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第五章
新たな始まり③
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「まだ、当分忙しい日が続きそうなんだ。せっかく、こうして想いが通じたのに、もう離れたくない」
「……」
「何か、困ることがあるのか?」
「困るというか、今まで誰ともつき合ったことがなかった私に、彼氏ができたことが信じられないの。その相手が憧れの蒼空先輩で、それだけでもハードルが高いのに、さらに一緒に住むなんて、突然すぎてキャパオーバーで……」
「凛花は、俺と一緒に居たくない?」
妖艶な雰囲気から一転、母性本能をくすぐるような、人懐っこい表情で聞かれた。
「ズルい……。居たいよ……」
「じゃあ、決まりだな」
何を言っても、蒼空さんに勝てる気がしない。昨日の今日で、同棲まで決まってしまって、まだ夢の中にいるようだ。
「明日にでも、凛花の実家へ挨拶に行こう」
「はい?」
「同棲するんだ。ご挨拶しておかないと」
「蒼空先輩なら反対されないで、あっ、されないよ?」
「わからないだろう?」
「母は、高校時代に何度か試合を見に来ていて、蒼空さんのことをべた褒めだったから」
「それなら尚更、挨拶に行っておくべきだろう」
実家に連絡を入れて、彼氏を連れて行くと伝えると、母は大興奮だった。父の反応はわからないが、早速明日帰ることに決まる。まだ、蒼空さんとつき合うことになって一日も経っていないのに、想像以上のスピードで、物事が進んでいるではないか。
「今から、車で凛花の家に、荷物を取りに行こう」
「へ!? 今から?」
「ああ」
平然と、当たり前のように言われると、抵抗するのがおかしい気になってくるのだから不思議だ。
朝食を済ませ身なりを整えて、チェックアウトを済ませてホテルを出た。昨夜からの夢のような時間は、一生の思い出になるだろう。
自然に、手を繋がれて歩き出す。オフィスの方に戻っているけれど、そもそも蒼空さんが、どこに住んでいるのかも知らない。オフィスの最寄り駅から、二駅の私の住まいよりも遠いと、今よりも通勤に時間がかかってしまうなぁと考えながら歩いていた。
オフィスまで戻ってきたが、土曜日で出社している人は少ないだろう。誰にも見られていないといいのだけれど……
「……」
「何か、困ることがあるのか?」
「困るというか、今まで誰ともつき合ったことがなかった私に、彼氏ができたことが信じられないの。その相手が憧れの蒼空先輩で、それだけでもハードルが高いのに、さらに一緒に住むなんて、突然すぎてキャパオーバーで……」
「凛花は、俺と一緒に居たくない?」
妖艶な雰囲気から一転、母性本能をくすぐるような、人懐っこい表情で聞かれた。
「ズルい……。居たいよ……」
「じゃあ、決まりだな」
何を言っても、蒼空さんに勝てる気がしない。昨日の今日で、同棲まで決まってしまって、まだ夢の中にいるようだ。
「明日にでも、凛花の実家へ挨拶に行こう」
「はい?」
「同棲するんだ。ご挨拶しておかないと」
「蒼空先輩なら反対されないで、あっ、されないよ?」
「わからないだろう?」
「母は、高校時代に何度か試合を見に来ていて、蒼空さんのことをべた褒めだったから」
「それなら尚更、挨拶に行っておくべきだろう」
実家に連絡を入れて、彼氏を連れて行くと伝えると、母は大興奮だった。父の反応はわからないが、早速明日帰ることに決まる。まだ、蒼空さんとつき合うことになって一日も経っていないのに、想像以上のスピードで、物事が進んでいるではないか。
「今から、車で凛花の家に、荷物を取りに行こう」
「へ!? 今から?」
「ああ」
平然と、当たり前のように言われると、抵抗するのがおかしい気になってくるのだから不思議だ。
朝食を済ませ身なりを整えて、チェックアウトを済ませてホテルを出た。昨夜からの夢のような時間は、一生の思い出になるだろう。
自然に、手を繋がれて歩き出す。オフィスの方に戻っているけれど、そもそも蒼空さんが、どこに住んでいるのかも知らない。オフィスの最寄り駅から、二駅の私の住まいよりも遠いと、今よりも通勤に時間がかかってしまうなぁと考えながら歩いていた。
オフィスまで戻ってきたが、土曜日で出社している人は少ないだろう。誰にも見られていないといいのだけれど……
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