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第五章
新たな始まり①
しおりを挟む目が覚めると、豪華な寝心地のいいキングサイズのベッドの上で、横には憧れの先輩から彼氏になったばかりの、寝顔も美しい蒼空さんが眠っている。私も蒼空さんも、布団の中は裸で、下着さえ身に着けていない。目を瞑っている無防備な姿が珍しく、思わず凝視してしまう。きめ細かく色白の肌は、女の私より美しいのだ。
男性とおつき合いすることも、キスも初めての私が、それ以上のことまで一気に経験してしまった……。
ストイックな生活をしてきた蒼空さんにとっても、初めての行為だと言っていたのに、ベッドに運ばれキスをされてから、ずっと翻弄されていた。蒼空さんの口から紡がれる愛の言葉と、私の身体を這いまわる巧みな手つきに、私の口からは無意識に、恥ずかしい声が漏れてしまう。
身体のあちこちが軋み、昨夜の情事を思い起こしては、頬が赤くなってしまう。
「プッ」
「へ⁉」
ぐっすり眠っていると思っていた蒼空さんは、寝たふりをしていたらしい。
「凛花が可愛くて、目を開けられなった」
「恥ずかしい……」
眠っている間に布団を抜け出して、服を着ようと思っていたのに、どうしよう……。
「凛花、身体は? 大丈夫か?」
「なんとか……」
「シャワーを浴びて、朝食を食べよう」
「は、はい。キャアッ」
全裸のまま、堂々と布団から出た蒼空さんの姿に、思わず頭まで布団を被ってしまう。
「プハッ。お互いの裸は、散々見ただろう?」
「暗かったし、緊張していたので見てません!」
布団の中から、そこは否定すべきだと反論する。
「俺はしっかりと、可愛い凛花を見たぞ」
「忘れて下さい……」
「無理だな。これからは、今までの時間も取り返すくらい、たくさん愛し合うんだから」
どちらかと言えば高校時代から無口で、特に会社ではクールな印象の蒼空さんが、こんなにも甘いなんて知らなかった。もちろんいい意味で意外なのだが、奥手な私は翻弄される未来しかみえない。
「一緒にシャワー浴びるか?」
「結構です」
「クスッ。それは残念。じゃあ、先に浴びて来るから、その間にバスローブでも羽織っておいて。裸だと、また襲ってしまいそうだ」
「は、早く行ってきて下さい」
「はいはい」
全裸で堂々と歩いていく後ろ姿は、高校時代と変わらず逞しい。
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