔を見たいと、毎日リビングのソファで帰りを待っているのだが、いつの間にか寝てしまい、夜中にふと目覚めるとベッドに運ばれている。隣には綺麗な蒼空さんの寝顔があるのだ。

 美しい寝顔を暫し眺めてから、もう一度眠りにつく日々……

 唯一朝のひとときだけが、私達の時間……

 最近では、蒼空さんを起こさないように、アラームが鳴る前に目覚める。一人暮らしの時は、二度寝してギリギリになっていたのが、嘘のようにスッキリ目覚めて、そっとベッドを抜け出すのだ。

 私も蒼空さんも、元々朝食は適当だったのだが、同棲をきっかけに二人でしっかりと食べることにした。

 コーヒーに合わせて、朝食はパンにしている。野菜を食べられるように、サンドイッチだったりピザトーストだったり工夫はしているのだ。

 ちょうど、ピザトーストが焼き上がったタイミングで、蒼空さんが起きてきた。

「おはようございます」
「おはよう。ソファで寝ていたら疲れも取れないし、風邪を引くぞ」
「だって……。起きて待っていたかったんだもん」
「はぁ~」

 ため息をつかれてしまった。

「ゴメンナサイ……」
「怒っているんじゃない」
「でも……」
「朝から可愛いこと言われると、仕事に行きたくなくなるだろう?もう凛花不足で限界なんだ」
「へ!?」
「へってなんだ? 寂しいと思っているのは俺だけか?」
「私もだけど、蒼空さんは平気なんだと思ってた」
「そんなわけあるか。何度凛花を起こして抱きたいと思ったことか」
「なっ!!」

 顔を真っ赤にする私とは違い、冷静に見える蒼空さんが、私の目の前まで来てギュウッと抱き締める。私も蒼空さんの背中に手を回した。

「はぁ~、まともに抱き締められるのが朝だけって、なんの試練だ……」
「クスクス」
「笑ったな」
「だって、ンンッ」

 顔を見ようと、見上げた瞬間に唇を塞がれた。朝から濃厚な口づけが交わされる。

「ハアン」
「凛花の色っぽい声で我慢できなくなりそうだ……。今週末は絶対に休むから」
「うん」
「どこかに行きたいか?」
「ううん。蒼空さんとゆっくりしたい……」
「可愛すぎるだろう。ハア、本当にこれ以上は理性がヤバイ。朝食を食べて週末のために頑張ろう」


 
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