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第五章
新たな始まり⑤
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手続きが終わりそのまま地下の駐車場に連れて来られた。駐車場に来るだけで、三回もカードキーを翳すところがあったことに驚きだ。
地下の駐車場には、私の想像通りの高級車が、ずらっと並んでいる。
蒼空さんの車は、車に詳しくない私でも知っている、高級外車のゲレンデといわれるものだった。とんでもなく、値段が高いということだけはわかる。マンションと車を見ただけで、私とは住む世界が違いすぎるのだ。
「凛花の家はどの辺だ?」
「ここから二駅のところで……」
住所を告げると、蒼空さんがナビを合わせてくれる。休日の道路は比較的空いていて、車だと十分ほどで到着した。
「近いところに住んでたんだな」
「車だとあっという間だね。そこのスペース、少しの間なら止めていいの」
マンションの来客用のスペースに止めてもらったが、車幅が大きくかなり目立つ。現に、前を通っていくマンションの住人に、ジロジロとみられているではないか。早く準備をして出なくてはと、気持ちが焦る。よく考えると、今まで部屋に男性を入れたこともないし、昨日の朝に片づけて出勤したかも不安だ。
コンシェルジュはもちろんいないが、オートロックはついているし、平日の昼間には通いの管理人さんもいる。就職してからここに住んでいるが、困ったことは一度もなく、気に入っているのだ。
エレベーターで五階まで上がって、廊下を奥まで進んだところが私の部屋。
「どうぞ。散らかっているかもしれませんが」
「お邪魔します」
私に続いて入って靴を脱いだ蒼空さんは、きちんと靴を揃えている。高校の頃から男子達は、靴や持ち物を散らかしていたが、蒼空さんの身の回りだけは、常に綺麗に整頓されていた。それどころか、みんなの靴を並べている姿を、何度も見たことがある。以前と変わらない蒼空さんに、憧れていた頃を思い出して、懐かしい気持ちになった。
「ソファに座ってね。コーヒーでいい?」
「ああ」
コーヒーを飲んで、待っていてもらう間に、荷物を準備しなくてはと思うのだが、二日分くらいで足りるのだろうか。
「今日と明日の分でいいかな?」
「近いからすぐに取りに来ることはできるが、当分の間うちで過ごせるぐらいは、まとめて持って行こう」
地下の駐車場には、私の想像通りの高級車が、ずらっと並んでいる。
蒼空さんの車は、車に詳しくない私でも知っている、高級外車のゲレンデといわれるものだった。とんでもなく、値段が高いということだけはわかる。マンションと車を見ただけで、私とは住む世界が違いすぎるのだ。
「凛花の家はどの辺だ?」
「ここから二駅のところで……」
住所を告げると、蒼空さんがナビを合わせてくれる。休日の道路は比較的空いていて、車だと十分ほどで到着した。
「近いところに住んでたんだな」
「車だとあっという間だね。そこのスペース、少しの間なら止めていいの」
マンションの来客用のスペースに止めてもらったが、車幅が大きくかなり目立つ。現に、前を通っていくマンションの住人に、ジロジロとみられているではないか。早く準備をして出なくてはと、気持ちが焦る。よく考えると、今まで部屋に男性を入れたこともないし、昨日の朝に片づけて出勤したかも不安だ。
コンシェルジュはもちろんいないが、オートロックはついているし、平日の昼間には通いの管理人さんもいる。就職してからここに住んでいるが、困ったことは一度もなく、気に入っているのだ。
エレベーターで五階まで上がって、廊下を奥まで進んだところが私の部屋。
「どうぞ。散らかっているかもしれませんが」
「お邪魔します」
私に続いて入って靴を脱いだ蒼空さんは、きちんと靴を揃えている。高校の頃から男子達は、靴や持ち物を散らかしていたが、蒼空さんの身の回りだけは、常に綺麗に整頓されていた。それどころか、みんなの靴を並べている姿を、何度も見たことがある。以前と変わらない蒼空さんに、憧れていた頃を思い出して、懐かしい気持ちになった。
「ソファに座ってね。コーヒーでいい?」
「ああ」
コーヒーを飲んで、待っていてもらう間に、荷物を準備しなくてはと思うのだが、二日分くらいで足りるのだろうか。
「今日と明日の分でいいかな?」
「近いからすぐに取りに来ることはできるが、当分の間うちで過ごせるぐらいは、まとめて持って行こう」
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