才能無しの俺が指輪の力で最強幼馴染と共に異世界を冒険する話

14話 やべぇ気持ち悪ぃ

　僕は強くなるべきだ。　僕が弱いせいでノルを助けられなかった。　ノルは強くないのじゃなくて危ないことをしたから駄目だったって言ったけど、でも強くなろうとすればきっとあの時にオオカミも倒す事が出来たはずなのに……



「りんごおいしい！やばいりんごおいしい！」
　シャクシャクシャクシャクシャクシャク　プワーン　シャクシャクシャクシャクシャクシャクシャクシャク　プワーン　シャクシャクシャクシャク……

　俺は遠くからリーン……　通称りんごの子を眺めていた。　りんごを貪り食って、食べ終わればまた固有魔法で作り出し、そしてまた食べだす。　これをループしているのである。　というか何回りんご作れるのだろうか？あの子の魔力成長どれくらいだっけ？少なくともノーランじゃないよな？Cくらいかな？　あ、寝た。　魔力が尽きたのだろうか？　あれ起きた時物凄い辛いんだよなぁ……　まぁいいや俺も固形化の練習しよ……

　最近は糸レベルの小さい物を作る練習をしている。　少しは出来るのだが正直難しい。
　それと、10立方センチくらいより多くは固形化出来ない、と、言うかそもそもそれ以上の魔力が俺には無い。　それに脆い。　だから街とかで目に見えないくらいの超極細の糸を張り巡らせ、それで追い込まれた振りをして一発逆転！とかは無理なのだ。　悲しい。

　だけど、少しずつ魔力を体力で押し固めて固形化の精度を高めたり、劣化ブーストがそもそもブーストと同系統じゃないと知って名前を身体強化にしたり、魔力弾が石を全力投球くらいの威力が出るようになったり。
　まぁ俺も少しずつ強くなっているはずだ。　なのに……　どうしても、気持ち悪い。
　指輪だ、指輪のせいだ。
　こいつをはめてみたい。
　興味の衝動と痛みへの恐怖による拒絶。
　それが。
　その感情が絡み合って。
　ずっと耐え続けるのが。
　気持ち悪い。
　スッ……
　ポケットに手を入れ。
　ツン。
　爪に当たる。

「ねぇノル、りんご食べる？」
　はっ……
　と、意識が戻る。
　これだ、この感覚が気持ち悪いのだ。
「ノル？」
　心配そうに聞くリーン
「あ、あぁ……　いや、今はいいかな」
　一度はめた頃から少しずつ、少しずつ、衝動が強くなっていく……
　どうすれば良いのだろうか……