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最終章 ごきげんよう
第114話 ±0
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「ムムム? これはまずい、まずいぞ! よもやここまでとは……。なんか猛烈に失敗したかもしれぬ」
初めて自覚した自身の恋愛感情に頬を染め虚空の先に想い人を幻視ているローズの姿を見たオズは後悔の言葉を零す。
今まで愛と言う感情から目を背け閉ざしていたその心の扉をほんの少しノックしたかっただけだった。
しかし、先程の言葉はノックと言うより心の扉を思いっ切り蹴破ってしまう行為だったのではないか? そう思えてならない。
オズは自らの行いがとんでもない事態を引き起こしてしまったと焦っていた。
頬を染めキラキラと眩しいまでに輝いているローズの姿がそれを物語っていると言っても過言ではないだろう。
いくら親友だからと言って愛する人をむざむざと渡す訳には行かない。
このままではマズいと思ったオズは、慌てて口を開いた。
「コホン、言っておくがローズよ。お前がオーディックを愛しているのと同じくらいにお前の事をずっと大切に想っていた者も居るのだぞ?」
我ながら情けない。
恥ずべき行為だと分かっているが、目の前で自分の好きな人が誰かに心奪われている姿を見るのをこれ以上耐えられない。
それが如何に自分の言葉が齎した結果であろうともだ。
「えぇっ! 私なんかの事を想ってくれていた人が居たのですか?」
オズの言葉に恋に夢見る乙女の幻視から引き戻されたローズは驚いていた。
他の言への言及ならばここまですぐには帰って来れなかったであろう。
恋愛脳が活性された今のローズに取って『自分の事が好きな人が居る』と言う言葉の効果は抜群である。
何しろ恋愛に関してセルフフラグクラッシャーだった彼女は、今まで自分をLove的な意味で愛してくれる人間の存在に気付いていなかったのだから仕方が無い。
勿論最近は色々な人から慕われ始めている事を自覚していたローズであったが、それはあくまで野江 水流時代の様にリーダーシップを発揮する事によって生じた信頼関係からくる感情によるもので恋愛感情とは無縁の物だと思っていた。
オズは自分の事をLove的な意味で想ってくれている人物が居ると言う。
しかし『ずっと』と言う事は悪役令嬢時代も含まれていると言う事なのだろうか?
.........。
しばしローズは考えたが、さすがセルフクラッシャー、笑顔の虐殺機関の名は伊達ではない。
恋愛脳に浮かれていたローズはすぐに我へと返った。
勿論『見当違い』と言う枕詞が付いている事に気付かないのは本人だけ。
悪役令嬢時代のローズの酷さは記憶を取り戻した今となって、自分でも100mダッシュで引くくらいあまりにも酷いものだ。
穴があったら入りたい所の話じゃない。
野江 水流時代としての記憶が無いまま改心していたら恐らく罪悪感で自殺したくなっていたと思う。
誰がそんな人間を大事に思ってくれると言うのだろう?
そんな女を好きになる男は余程のマゾか性的趣向が倒錯した人間の筈だ。
恋愛脳から醒めたローズは首を捻ったが、恋愛抜きに考えるなら心当たりが有る事を思い出しポンと手を叩いた。
「あっ……お父様と執事長、それに最古参の使用人は私の味方でしたわ」
思い付くのはこの三人。
悪役令嬢のであったローズの我儘を許していたバルモアは間違いなく味方である。
そうでなかったら今まで勘当されなかった筈がない。
それに執事長とローズは知らないが主人公の母親と縁のある最古参の使用人に関してはプレイヤー視点の情報でも他の使用人に比べてローズに対する態度は嫌悪と言うよりどこか悲しげなものだった。
野江 水流だった頃のローズは、そのセリフを不思議と思うもののただのフレーバーテキストにしか受け取っていなかったが、実際ローズとして暮らす内にそれはただの台本に書き込まれた文字ではなく、ローズの事を本当に心配していた為の言葉であり、そして改心した事を心から喜んでくれた想いだと知った。
専用絵が有った執事長と違い、ゲームではただの汎用モブ絵でしかなかった最古参の使用人までもがまさかそこまで自分の事を想っていてくれた事を知った時は思わず涙が出そうになったほどだ。
ローズの中でこの三人は心から信じられると思っている。
だからずっと慕っていてくれていたのはこの三人で間違いない筈だと、クイズに回答したかのような少しドヤ顔でオズに答えた。
確かにローズの導き出したこの推理自体は正しい。
父親であるバルモアは元より、執事長と元メイド長であった最古参の使用人はアンネリーゼが健在であった頃のローズを知っており、またその優しさはアンネリーゼの生き写しだと分かっていたからいつかは目を覚ましてくれると信じて見守っていた。
ゲーム終盤、没落したシュタインベルク家からその二人が姿を消す理由。
それは他の使用人達と同様に沈む船からネズミが逃げ出す諺に倣うものではなかった。
二人がローズの前から姿を消したのは、どのルートを辿ろうともエンディング後にローズの末路が明確に語られなかった事へと起因する。
では、エンディング後にローズがどうなったのか?
それについてゲーム本編では語られる事は無いのだが、このゲームの創造主が設定したエンディング後のストーリーは次の様な物であった。
ゲーム本編全ルートにおいて、バルモアの急逝により地位や富その全てを失う事となるのローズは、エンディング後に自らの愚かな行いを悔いて改心し、かつての優しさを取り戻す。
執事長と最古参の使用人の二人は、そんなローズを秘密裏に保護し同盟国の片田舎で慎ましやかに暮らすと言うものだ。
執事長がゲーム終盤に姿を消すのは、隠棲の準備の為に先に同盟国へ赴いている事に他ならない。
そしてローズを同盟国に連れて行く人物には最古参の使用人以外にもう一人存在する。
ただ、その人物はルートによって異なる。
……異なるとは言っても、大きく分けて二つパターンしかない。
その違いはオーディックの記憶の有無であった。
そう、オーディックルート以外の全ては、幼馴染であるオーディックの手により同盟国に逃げ延びて二人が添い遂げ幸せに暮らす事になる。
そして、オーディックルートの場合は、もう一人の幼馴染のオズがその役割を担うのだ。
この様にゲーム本編では語られなかった未来に登場するオズであるが、それはあくまでゲーム本編での話。
クリア対象五人の内、ある人物を除いた四人で一定数特定の順番で周回し、最後に残り一人をファーストクリアする事によって解放される隠しルートで彼はゲームの舞台に躍り出る事になる。
ただし、その場合においてもオズは主人公と結ばれる事はない。
……いや、この説明は間違いを含んでいた。
なぜなら隠しルートにおいての主人公とは……。
「あら? どうしましたオズ?」
「い、いや……う~む……」
ローズが冷静になって導き出して挙げた三人を聞いたオズは酷く疲れた顔で額に手を当てていた。
これはローズの回答があまりにも見当違いであった為だ。
オーディックから聞いてはいたが、心変わりしてからのローズの勘違い振りはあまりにも突拍子が無い。
特に恋愛感情に関しては狙って言っているのかと思う程ズレた解釈をするのだと、今の自分と同じように酷く疲れた顔で頭を抱えていたオーディックの姿を思い出す。
その時は、大っぴらに姿を見せる事が出来ない自分としては好都合だと笑っていたが、いざ当事者となったら堪ったものではない事だと思い知る。
ただ、オズは一つ学習した。
ローズの勘違いとは『悪女だった自分は好かれる筈が無い』と言う思い込みから来るものなのだろう。
そして、それは自分の気持ちにも気付かない程に拗れている。
先程その事に気付かずに『オーディックへの想い』をはっきりと言い当てた途端、今までの勘違い振りが嘘のようにすんなりと自覚するに至った。
ローズには愛の言葉を遠回しに言っても、好かれる筈がないとの思い込みで勝手に自己完結してその心に届かない。
要するに自分の想いを伝えるには気取らずに、好きなら好きとハッキリ言葉にする必要が有ると言う事だ。
オズが考え至ったこの結論は正しい。
学生時代に野江 水流に想いを馳せた男子生徒達も、その溢れる魅力に蹴落とされて言葉遊びや照れ隠しで冗談風な告白はなく、真っ向から『好きだ』と想いを伝えていたら笑顔の虐殺機関に終止符を打っていた事だろう。
そしてそれは、悪役令嬢であったローズにも言える事であった。
オーディックしかり、将来の伯爵の地位に目が眩んだ者、そしてマゾ的嗜好の持ち主と言った様々な思惑の貴族令息達が、貴族的言い回しを用いず告白していたら悪役令嬢は存在しえなかったと言える。
ゲーム的には有り得ない未来だが、その可能性は存在していたと言う創造主が作り出した設定での話だ。
偶然にもキャラ設定の真理に至ったオズは、既に手遅れと言う可能性は敢えて考えず、オーディックへの愛を自覚したローズの心境を±0に戻す為に覚悟を決めた。
『ローズに自分の想いを伝えてやる』
オズは記憶を失った親友に対して抜け駆けする事を心の中で謝った。
ローズの想いを自覚させてあげたのだから許して欲しい。
なにしろ自分がここで玉砕した場合、ローズの愛を独り占め出来ると言う事なのだから。
オーディックは勇気を振り絞り、いまだ心の中に巣食う『泣き虫オジュ』を押し込める。
そして自分の事を心配そうに見ているローズを熱く見詰めた。
「ローズよ、聞いてくれ!」
「はいっ!」
意を決したオズの声にローズが背筋をぴしゃんと伸ばして答える。
さぁ言うぞ……、言ってやる。
全ての問題が解決するまで口にしないと誓っていた、自分とローズの関係。
そして愛憎渦巻くこの状況に至った理由。
今まで溜めて来た物を全部吐き出すかのように一度大きく息を吐いたオズは言葉を続けた。
初めて自覚した自身の恋愛感情に頬を染め虚空の先に想い人を幻視ているローズの姿を見たオズは後悔の言葉を零す。
今まで愛と言う感情から目を背け閉ざしていたその心の扉をほんの少しノックしたかっただけだった。
しかし、先程の言葉はノックと言うより心の扉を思いっ切り蹴破ってしまう行為だったのではないか? そう思えてならない。
オズは自らの行いがとんでもない事態を引き起こしてしまったと焦っていた。
頬を染めキラキラと眩しいまでに輝いているローズの姿がそれを物語っていると言っても過言ではないだろう。
いくら親友だからと言って愛する人をむざむざと渡す訳には行かない。
このままではマズいと思ったオズは、慌てて口を開いた。
「コホン、言っておくがローズよ。お前がオーディックを愛しているのと同じくらいにお前の事をずっと大切に想っていた者も居るのだぞ?」
我ながら情けない。
恥ずべき行為だと分かっているが、目の前で自分の好きな人が誰かに心奪われている姿を見るのをこれ以上耐えられない。
それが如何に自分の言葉が齎した結果であろうともだ。
「えぇっ! 私なんかの事を想ってくれていた人が居たのですか?」
オズの言葉に恋に夢見る乙女の幻視から引き戻されたローズは驚いていた。
他の言への言及ならばここまですぐには帰って来れなかったであろう。
恋愛脳が活性された今のローズに取って『自分の事が好きな人が居る』と言う言葉の効果は抜群である。
何しろ恋愛に関してセルフフラグクラッシャーだった彼女は、今まで自分をLove的な意味で愛してくれる人間の存在に気付いていなかったのだから仕方が無い。
勿論最近は色々な人から慕われ始めている事を自覚していたローズであったが、それはあくまで野江 水流時代の様にリーダーシップを発揮する事によって生じた信頼関係からくる感情によるもので恋愛感情とは無縁の物だと思っていた。
オズは自分の事をLove的な意味で想ってくれている人物が居ると言う。
しかし『ずっと』と言う事は悪役令嬢時代も含まれていると言う事なのだろうか?
.........。
しばしローズは考えたが、さすがセルフクラッシャー、笑顔の虐殺機関の名は伊達ではない。
恋愛脳に浮かれていたローズはすぐに我へと返った。
勿論『見当違い』と言う枕詞が付いている事に気付かないのは本人だけ。
悪役令嬢時代のローズの酷さは記憶を取り戻した今となって、自分でも100mダッシュで引くくらいあまりにも酷いものだ。
穴があったら入りたい所の話じゃない。
野江 水流時代としての記憶が無いまま改心していたら恐らく罪悪感で自殺したくなっていたと思う。
誰がそんな人間を大事に思ってくれると言うのだろう?
そんな女を好きになる男は余程のマゾか性的趣向が倒錯した人間の筈だ。
恋愛脳から醒めたローズは首を捻ったが、恋愛抜きに考えるなら心当たりが有る事を思い出しポンと手を叩いた。
「あっ……お父様と執事長、それに最古参の使用人は私の味方でしたわ」
思い付くのはこの三人。
悪役令嬢のであったローズの我儘を許していたバルモアは間違いなく味方である。
そうでなかったら今まで勘当されなかった筈がない。
それに執事長とローズは知らないが主人公の母親と縁のある最古参の使用人に関してはプレイヤー視点の情報でも他の使用人に比べてローズに対する態度は嫌悪と言うよりどこか悲しげなものだった。
野江 水流だった頃のローズは、そのセリフを不思議と思うもののただのフレーバーテキストにしか受け取っていなかったが、実際ローズとして暮らす内にそれはただの台本に書き込まれた文字ではなく、ローズの事を本当に心配していた為の言葉であり、そして改心した事を心から喜んでくれた想いだと知った。
専用絵が有った執事長と違い、ゲームではただの汎用モブ絵でしかなかった最古参の使用人までもがまさかそこまで自分の事を想っていてくれた事を知った時は思わず涙が出そうになったほどだ。
ローズの中でこの三人は心から信じられると思っている。
だからずっと慕っていてくれていたのはこの三人で間違いない筈だと、クイズに回答したかのような少しドヤ顔でオズに答えた。
確かにローズの導き出したこの推理自体は正しい。
父親であるバルモアは元より、執事長と元メイド長であった最古参の使用人はアンネリーゼが健在であった頃のローズを知っており、またその優しさはアンネリーゼの生き写しだと分かっていたからいつかは目を覚ましてくれると信じて見守っていた。
ゲーム終盤、没落したシュタインベルク家からその二人が姿を消す理由。
それは他の使用人達と同様に沈む船からネズミが逃げ出す諺に倣うものではなかった。
二人がローズの前から姿を消したのは、どのルートを辿ろうともエンディング後にローズの末路が明確に語られなかった事へと起因する。
では、エンディング後にローズがどうなったのか?
それについてゲーム本編では語られる事は無いのだが、このゲームの創造主が設定したエンディング後のストーリーは次の様な物であった。
ゲーム本編全ルートにおいて、バルモアの急逝により地位や富その全てを失う事となるのローズは、エンディング後に自らの愚かな行いを悔いて改心し、かつての優しさを取り戻す。
執事長と最古参の使用人の二人は、そんなローズを秘密裏に保護し同盟国の片田舎で慎ましやかに暮らすと言うものだ。
執事長がゲーム終盤に姿を消すのは、隠棲の準備の為に先に同盟国へ赴いている事に他ならない。
そしてローズを同盟国に連れて行く人物には最古参の使用人以外にもう一人存在する。
ただ、その人物はルートによって異なる。
……異なるとは言っても、大きく分けて二つパターンしかない。
その違いはオーディックの記憶の有無であった。
そう、オーディックルート以外の全ては、幼馴染であるオーディックの手により同盟国に逃げ延びて二人が添い遂げ幸せに暮らす事になる。
そして、オーディックルートの場合は、もう一人の幼馴染のオズがその役割を担うのだ。
この様にゲーム本編では語られなかった未来に登場するオズであるが、それはあくまでゲーム本編での話。
クリア対象五人の内、ある人物を除いた四人で一定数特定の順番で周回し、最後に残り一人をファーストクリアする事によって解放される隠しルートで彼はゲームの舞台に躍り出る事になる。
ただし、その場合においてもオズは主人公と結ばれる事はない。
……いや、この説明は間違いを含んでいた。
なぜなら隠しルートにおいての主人公とは……。
「あら? どうしましたオズ?」
「い、いや……う~む……」
ローズが冷静になって導き出して挙げた三人を聞いたオズは酷く疲れた顔で額に手を当てていた。
これはローズの回答があまりにも見当違いであった為だ。
オーディックから聞いてはいたが、心変わりしてからのローズの勘違い振りはあまりにも突拍子が無い。
特に恋愛感情に関しては狙って言っているのかと思う程ズレた解釈をするのだと、今の自分と同じように酷く疲れた顔で頭を抱えていたオーディックの姿を思い出す。
その時は、大っぴらに姿を見せる事が出来ない自分としては好都合だと笑っていたが、いざ当事者となったら堪ったものではない事だと思い知る。
ただ、オズは一つ学習した。
ローズの勘違いとは『悪女だった自分は好かれる筈が無い』と言う思い込みから来るものなのだろう。
そして、それは自分の気持ちにも気付かない程に拗れている。
先程その事に気付かずに『オーディックへの想い』をはっきりと言い当てた途端、今までの勘違い振りが嘘のようにすんなりと自覚するに至った。
ローズには愛の言葉を遠回しに言っても、好かれる筈がないとの思い込みで勝手に自己完結してその心に届かない。
要するに自分の想いを伝えるには気取らずに、好きなら好きとハッキリ言葉にする必要が有ると言う事だ。
オズが考え至ったこの結論は正しい。
学生時代に野江 水流に想いを馳せた男子生徒達も、その溢れる魅力に蹴落とされて言葉遊びや照れ隠しで冗談風な告白はなく、真っ向から『好きだ』と想いを伝えていたら笑顔の虐殺機関に終止符を打っていた事だろう。
そしてそれは、悪役令嬢であったローズにも言える事であった。
オーディックしかり、将来の伯爵の地位に目が眩んだ者、そしてマゾ的嗜好の持ち主と言った様々な思惑の貴族令息達が、貴族的言い回しを用いず告白していたら悪役令嬢は存在しえなかったと言える。
ゲーム的には有り得ない未来だが、その可能性は存在していたと言う創造主が作り出した設定での話だ。
偶然にもキャラ設定の真理に至ったオズは、既に手遅れと言う可能性は敢えて考えず、オーディックへの愛を自覚したローズの心境を±0に戻す為に覚悟を決めた。
『ローズに自分の想いを伝えてやる』
オズは記憶を失った親友に対して抜け駆けする事を心の中で謝った。
ローズの想いを自覚させてあげたのだから許して欲しい。
なにしろ自分がここで玉砕した場合、ローズの愛を独り占め出来ると言う事なのだから。
オーディックは勇気を振り絞り、いまだ心の中に巣食う『泣き虫オジュ』を押し込める。
そして自分の事を心配そうに見ているローズを熱く見詰めた。
「ローズよ、聞いてくれ!」
「はいっ!」
意を決したオズの声にローズが背筋をぴしゃんと伸ばして答える。
さぁ言うぞ……、言ってやる。
全ての問題が解決するまで口にしないと誓っていた、自分とローズの関係。
そして愛憎渦巻くこの状況に至った理由。
今まで溜めて来た物を全部吐き出すかのように一度大きく息を吐いたオズは言葉を続けた。
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