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第1章

私がここにいる理由

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どうして私がこんなに悲観的か分かるだろうか

私は血統的にはやんごとなきお方だし、顔だって地味だけど悪くはない(はずだ)

言ってみればお金だって一人娘だから割とあるし、地位だってある

その上一妻多夫制だから、ちょちょいのちょいで結婚できるくらいの立場なんだ

私だって自殺願望なんてないし、さっさと結婚しようとしたよ?

けれど、そうは問屋が卸さなかった

呪いには「本当に想い合ってないと結婚してはいけない」っていうのも含まれていた

まぁ、うん、もう、うわぁって感じだよね

確かに、4代前から今まで、誰一人と死んでないし、みーんなおしどり夫婦で有名だ

幸せになった人がいるのも確かなんだけど、こうなると私が死者1人目になりそうなんだよなー(泣)

それに、これだけならまだよかった

お見合いするなりどこか旅してみるなり、恋のお相手を見つければいいだけなんだから

けど、そこで終わる訳じゃあなかったんだよぅ…

先々代の聖女がいた我が家は、伯爵家の地位を賜っている

けれど、2代前…私の祖父が国王様と仲が良く、よく相談…というか、厄介事を引き受ける立場になってしまっている

それが今でも続いていて、国王様から急に呼び出しがかかり、嫌な予感がしながらも登城したのが、今から1年前

そこには父と私と国王様と宰相しかいなくて、密談って感じがひしひしと伝わってきた

そこでニコニコ…というかニヤニヤした国王様が、長ったらしく言っていた内容を要約すると

「この国の天才達を1箇所に集めたから、私(ルルリア)にその世話を頼みたい」と

そういうことらしい

パッと見そんなに嫌がるようなことでは無いと感じるでしょう

けど私にはわかる

これはだめだ、と

突然だが、この国には時々貴族の中に天才が現れる

その人たちは必ず何か華々しい功績を残し王国の発展に役立つことになる

王国の未来を担う、重要な人達だ

身近な例で言うと、私の叔母がそうである

……………あと従兄弟も……

私が従兄弟と凄い嫌そーに言っている所から察して欲しいのだが…よくいうよね、バカと天才は紙一重って

そう、あの人達はものすごい天才であるが、ものすごい頭のおかしな問題児でもあるのだ

私が従兄弟が苦手…というか嫌い…なのもそのせい

叔母様はその中でもマシな部類だけれども、小さい頃は随分やんちゃしたらしい

今は叔父様とらぶらぶで、そんなの見る影もないけれど

そんな天才達だが、普通は一世代に一人いるかいないかなのに、なぜか今代には4人もいる

年代が14~21歳までに集中してしまったのだ

1人でも手のかかる問題児が、4人

皆は思った

これはもう、隔離するほかない

そうして、世間に出してはアカンやつらは、1箇所にまとめられ、その世話役…もとい生贄として、私が選ばれたとの事だった

冗談じゃない

まずそんな頭のおかしなヤツらを相手にするのも嫌に決まってるし、私にはもっと死活問題があった

そんなとこに隔離されに行ったら…私、絶対結婚できないやん

そんな頭のおかしなヤツら相手にしてたら、20歳過ぎるに決まってるやん

しかもこれ、タチの悪いことに、期限が決められてなかった

下手したら一生そいつらと軟禁生活だ

もう一度言う、冗談じゃない

そう抗議した、しまくった。死にたくないから全力で抵抗した

しかし、現実は非常なり

「あいつらとでも結婚して~、寧ろ手綱を握ってもらえるし大歓迎!」

なんて抜かしやがったのだ

確かに、今代の天才は全員男だ(男4人に女の子1人の状態で隔離っていうのもそもそもヤバいよね?)

けれど、思う

誰かそんな頭のおかしなヤツらと結婚したい?

高望みはしないけど、せめて普通の人がよろしくてよ!

…なーんてことが通じる訳もなく

私はこの僅か1週間後、最低限の荷物だけ持ち、軟禁される屋敷へ連行されたのだった


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