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第四章
後輩で部下で愛しい存在 SIDE蒼空①
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俺が初めて凛花に会ったのは、高二の夏だった――。
いつものように体育館でバスケの練習をしていたが、その日は来年度の新入生の学校見学があり、時折中学生が体育館の横を通っている姿が見える。
いつもは、換気のために扉を何ヵ所か開けているが、見学者のためにすべての扉を開けておくように言われていた。普段は開けていないゴール下の扉も開いていた。勝手に見学する中学生を気にすることもなく、次の大会に向けての練習に励んでいたのだ。
ゴール下で俺にボールが回ってきて、ジャンプをしてシュートを決めた瞬間だった。
目の前の扉から制服を着た中学生の女の子二人が見ていたのだが、その内の一人の子と目が合ったのだ。中学生にしては大人びた印象の色白の長身の女の子……。
『ドクン』と心臓が高鳴った気がした――。
まだ未熟な俺は、意味がわからず戸惑うがまだ練習中なのだ。意識をコートに戻して練習を続けたが、次に見た時には彼女の姿はなかった。
その日以来、女の子のことを思い出すことがあったが、どこの誰かはわからない……。
幼い頃から整った顔立ちをしていると言われる俺は、常に女子につき纏われていた。俺の意思とは関係ないところで、勝手に俺を巡って揉めごとが起こる。そんな苦い経験を踏まえ、中学に入ったころから、女子を寄せつけないような雰囲気を出すようにした。
そんな事情もあって、女子を意識したことも、気になることもなかった俺が、あの時の子を思い出すのだからよっぽどなのだと思う。
あの衝撃の出会いから、半年以上経った春、新入生の中に彼女がいたのだ。
彼女、凛花はバスケの経験者で、男子バスケ部のマネージャー希望として俺と再会を果たす。
毎年、バスケ部のマネージャー希望者は多数いるのだが、俺やバスケ部の部員目当てが多く、動機が不純だと顧問が入部を認めなかった。だから、今はマネージャーが足りない状況だ。
俺としては、もちろん凛花に入ってもらいたいが、凛花とどうこうなるつもりはない。気にはなっていても、俺には自分で決めた目標があって、達成するまでは女性とつき合うつもりはないのだ。
凛花と凛花の友達で、同じくバスケ部のマネージャー希望の優香の熱意が顧問に伝わり、この年バスケ部のマネージャーとして、二人が入部することになった。
いつものように体育館でバスケの練習をしていたが、その日は来年度の新入生の学校見学があり、時折中学生が体育館の横を通っている姿が見える。
いつもは、換気のために扉を何ヵ所か開けているが、見学者のためにすべての扉を開けておくように言われていた。普段は開けていないゴール下の扉も開いていた。勝手に見学する中学生を気にすることもなく、次の大会に向けての練習に励んでいたのだ。
ゴール下で俺にボールが回ってきて、ジャンプをしてシュートを決めた瞬間だった。
目の前の扉から制服を着た中学生の女の子二人が見ていたのだが、その内の一人の子と目が合ったのだ。中学生にしては大人びた印象の色白の長身の女の子……。
『ドクン』と心臓が高鳴った気がした――。
まだ未熟な俺は、意味がわからず戸惑うがまだ練習中なのだ。意識をコートに戻して練習を続けたが、次に見た時には彼女の姿はなかった。
その日以来、女の子のことを思い出すことがあったが、どこの誰かはわからない……。
幼い頃から整った顔立ちをしていると言われる俺は、常に女子につき纏われていた。俺の意思とは関係ないところで、勝手に俺を巡って揉めごとが起こる。そんな苦い経験を踏まえ、中学に入ったころから、女子を寄せつけないような雰囲気を出すようにした。
そんな事情もあって、女子を意識したことも、気になることもなかった俺が、あの時の子を思い出すのだからよっぽどなのだと思う。
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彼女、凛花はバスケの経験者で、男子バスケ部のマネージャー希望として俺と再会を果たす。
毎年、バスケ部のマネージャー希望者は多数いるのだが、俺やバスケ部の部員目当てが多く、動機が不純だと顧問が入部を認めなかった。だから、今はマネージャーが足りない状況だ。
俺としては、もちろん凛花に入ってもらいたいが、凛花とどうこうなるつもりはない。気にはなっていても、俺には自分で決めた目標があって、達成するまでは女性とつき合うつもりはないのだ。
凛花と凛花の友達で、同じくバスケ部のマネージャー希望の優香の熱意が顧問に伝わり、この年バスケ部のマネージャーとして、二人が入部することになった。
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