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第三章

完璧な上司で先輩との関係⑪

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 今日たまたま残業していただけで約束をしていたわけではないのに、何もかも計画されていたように思うのは、蒼空さんから滲み出る大人の余裕がそう思わせているのだろうか。

 エスコートされるままに入った部屋も豪華すぎて、全く現実味がない。酔って夢を見ているのだと言われた方が納得できる。

 酔っていなかったら、あまりの非現実的な状況に逃げ出していたかもしれない……。

「俺は真剣なんだ。でも、嫌がる凛花に無理強いをするつもりはない。もちろん諦める選択肢はないから、ガンガン攻めて行くが、凛花の気持ちは最優先させる」
「蒼空さん……」

 会社からここに来るまで、いつもより少し強引で俺様な感じだったが全く嫌ではなかった。どちらかといえば、奥手の私には強引なくらいがいいのかもしれない。今日の蒼空さんの誘いがなければ、この先もずっと憧れて片想いしているだけだった。しかも俺様発言とは裏腹に、ここまで来ても私の気持ちを最優先してくれているのだ。


 一歩踏み出す勇気――。

 蒼空さんに全てを委ねたいと思った。

「ずっとずっと憧れていて大好きです。私を彼女にしてくれますか?」

 いつもなら恥ずかしくて絶対に言えない言葉もすんなりと出てきた。長年心に秘めていた想い。伝えることのない想いだと諦めていた。この瞬間が未だに信じられない。

「フッ。凛花に俺のセリフを取られたな。やっと気持ちを伝えられるところまで来ることができた。二人でこれからの未来を歩いていこう」
「はい。よろしくお願いします」

 まるでプロポーズのような言葉に胸が熱くなりながらも、自然と返事をしていた。

 私が返事をした瞬間、蒼空さんの腕の中に抱きしめられる。

 人気者の蒼空さんとつき合う覚悟が出来ているかといえば、そこまでは全く考えられていないが、どんな困難でも一緒なら乗り越えられると思えるほどの信頼感は誰よりもあると言える。

「凛花、キスしてもいいか?」
「プッ、もうしませんでしたか?」
「きちんとつき合うと言葉で確認してからの恋人同士の初めてのキスで、今の俺はこのキスをしたらもう止められない……」

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