神のおもちゃのラグナロク 〜おっさんになった転生者は、のんびり暮らす夢を見る。~

やすぴこ

文字の大きさ
上 下
34 / 162
第三章 降臨

第34話 鑑定

しおりを挟む

「では、小父様、当日はお願い致しますの。それでは教会のお勤めに行って参ります。ごきげんようですの」

 先輩の案によって大まかな段取りも決まり、メアリが書き上げた台本を元にした魔法によるイメージの構築と台詞合わせを終えた俺達は、暫しの歓談後、午後から教会のお勤めが有るとの事でメアリは席を立った。

「おう、頑張ってきな。聖女は返上しても治癒師の免許は取っておかないとな。まぁ、俺が言えた義理じゃ無ぇがな」

「ふふふ、はいですの。それではお父様、アンリのお父様もごきげんよう」

 そう言って、メアリはうきうきと足を弾ませながら部屋を出て行った。
 ……はどっちなんだろうな。
 聖女を返上し、好きな相手と結ばれる道が見えて来た事を喜んでいるのか。
 それとも、自分の想い描いた魔法の実演を目の当たりに出来る事なのだろうか。

 フッ、恐らくその両方だろうな。
 何せ、先程メアリの台本に合わせて様々な効果を持たせた発動魔法のお披露目を行った際に、メアリはインスピレーションを刺激されたのか、更なる改良案を次々と提示してきて、それに全て応える俺に満面の笑みを浮かべて興奮していた。

 魔法オタクの面目躍如と言った所か。
 今の彼女は聖女返上計画その物が目的になってしまっているんだろう。
 いいだろう、当日はこんな部屋の中でのデモンストレーションなんかとは比べ物にならん位のド派手な魔法を見せてやるさ。
 
「さて、先輩達。メアリも行った事だし、昨日の話の続きをしよう……か? って、さっきからどうしたんだよ。まだが却下されたのに拗ねてるのか?」

 先程の打ち合わせの際に、メアリが書いてきた台本を見て、自分達も創作意欲が湧いて来たのだろうな。
 アレやコレやと注文を出して来たんだが、まぁ、悪くは無いが……、やはり悲しいかな、いままでの人生経験が無意識で魔法で出来る事の天井を決めてしまっているようだった。
 若い子の感性に比べて、良く言えば保守的、悪く言えば古臭いと言う案が多く、悉くメアリからダメ出しを喰らい、とうとう『お父様達はそこで大人しく見てて頂けますか?』と半ギレの入った冷静な口調で言われてしまい、しゅんと縮こまっていた。

 しかし、メアリよ、語尾はどうした?
 
 けれど、その後はそれなりに機嫌直してメアリが教会に行く時間まで楽しく話していたんだがなぁ?
 そう言えば、たまに俺とメアリが喋っている所を、訝しげな目で見ながら二人でコソコソと話していたのはなんだったんだ?

 あぁ、そんな事より話の途中でとんでもない話題を振って来やがって焦ったぜ。

「それより王子! さっきメアリに直球で『好きな人は居るのか?』なんて話題振るなんて。マジでビックリしたぜ! 俺が喋ったのバレるかと冷や冷やしたんだからな。 俺が聞いておくと言ったんだから任せておいてくれよ」

「い、いや、しかしな……」

「しかも、その後何故か俺の女性問題に話がズレていったもんだから、俺がいい年して結婚どころか、そんな相手さえ居ねぇってのがバレて笑われちまったじゃねぇか! えらい恥かいたぜ、ったくよ」

 俺が『そんな相手居ねぇよ』と言った時のメアリの大袈裟な笑顔。
 『やっぱり』やら『良かった』やら言っていたが、そんな微妙なフォローの様で鋭くディスって来るような言葉を年下に言われちまうなんて、マジで死にたくなるな。

「あれは笑ったんじゃなくて、安堵を……」

「しっ! そこまでだ。ちょっとヴァレウス、耳を貸せ」

 ん? なんだなんだ? また二人してコソコソと話し出したぞ?

『な、なんだ?』ボソボソ
『どう思う?』ボソボソ
『どう思うとは? メアリの想い人の事か?』ボソボソ
『あぁ、まさかと思ったが先程の態度……』ボソボソ
『う~む。信じたくは無いが……』ボソボソ
『逆に安心出来るんじゃねぇかと思うんだ』ボソボソ

「なっ! 許すのかお前!」

『声がでけぇよ! そうじゃねぇ。メアリは先日の件で憧れを抱いたとしても不思議じゃねぇ。アンリにしても出会いが出会いだから心当たりが無い事も無い』ボソボソ
『なるほど。しかし、安心とは? 幾らなんでも歳が離れ過ぎてるし、さすがにコイツと言えど、可愛い娘をやるのは……』ボソボソ
『違う、そうじゃない。こいつは過去の事で女性不信に陥っているからな。この八年間見てきたが、女性からの好意に鈍感で自分から手を出す事もない。所謂ヘタレと言う奴だな』ボソボソ
『ふむ、話が見えて来た。今の状態で下手に刺激しない方が、他に変な虫が付かなくて安心と言う訳か』ボソボソ
『そうだ。それにこう言う憧れは病気みたいなもんだからな。その内コロッと忘れるさ』ボソボソ
『なるほど……では、』ボソボソ


 二人の会話は全く聞こえないが、途中俺の事を激しくディスられた気配を感じたが気のせいか?

「あぁ、すまんすまん。こちらの話は済んだ」

「なんだ話って? まぁいい。取りあえず好きな奴の件は俺が調べとくから待っててくれって」

「その事だが、やはり本人に直接聞くのは良くないな。特にの時とかは絶対に止めておくんだ」

「何だよそれ? さっき自分聞いたくせに」

「変な雰囲気になって告白……ゲフンゲフン。警備隊に告発でもされたら事だろう。昔の知り合いが娘の告発で捕まるなんて心が痛いからな」

「うっ、そうだな。それは洒落にならねぇ」

 ヤバイヤバイ。まさに事案って奴だよな。
 嬢ちゃんなら確実にセクハラ! とか言って殴って来そうだし、メアリなんかも、こんなおっさんが二人きりの時に『好きな人居るの?』なんてしつこく聞いて来たら怖がって泣き出すかも知れねぇわ。
 先輩の忠告有り難く頂いておくぜ。

「でも良いのか? 昨日は焦ってただろ?」

「あっ、ああ。だが、悪い虫が付かないよう監視だけは怠るなよ? アンリも合わせてな」

「分かったよ。しかし、アンリとメアリの名前ってアレだろ? 先輩達が決めたって言っていたが、アメリア王国から取っただろ? 身分を隠していたにしたら安直過ぎねぇか?」

「何を言う! 元々アメリア王国は、建国者が自らの二人の妻であるアンリとメアリから名付けられたと言う、王国にとって由緒正しき名なのだぞ! 伝説にある魔族襲来において、王国を再建すると言う意味を込めて二人に付けたのだ」

 なんと、衝撃の事実。逆って事か。

「あ~。二人の名前から王国を連想したのは、それが語源だったからなのか。なるほどな。しかしさすが王族だ。妃が二人も居るなんてよ」

 羨ましいこって。俺には縁の無い話だわ。
 しかし、嬢ちゃん達が同じ奴を好きになるなんて、これも運命かね。

「何言っているんだ! それを言うなら、お前の偽名こそ……」

「うっ、うるさいな。。発音が違うから良いんだよ。それを言うなら、王子のヴァレンも大概だぜ?」

「い、いやそうではなく……その名は建…国…の……いや、こいつがそれを知っている筈も無いか」ボソッ

「ん? どうしたんだ?」

「いや、なんでもない。それより本題に戻るか。昨日言っていたを見せてくれないか」

 そう言うと王子は真剣な顔をして俺を見詰めてきた。
 『昨日言っていた』とは、女媧から出て来た光の玉の残骸プレートの事だ。

「いきなり真面目モードになるなよ。はいはい、今出すよ」

 俺はそう言って、腰のポーチからプレートを取り出してテーブルの上に置いた。
 昨日は俺への説教が長時間に渡り続いた所為で、放置状態のメアリの事を心配した嬢ちゃんが怒鳴り込んで来た為に、魔族やこのプレートの話は今日に持ち越しとなってしまったんだ。
 あの時『グッジョブ! 嬢ちゃん!』と感謝の言葉を言おうとしたんだが、乱入して来た嬢ちゃんは、俺の正座姿を見るなり『あっ、だから時間が掛かったのね』と言わんばかりの目をしていたので、その言葉を飲み込んだ。

「あぁ、それだそれ。でっ、お前はこの文字が読めるんだよな? 左側三文字はシンプルだが、右のは何処がどうなっているか分からんな」

「こ、古代文字だよ。昔長生きだったエルフの長老に教えて貰ったんだ」

 前世の文字とか言っても通じねぇからな。
 適当に誤魔化すに限る。
 ちなみにエルフの知り合いは居るが、長老なんて言う肩書きの知り合いは勿論居いねぇよ。

「ふ~む、まぁいいか。では鑑定してみるか」

「そうだな。ではやってみよう。神話の時代の遺物なのだ。少しドキドキするな」

 先輩と王子はドキドキしながらプレートを見ている。
 昨日はこのプレートを三人で鑑定しようとした瞬間に嬢ちゃんが乱入してお流れとなったので、今日のこの二人の興味の大半は聖女返上計画の打ち合わせより、このプレートの鑑定なんだろう。
 俺に『絶対先に鑑定するなよ』と誓わせてきやがったしな。
 まぁ気持ちは分からなくもねぇか。
 宿敵の遺品で、更に伝説が実在する証と言う事だしな。

 俺達はテーブルのプレートに向かって一切に鑑定の魔法を唱えた。

「よし鑑定占いの開始だ! 今日も俺が勝ってやるぜ!」

「小癪な! 昨日のだって俺的には勝ちだからな」

「ううむ、リベンジしてやるぞ! 覚悟をしておけショウタよ」

 大の大人が、子供染みた言い合いをしてバカみたいだが、これがこの世界の一般的な魔法使いだ。
 ずっと憧れていたんだが、思った通り楽しいや。
 なんだかんだと一匹狼気取っていたが、俺もやっぱり普通の人だよな。

「「「アナライズ鑑定!!」」」

「「ぐおっ!!」」

「え? どうした?」

 鑑定を唱えた途端、先輩と王子が耳を抑えて呻き声を上げた。

「い、いや、突然頭の中に警報と共にこれに関与する資格を持っていないとか言う声が大音量で流れやがった」

「う~む、今まで色々と鑑定してきたがこんな事は初めてだ。くぅ、まだ頭がガンガンする」

 なっ? なんだそれ? 俺の頭には普通に鑑定結果が流れてきているぞ?
 ちっ、今回の声はジジィだな。
 しかも、村に住んでいたかみなりジジィの声だ。
 イタズラしてよく怒られたと言う嫌な記憶が有るぜ。
 くそっ! 神め! こんな情報を記憶に残す意味あるのか?

「ショウタは普通にしているが、もしかして鑑定出来ているのか?」

「資格が有る者しか鑑定出来ないと言う事なのか……。で、結果はどうなのだ?」

「結果は、『鍵』らしい。あと俺専用アイテムみたいだな。称号が『正太専用』となっている。後はゲッ!『神のギフト効果発動中』だとよ。そのクセ『効果は秘密』とかふざけてるのか?」

 何だよ『神のギフト』って、また『そこそこ強い力』みたいな使えない奴か?
 それに、特に変わったと言う感じなんて無いと思うが?


「「なに!! 『神のギフト』とな?」」

 先輩と王子が『神のギフト』にえらく食い付いてきた。
 絶対先輩達が想像しているような良いもんじゃないと思うがな。
 その後、先輩達は効果を確かめようと俺を鑑定しようとしたが、またもや頭に鳴り響く警告音に頭を抑えていた。
 初めて知ったが、俺に鑑定魔法を掛けるとこうなるみたいだな。
 いや、これが『神のギフト』の効果だったりするのか? なんか微妙過ぎる。

 鳴り響く警告に頭を抱えて苦しんでいる先輩達を見て、ちょっとスカッとした気分になった俺だった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

21代目の剣聖〜魔法の国生まれの魔力0の少年、国を追われ剣聖になる。〜

ぽいづん
ファンタジー
魔法の国ペンタグラムの貴族として生まれた少年 ラグウェル・アルタイル この国では10歳になると魔力の源である魔素を測定する。 天才魔道士と天才錬金術の間に生まれた彼は、大いに期待されていた。 しかし、彼の魔素は0。 つまり魔法は一切使えない。 しかも、ペンタグラムには魔法がつかえないものは国に仇なすものとされ、処刑される運命である。彼の父は彼に一振りの剣を与え、生き延びろといい彼を救うため、世界の果てに転移魔法を使用し転移させるのであった。 彼が転移した先は広大な白い砂のみが延々と広がる砂漠。 そこで彼は一人の老騎士と出会う。 老騎士の名はアルファルド。彼は19代目の剣聖にまで上り詰めた男であったが、とある目的のために世界の果てといわれるこの場所を旅していた。 ラグウェルはアルファルドに助けられ彼から剣を学び5年の月日が流れる。 そしてラグウェルはアルファルドの故郷である十王国へ渡り、騎士学校へ編入をする、そこで無敵の強さを誇り、十王国最強の騎士と言われるようになり20代目剣聖との死闘の果てに彼が21代目剣聖となる。そして待ち受けるペンタグラムとの戦争、彼はその運命に翻弄されていく。 ※小説家になろうでも投稿しています。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした

あおアンドあお
ファンタジー
ギガン城と呼ばれる城の第一王女であるリコット王女が、他の世界に住む四人の男女を 自分の世界へと召喚した。 召喚された四人の事をリコット王女は勇者と呼び、この世界を魔王の手から救ってくれと 願いを託す。 しかしよく見ると、皆の希望の目線は、この俺...城川練矢(しろかわれんや)には、 全く向けられていなかった。 何故ならば、他の三人は若くてハリもある、十代半ばの少年と少女達であり、 将来性も期待性もバッチリであったが... この城川練矢はどう見ても、しがないただの『おっさん』だったからである。 でもさ、いくらおっさんだからっていって、これはひどくないか? だって、俺を召喚したリコット王女様、全く俺に目線を合わせてこないし... 周りの兵士や神官達も蔑視の目線は勿論のこと、隠しもしない罵詈雑言な言葉を 俺に投げてくる始末。 そして挙げ句の果てには、ニヤニヤと下卑た顔をして俺の事を『ニセ勇者』と 罵って蔑ろにしてきやがる...。 元の世界に帰りたくても、ある一定の魔力が必要らしく、その魔力が貯まるまで 最低、一年はかかるとの事だ。 こんな城に一年間も居たくない俺は、町の方でのんびり待とうと決め、この城から 出ようとした瞬間... 「ぐふふふ...残念だが、そういう訳にはいかないんだよ、おっさんっ!」 ...と、蔑視し嘲笑ってくる兵士達から止められてしまうのだった。 ※小説家になろう様でも掲載しています。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

処理中です...