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第四章 それでは皆様

第78話 フレデリカの願い

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「ふぅ~、何とか乗り切ったわ~」

 送迎部の執事長のエスコートによって控え室に通されたローズは、部屋の扉が閉められた後、開口一番溜息混じりにそう言った。
 勿論こんな事が言えるのは現在この部屋にはローズとフレデリカの二人しか居ないからである。

 この言葉からも分かる通り、先程の停車場での一件は居合わせた送迎部の使用人達の心中などローズにとっては全く与り知る訳も無く、王城の使用人のエスコートをボーっとして無視した事について変な噂が広まったりしないかと言う事の方が気になっていたのだ。
 途中皆が自分の姿を見た途端、驚いた顔をして硬直するという予想外の非常事態が発生した為、半ば涙目になりながらも必死に笑顔を崩すまいとしていたくらいだ。
 その目の潤みが慈愛の笑みの輝きに拍車を掛けてしまった事もローズは気付いていなかったくらいである。

 しかしながら、それらの事は本人に意志とは裏腹にその場に居た者の全ての者の心を救済した。
 才能溢れるが故に皆からいじめられていた若い執事の元に差した輝かしい未来への光明。
 他の使用人達としても、いつの間にか自身の目に掛けられていた王宮の使用人と言う慢心に染められた色眼鏡の存在に気付き心を入れ替え、より一層職務に服する事を決意させる事となった。
 この日の事は後の世に伝わる聖女伝説の一ページに加わる事となる。


 勿論当のローズにはそんな裏事情など知る由もない話であり、本人としては先程の騒動は笑顔で無理矢理押し切ったとしか思っていない。
 押し切れたと言う根拠は、途中から周囲の雰囲気が、最初の張りつめた様な空気から嘘の様に柔和となり、皆の顔には営業スマイルではなく心からの笑顔が浮かんでいたからだ。
 これが演技なら凄いと思わないでもないが、見送りの後から『国王からの呼び出しでボーっとしていた女』と陰口とか叩かれたらとても困るので、笑顔を浮かべながらも一応注意深く自分を案内する執事長の後姿を観察した。
 途中幾人かの使用人や見回りの騎士達とすれ違ったが、皆自分の顔を驚いた様な目で凝視してくるのに焦りながらも部屋に通されるまでの間、執事長の様子を見ていた限りでは自分に対して悪感情を抱いているようには見えない。
 曲がり角の前や階段を上る際に掛けてくれる注意を促す声にも何処か自分に対する敬愛の色が感じられた。
 正直ローズとしては恥ずかしい誇大広告気味の号外の噂が王城にも届いているとフレデリカより聞いていたものの、今までのローズがして来たもっと恥ずかしい悪行の数々が祟って、冷たく塩対応されると覚悟していたのだ。
 そんな対応されても笑顔で誠実に応え新しい自分としての印象を上書きしようと今回の登城に望んだのである。
 その結果、最初にボーっとしていたと言うミスは犯したものの、自分的にはまずまずの及第点は取れたと言う感触があった為の安堵の言葉だった。
 実際には及第点どころか満点以上の結果だったのだが、それについてローズが知る機会は訪れない。
 ただ静かに他の賛美の噂と共に人々の間に広まっていき、それが数々の悪評を洗い流して行く事になるのである。


「まぁ、あの出来事を何とか乗り切ったと言いたいのは彼らの方だと思いますけどね」

 自己評価が著しく低い主人に対して、今や忠実な僕となったフレデリカがボソッと感想を零す。
 かつて神童と呼ばれたフレデリカは、馬車の中から見えた若い執事に対する他の使用人達の態度や視線の映り具合から、瞬時に彼等の人間関係を把握した。
 それだけでなく、その後の彼等の心境の移り変わりさえ手に取るように読み切っており、最後ローズの許しの言葉で彼らが自らの慢心を反省し心を入れ替えた事も解析済みである。

 『あぁ乗り切ったと言うのは言葉が間違っている。本当はお嬢様に救われたと言うのでしょうね。私と同じ様に』と心の中で零した言葉を訂正し微笑んだ。
 そして『これからもお嬢様はこの国の人達の心を救って行くのでしょう』と、彼女が今まで浮かべた事の無い優しい眼差しで安堵の溜息を吐きながら笑っているローズを見詰めた。

 お嬢様と天下を取るというフレデリカの野望は、つい先程まで極限に滾っていた。
 今もその野望に変わりは無いが、その形は大きく変わる。
 なにも天下とは血と鉄で人から奪い勝ち取る必要はない。
 ただあまねく世界にお嬢様の存在を知らしめるだけで良い。
 それだけで野望は果たされるだろう。
 だが、残念ながらまだそれだけの力も名声もお嬢様に無いのは分かっている。
 その時が来るまで全ての力を使いお嬢様を導く。
 フレデリカはそう心に決めた。

 その心境の変化は発端は勿論先程の一件だ。
 いや、本当はローズが無自覚に人々の心を癒しているのを見ている内に、フレデリカの心の中でローズに対する想いが変っているのは知っていた。
 しかしながら、先程使用人達が浮かべた救いを得た喜びを見た瞬間、最近自分の中に湧き上がって来ていたローズに対する忠誠心の本質を垣間見た。
 使用人達のその喜びの顔が、かつて自らの意思によって封印していた記憶の扉を開ける最後の鍵となったのだ。


 最初は最近マンネリ化して来た自分への罰と精神的屈辱が伴うご褒美が目的だった。
 そんな刹那的な破滅願望のギリギリを責める刺激にそれなりに満足したのだ。
 なんでローズが変わったかまでは興味が無い。
 本当に夢枕に母親が立ったかなどどうでもいい。
 遊び飽きたおもちゃ昔のローズが、新しいおもちゃ今のローズに変わっただけ。
 元の悪女に戻そうかと言う気も少しは有ったが、取りあえずは飽きるまで楽しもう。
 何よりいつ元に戻るか分からない物に期待をする程、フレデリカは年相応の精神構造をしていなかったのである。

 ただ、その日の内に心の中に何かしらの高揚感が湧いてくるのを確かに感じていた。
 しかし、それは自ら封印して忘れ去っていた記憶の奥にあった為、ただ気持ちの昂りだけが有ったのだ。
 その想いを新しいおもちゃが登場した所為だろうと特に深くは考えていなかった。

 だが、日々高まっていく胸の昂りを不思議に思い、ある日自分の胸の内を紐解く事を試みる。
 最初はやはりお嬢様の心変わり初日の出来事。
 それはバルモア伯爵の出立の見送りに集まった貴族達を階下に見た時だった。
 目の前のお嬢様が突然別人となられたのだ。
 待っていた伯爵達を見て慌てて駆け下りようとした時までは、多少性格が変わっておいでだったが、確かにお嬢様だった筈である。
 それなのにはしたなく駆け下りる足を急に止めたかと思うと、次の瞬間『礼儀も知らぬ馬鹿令嬢』と呼ばれていたお嬢様は目の前から居なくなった。

 そして、ただ一言自分に『お願い』と言ってきたのだ。

 今まで言われた事の無いその言葉。
 その真意に一瞬戸惑ったが、何故か次の瞬間には己の口からお嬢様が求めている答えが流れ出ていた。
 「右からカナード伯爵、その左後ろの赤い服はジェスター子爵……」と。
 言い終えた後、ローズからの「ご苦労様」と言う言葉にフレデリカは衝撃を受ける。
 そして、その衝撃が彼女の中に封印されていた記憶の第一の鍵となった。

 その後もバルモア伯爵やベルナルド公爵と言ったお歴々の方々の前で繰り広げられるローズのその佇まいに身のこなし。
 その姿を目の当たりにしたフレデリカは、まだ年相応に心が純粋だった幼き頃に修道院へと訪れた『とある貴族夫人』の姿が重なった気がした。
 だが、それは第一の鍵穴から漏れ出た少しばかりの記憶であり、その時はその貴族夫人が誰なのかを思い出すには至らなかったが、確かにその胸に熱を伴った想いが宿ったのだ。

 その後幾度と無くローズに救われた人達を見るに連れ、その記憶の中の貴族夫人の輪郭が確かになって行くと共にローズへの忠誠心も姿を変えながら強くなっていく。

 そして、先程最後の鍵を開けた彼女はその全てを思い出した。
 それはかつて、そのあまりの美しさに目を奪われ憧れたあの人。
 幼き日、その人の為に井戸に水を汲みに行き、差し出したコップを受け取った際にその方から言って頂いた『ご苦労様』と言う言葉。
 修道女となる身でありながら『いつかあの人に仕えたい』。
 そんな願いを神に祈ったのも一度や二度ではない。

 しかし、そんな細やかなフレデリカの願いは叶えられる事は無かった。
 何故ならば、その憧れた貴族夫人は神の元へと旅立ってしまい、願いは永久に叶えられない物となったからだ。
 それがフレデリカの中に刹那的な自虐願望が生まれた瞬間でもあった。

 国民のみならず周辺国からも聖女として慕われた貴族夫人の逝去。
 どれだけ素晴らしい人物でも運命には逆らえない。
 いや、元よりこの国は彼女が行った慈善事業の数々に対して、今まで見て見ぬ振りをしたまま何も手を付けてこなかった事が原因であろう。

 だから、彼女は弱き者の為に身を粉にして働いていた。
 だから、彼女は身体を壊して神の元へと召される事となったのだ。

 幼きフレデリカはそう考え、この国への復讐を天に召された聖女に誓う。
 憧れた人はあの人はもうこの世には居ない。
 だが、野盗の襲撃により滅んだ村の出身。
 そんな家族の命と引き換えに一人生き残ったフレデリカ、聖女の後追い自殺をするには軽い命でない事を重々承知している。
 それに彼女は復讐を果たす為の手段を既に持っていた。
 神からのギフトとも言うべき、その類稀ぬ非凡な才覚と言う力を。
 フレデリカはその力全てを持って王国を破滅へと陥れる事を決意したのだった。

 彼女がまず始めたのは、王国からのただでさえ少ない補助金を自らの私腹を肥やす為に横領していた修道院の院長に対する復讐の意味も込めた人格操作だ。
 それはただの小悪党から傾国の奸賊へと変えると言うものだった。
 なに、元よりその心の中に悪意の種子は芽吹いているのだ、後はその芽を育て上げ大木にすれば良いだけの事。

 実際に院長はそこまでの悪人だったかは今となっては定かではない。
 少なくとも復讐心に染まった彼女の眼にはそう映ったのだ。

 院長を利用した復讐計画は順調に進んだが、やがて人の心を持っていた慈愛の聖女への頃の記憶憧れる想いが良心の呵責となって邪魔をし始めた。

 『聖女が復讐を望むだろうか? こんな事をして彼女は喜ぶだろうか?』

 そんな心の葛藤に苛まれもしたが、既に目的と手段が入れ替わっていたのだろう。
 戻れぬ所まで来ていると、フレデリカはそんな大切な想いを自己暗示により心の奥底に封印したのである。

 自らの心も漆黒の悪意に染めたフレデリカは、その大願である王国の復讐にあと少しで手が届く所まで辿り着いた。
 しかし、ある日彼女の身にその後の運命を変える出来事が起こる。
 それはとある式典をプロデュースした際、本来なら自分は影となり式典に出席する事などしない主義では有ったが、何故かその日は自分も出席しようと思い立ち控室で院長と共に式典の開催を待っていた。
 しかし、少々暇を持て余したフレデリカは、新しいネタを探す事を思い付く。
 そして、敬虔な修道女の振りをして開催を待っている貴族達に近付き、何気無く彼らが話す噂話に耳をそばだたせた。
 だが、知っている噂しか話さぬ貴族達に侮慢の溜息を吐いた彼女は、これ以上は無駄だろうと自らの操り人形院長が待つ控室へと戻ろうとしたその時、視界の隅にある少女が映ったのだ。
 その少女は悪意の籠った言葉で恐らく自分のメイドと思われる女性に何やら文句を言っている。
 聞こえてくるその言葉から、怒っている理由がとてもくだらないものだと言う事が分かった。
 その少女は初めて見たが、その存在は知っていた。
 『確か性悪令嬢として有名なローゼリンデと言うバカ女だ』
 そう心の中で吐き捨てる様に呟き、自分には関係無い事と無視して通り過ぎようとした。

 しかし、そう思った筈なのにフレデリカはその場から動く事が出来ない自分に気付く。
 その眼は性悪令嬢から視線を移す事が出来ず、その足は地面に張り付いたように動かない。
 理由は分からなかった、今までそんな経験も無かった。
 やがてじーっと見ている自分に性悪令嬢は気付いたようだ。

「あなた! 何を見ているの! 修道女如きが貴族の令嬢をじっと眺めるなんて失礼でしょう!」

 そう喚きながら凄い剣幕で近付いて来たのだ。
 『あぁ見付かってしまった面倒臭い』と、頭の中では口で言いくるめてなんとか逃げなくてはと思うのだが、身体はその様には動いてくれない。
 それどころかいつの間にかその場で土下座をしていたのだ。
 王国への復讐の亡者と成り果てたフレデリカは、自分のこの行動に信じられないでいた。
 何故貴族共を手玉に取り、王国崩壊まであと一歩と言う所まで貶めた自分が、たかが貴族の小娘一人に土下座しているのだろう?
 しかし、その疑問とは裏腹にこの少女に罵られる事に快感を得ている自分が居る事にも気付いていた。
 本当に何故だか分からない。
 ただ、その声に記憶の奥に有った欲求を揺さぶり起された……そんな気がした。

 それ以降のフレデリカは急速に王国への復讐心への関心が消えて行く。
 しかし、復讐心の根源を覚えていないフレデリカは復讐心が消える事も大して気に留めなかった。
 『飽きたのだろう』そう呟くだけで何も胸に湧いてこない。
 今頭に浮かぶのは性悪令嬢に仕えたいと言う想いのみ。
 その時はまだその性悪令嬢が、かつて心より憧れそしてその人に仕えたいと神にまで願った貴族夫人の忘れ形見と言う事には気付いていなかった。
 
 それは先程、最後の鍵を開けた瞬間まで続いていたのだ。
 勿論記憶を封印しようと『慈愛の聖女』の事は知識として知っていた。
 「素晴らしい人だったらしい」と言う当たり障りの無い情報だけだ。
 そして、その娘が自分の性癖ととても相性の良い性悪女と言う事だけ分かっていれば十分だった。
 それでいいと思っていた。

 あの日を境に変わっていくお嬢様。
 そして変わっていく自分のお嬢様に対する想い。

 不思議には思っていたが沸き上がる高揚感は不快な物ではなかったので、何も考えずその身を時の流れに委ねていた。
 無駄に眠らせていた才覚もお嬢様の為に振るう事に躊躇もなかった。
 寧ろそれが新しい快感となっていた。

 だがそれらは全て錯覚だった。
 封印していた記憶とは言え、それは胸の奥深くで潜んでいただけの事。
 最初にお嬢様と出会った時から魂は理解していたのだ。
 かつて神に請いそして果たされる事の無かった純粋な願い。
 『アンネリーゼ様の側で仕えたい』
 その願いを果たす事の出来る唯一の存在の登場を。
 だからこそ復讐心が消えたのだろう。
 だからこそローズに仕えたいと思ったのだろう。

 『あぁ、自分はなんて遠回りをしたのだろう』

 フレデリカは心の中でそう呟いた。


「どうしたのフレデリカ? 目が赤いわよ? 大丈夫?」

 少しばかり視界がぼやけたかと思った瞬間、心配そうな顔をしたローズが覗き込むように声を掛けて来た。
 そこで気付いたのだが、どうやら自分は目に涙を浮かべていたようだ。
 それを心配してお嬢様は声を掛けて来たらしい。

 『本当にお優しい人だ』

 そう思った瞬間一気に今まで溜めていた想いが吹き出しそうになったが、長年培った自分の感情をコントロールするスキルを総動員して何とか押し止める。
 そして、にっこりと笑顔を浮かべて敬愛するお嬢様の憂いを無くす為の言葉を口にした。

「ご心配なくお嬢様。埃が目に入っただけですわ」

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