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第三章

完璧な上司で先輩との関係⑧

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「陽さんは、兄のような存在なんだ」
「素敵な関係ですね」
「弟のような存在で常にモテモテの蒼空が、長いこと片想いしているって聞いてどんな女の子か気になっていたんだ」
「……。私のことですかね?なんかすみません」
「プハッ、蒼空、まさかの天然無自覚?」
「ですね」
「え⁇天然?誰がですか?」
「うん、凛花ちゃんはそのままがいいと思うよ。いや、蒼空のためにそのままでいてくれ」

 若干残念な子を見る目で見られているのは気のせいなのだろうか。

 それにしても、こんな大きなホテルの御曹司まで魅了する蒼空さんの魅力は計り知れない。学生時代からいつも周りに人が集まってきていたが、今も健在なのだと改めて実感した。蒼空さんこそ、天然の人たらしだと私は思う。

「あまり蒼空の邪魔をしたら悪いから俺は行くよ。あとは彼に注文して」
「陽さん、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「健闘を祈るよ」

 神楽坂さんが颯爽とこのフロアをあとにした。

「オーラに圧倒されました」
「カッコイイだろう?俺の憧れの人だよ」
「蒼空先輩も充分カッコイイですよ」
「凛花、先輩じゃないだろう?」

 目を見開き頬を赤くしている蒼空さんが、何かを誤魔化すように私の言葉を指摘する。蒼空さんの珍しい表情に、よくよく自分の発言を振り返ると、私が普段から心で思っている蒼空さんへの気持ちを無意識に口に出してしまっていた。私まで頬が赤くなる。

「凛花には驚かされてばかりだ」
「スミマセン、忘れて下さい」
「しっかり聞いたし忘れない。これから本気でいくから覚悟して」

 俺様な発言までさまになるのだから、イケメンはズルいと思う。なんとか話題を変えようと、ここに来てから疑問に思っていたことを小声で聞いてみる。

「週末なのにお客さん少ないですね」
「……」

 蒼空さんは、キョトンとした表情だ。何か間違ったことを言ったのだろうか。

「ここはクラブラウンジと言って、クラブフロアの利用者だけのラウンジなんだ」



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