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第六章
モテる男の彼女④
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「ああ、でも俺には気になっていることがあって」
「⁇」
「林は、まあやり方を見ていても、後ろ盾があるからなのかもしれないが、あまり賢いとは思えない。今回、林に二人のことを話して、噂を流させた黒幕がいると思う。蒼空もきっと気づいている。だから、当分の間は気をつけてくれ」
「はい」
蒼空さんに、あからさまに近づいていた林先輩ではない人物。本当にそんな人がいるのなら、相当な切れ者なのだろう。今まで、林先輩を隠れ蓑にして、蒼空さんのことを虎視眈々と狙っていたのだろうか。無意識に身体が『ブルッ』と震えた。
その人物は、すでに私が蒼空さんと歩いていたことも把握している。週末に目撃できるということは、金曜の夜の時点で見られていたのかもしれない。林先輩は、仕事を押しつけ合コンに行っていた。
ーーコンコン
会議室にノックの音が響いた。
「はい」
轟課長の返事が聞こえたのか、『ガチャッ』と扉が開いた。なぜか鋭い視線の蒼空さんが、こちらへ向かって一直線にやってくる。そして、会社の会議室にもかかわらず『ガバッ』と音がしそうなほどの勢いで、私は抱きしめられたのだ。
「プッ」
「へ!?」
轟課長の吹き出す声と、私の驚きの声が重なった。安心する温もりだが、ここは会社の会議室で、目の前には上司がいる状況。
「昌磨、どういうことだ?」
「そんな怒るなよ」
「怒られたくなかったら、俺の凛花を勝手に呼び出すな」
「俺の凛花……。お前……」
「蒼空さん、恥ずかしい……」
轟課長と仲が良いとはいえ、昨日今日の関係で、そんなに堂々と宣言されても困る。
「カワイイ……」
「おい昌磨、なんて言った?」
「吉瀬さんが可愛いから、素直に可愛いって言っただけだろう」
「勝手に見るな」
「ブハァッ」
とうとう轟課長が吹き出して、笑い転げているではないか。課長の反応が正常であって、蒼空さんが可笑しいのだ。
「吉瀬さんを俺から隠すよりも、もっと大事なことがあるだろう?」
「ああ、林の件は解決した」
「黒幕は?」
「それはわからなかった。社長が何度も聞いてくれたんだが、口を割らなかったんだ」
「林先輩の件が解決したっていうのは、結局どうなったんですか?」
「仕事はしないが、犯罪を犯したわけではない。取り合えずは、支店に転勤だ。あとは本人の判断だな」
「⁇」
「林は、まあやり方を見ていても、後ろ盾があるからなのかもしれないが、あまり賢いとは思えない。今回、林に二人のことを話して、噂を流させた黒幕がいると思う。蒼空もきっと気づいている。だから、当分の間は気をつけてくれ」
「はい」
蒼空さんに、あからさまに近づいていた林先輩ではない人物。本当にそんな人がいるのなら、相当な切れ者なのだろう。今まで、林先輩を隠れ蓑にして、蒼空さんのことを虎視眈々と狙っていたのだろうか。無意識に身体が『ブルッ』と震えた。
その人物は、すでに私が蒼空さんと歩いていたことも把握している。週末に目撃できるということは、金曜の夜の時点で見られていたのかもしれない。林先輩は、仕事を押しつけ合コンに行っていた。
ーーコンコン
会議室にノックの音が響いた。
「はい」
轟課長の返事が聞こえたのか、『ガチャッ』と扉が開いた。なぜか鋭い視線の蒼空さんが、こちらへ向かって一直線にやってくる。そして、会社の会議室にもかかわらず『ガバッ』と音がしそうなほどの勢いで、私は抱きしめられたのだ。
「プッ」
「へ!?」
轟課長の吹き出す声と、私の驚きの声が重なった。安心する温もりだが、ここは会社の会議室で、目の前には上司がいる状況。
「昌磨、どういうことだ?」
「そんな怒るなよ」
「怒られたくなかったら、俺の凛花を勝手に呼び出すな」
「俺の凛花……。お前……」
「蒼空さん、恥ずかしい……」
轟課長と仲が良いとはいえ、昨日今日の関係で、そんなに堂々と宣言されても困る。
「カワイイ……」
「おい昌磨、なんて言った?」
「吉瀬さんが可愛いから、素直に可愛いって言っただけだろう」
「勝手に見るな」
「ブハァッ」
とうとう轟課長が吹き出して、笑い転げているではないか。課長の反応が正常であって、蒼空さんが可笑しいのだ。
「吉瀬さんを俺から隠すよりも、もっと大事なことがあるだろう?」
「ああ、林の件は解決した」
「黒幕は?」
「それはわからなかった。社長が何度も聞いてくれたんだが、口を割らなかったんだ」
「林先輩の件が解決したっていうのは、結局どうなったんですか?」
「仕事はしないが、犯罪を犯したわけではない。取り合えずは、支店に転勤だ。あとは本人の判断だな」
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