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第三章 世界を巡る
第88話 汝の宿命と対峙せよ
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「あ、赤い契約紋……始祖の力……」
僕の口から零れた言葉に宿敵はニヤリと笑い小さく頷いた。
恐らく想定通りの反応だったのだろう。
「ほう……やはり知っておったか。今おぬしが言った通り、これは従魔術の開祖である『トワコ』がこの世に開闢せしめし契約紋の原初なる姿。この赤き紋の存在は誰にも知られぬようにと偽装魔法にて弟子達以外には見せなんだ代物じゃが、なぜおぬしはこれを知っておるのだ?」
宿敵の口から齎された話は、始祖の手記を保管するものであり、そして手記には書かれていなかった真実も含まれていた。
「そ、それは……」
その真実は僕の処理能力を超える情報を含んでおり、理解が追いつかない。
赤い契約紋をその身に宿しているだけでも衝撃なのに、まるで当時を見てきたように過去を語る宿敵に僕は言葉を失った。
従魔術の開祖とは、僕達の言う始祖の事で間違いないだろう。
それこそ、歴史書や弟子の子孫としての我が家に伝わる伝承や手記に書かれた事が嘘でなければ……だ。
じゃあ、今あいつが口にした『トワコ』と言うのが、始祖の名前だって言うのか?
始祖本人の手記にも書かれていなかった名前をなんで知っているんだ?
死神を知っていて、始祖の名前も知っている。
しかもそれは伝聞じゃなく自らの記憶による言葉と感じた。
こいつは一体何者なんだよ!
「そ、それは……ぼ、僕の……「だからあんたは黙ってなさいって」うぐっ」
理解の追いつかない僕は、宿敵の質問に対して素直に『僕の左手にも浮かび上がっているから』と答えそうになったところを、母さんは僕の口に手を当てて塞ぐ。
「色々聞きたい事も有るんだけど、まずは質問に答えてあげるわ。その赤い契約紋だけど、始祖の弟子が残した手記にバッチリ書かれているのよ」
「な、なんと……、弟子の手記とはアレか? 開祖が主席補佐であるアレイスター以下高弟達五名に渡した魔道書の事か……?」
「えぇそうよ。そして私達はそのアレイスターの子孫ってわけ」
「なるほどのぅ、おぬし達はあのアレイスターの血を引いとるのか。そうか……血は二百年先まで繋がっておったか……。しかし言葉として残すなとあれほど言われていたにもかかわらず、生真面目だった奴がそんな事を仕出かすとはの。困った奴じゃわい」
宿敵はまるで僕と母さんから先祖の面影を探ろうとしているかのような懐かしい目をした後、呆れた様な溜息を吐いた。
恐らく母さんの言葉から、赤い継承紋だけでなく『起動』までも書き残したと言う事を悟ったんだろう。
その仕草から宿敵は当時の噂を伝え聞いた聴衆ではなく、傍観者……いや当事者である事が伺える。
こいつも弟子の一人だったのだろうか?
そんな気安さを感じた。
話の節々からそんな気はしていたけど、三百年も生きてる人間がいるとは思えないんで、その可能性を無意識に否定していた。
信じられないけど、こいつは何らかの方法で三百年と言う時を生きて来たと思う他ないな。
始祖と同じ様に『パンゲア』の知識から赤い契約紋を開く事に成功し、そして延命する魔術も開発した……と言う事なのだろう。
三百年間……ん? 今二百年って言わなかった?
二百年って言ったら従魔戦争の頃だよな?
言い間違えたの? それとも……。
薄っすらと湧いて来た嫌な予感に僕は心臓の鼓動が早まるのを感じた。
「これで赤い契約紋や他にも色々知っている事について理解して貰えたかしら? 勿論ブリュンヒルドを元に戻したのだってそれに含まれるわ。次はこちらから質問したい事が幾つかあるのだけど教えてくれない?」
母さんは額に手を当て僕の先祖がやらかした事に愚痴を零す宿敵にそう問いかけた。
額に手を当てていた宿敵は母さんの言葉にチラリとこちらを見て再度溜息を吐く。
「ふむ。そうだのう……一つだけなら答えてやらんことも無いな」
「あら一つだけ? ケチねぇ。まぁ、いいわ。じゃあ一つだけ。あなた『結魔術』ってさっき言ったわよね? 始祖が目指したのは『絆魔術』って話だけど、それとは違うの?」
「なんと! アレイスターの奴め、『絆魔術』の事まで書き残しておっただと? ……ふむ? それにしてはおかしいのう。二百年前のお前達の先祖はそんな事なぞ露も知らぬ様子であったが……」
宿敵の口からもたらされた言葉に、予感が正しかった事を悟った。
『この地に永劫なる平和を』と言う始祖の理念と敵対したって言う反乱軍の生き残り…… いや、そもそもこいつが全ての元凶なのかもしれない。
それだけじゃない、三百年前の始祖達の事を知っていると言う事は恐らくこいつも弟子の一人だったんだろう。
それならサイスを知っていた事にも辻褄が合う。
何が有ったかは分からないけど、こいつは始祖の死後に道を踏み外した。
そして始祖の理念を引き継いだ弟子達に戦争を仕掛けたんだ。
結果は敗北だったけど、二百年の時を超え再び人類を……始祖の理念を継ぐテイマーを滅ぼす為に復活した。
新たなる脅威、新たなる魔王……。
そうか、始祖もご先祖様もこいつが人類に対して敵となる事が分かっていたんだ。
だから手記として書き記していたんだな。
やっぱりこいつは僕の……テイマーの敵だ。
目の前に居る老人を契約紋に教えられた宿敵ではなく、僕自身の敵だと認識した。
僕は緊張のあまり思わずゴクリと唾を飲む。
「そりゃそうよ。すっごく手の込んだ暗号で書かれていたんだから。三百年経ってやっと私が解読したんだもの。二百年前の先祖が知ってるはずも無いわ。と言う訳で私のご先祖をあんまり悪く言わないであげてね」
「ほう……そうか、それは悪かったのう。では、おぬしの健闘を称えて答えてやろうではないか。『結魔術』の事を聞きたいのであったな。ふむ、まず前提として『絆魔術』はの……欠陥品じゃ。夢幻なのじゃよ」
僕の新たなる決意をよそに、宿敵は少し寂しそうな顔をしてそう言った。
『絆魔術』は欠陥品だって? こいつは始祖さえ習得し得なかった『絆魔術』の何を知っているって言うんだよ。
「あら? どうしてそう言い切れるのかしら? ご先祖様の手記によると始祖はライアスフィアとの絆を確かな物とする為に、そして幸せな未来を掴む為に頑張っていたと書かれていたわ」
そうだ。
あの時、自分の意思で発動した訳じゃないけど、僕はライアとの契約で死に掛けていたところを『絆魔術』で救われたんだ。
それによって僕とライアの絆は更に強くなった。
それなのに『絆魔術』は失敗作だなんて言わせない。
「そうだな、頑張った。それはもう昼夜問わず弟子達が休めと諌めるのも聞かずにな。その結果どうなった? 結局ライアスフィアは赤子として虚舟へと封印され次元の隙間をさ迷う事となり、そしてただでさえ契約によって魂が衰弱していた開祖はその封印によって力を使い果たし程無くこの世を去る事となったのじゃ」
「っ!! そ、それは……」
「全ては自らの力量を省みず、ただ絆と言う幻想を信じ追い求めたが為に産まれた悲劇じゃよ。儂はその失敗を教訓として新たな魔術を模索した。それは絆などと言う馴れ合いの戯言ではなく、絶対なる心身の結び付き……そう、我が血肉を従魔に移植し同一となる為の魔術を編み出した。それが『結魔術』なのじゃ」
自分の血肉を従魔に移植する……それが『結魔術』?
そ、そんな……く、狂ってる。
僕は宿敵の口から語られた『結魔術』と言う狂気の産物に言葉を失った。
「さて、話はこれでおしまいじゃ。ここまでの話の駄賃として、おぬしらの命を貰おうかの」
「な……!!」
それは突然の事だった。
今の今までその身から発せられる圧力とはまるで反対の好々爺の様な優しい表情を浮かべていた宿敵の顔が、突如としてその色を変えてまるで暗黒とでも言わんとする深く静かな怒りを滲ませていた。
それは母さんでさえ身体を震わせ、まるで暴風に曝されているかのように数歩後退りした。
「ちょっ、ちょっと一体どう言う風の吹き回し? 今の今まで楽しくお喋りていたじゃない。それに駄賃と言うならあんたがご先祖の悪口を言った事でペイでしょう」
「すまぬのぅ。しかし、この赤い契約紋が儂に告げるのじゃよ。そこの小僧が儂の宿敵だとな」
「なんですって!?」
またもや左手の甲を僕達に見せ付けてきた宿敵の口から『僕が宿敵』と言う言葉が告げられた。
そんな……僕が目の前の老人を宿敵と認識したように、こいつも僕の事が自らの宿敵だと分かっていたと言う事か。
だとしたらなんで最初から敵意を剥き出しにしてこなかったんだ?
途中で気付いた?
いや、こいつは最初から僕の事を意識していたように思う。
母さんやサイスと喋っていた時以外は僕の方をずっと見ていたんだから。
じゃあ、なんでいきなり本性を現したんだ?
僕は奴の真意を知らなければならない。なぜだかそれが僕の使命だと思ったんだ。
怖いけど、なけなしの勇気を振り絞り顔を上げた。
宿敵の言葉を聞いた母さんは僕を庇うように宿敵の前に立ち塞がり、その身で僕を隠そうと身体を張ってくれている。
そんな母さんの身体を押しやり更に前に出た。
「ちょっと、マーシャル、あんた後ろに……」
母さんは決意を込めた僕の顔を見て、それ以上言葉を続けるのを止めた。
そして自ら横に退き僕に道を譲る。
「最初から分かっていたの?」
「あぁ、分かっておったとも。あえて気付かぬ振りをしていたのは、信じたくなかったからじゃ」
「信じたくない? どう言う事?」
明らかに落胆したと言う表情を浮かべながら目を伏した宿敵の姿に僕は戸惑いを隠せなかった。
僕の問い掛けで宿敵は顔を上げ、明らかに侮蔑の色を浮かべた目で僕を見て口を開く。
「それは決まっておろう。やっと出会えた念願の宿敵が魔道具にも反応しないほどの小物だったと言うんじゃからの」
「それは……」
どうやら宿敵は『覇者の手套』で魔道具の投影を阻害している僕に落胆しているようだ。
後ろで母さんが『あちゃ~作戦失敗だったわね』と呟いているのが聞こえた。
気付いていないからと、僕を弱いと誤認させて匿おうとしていた事が裏目に出たって事なんだろうけど、多分今の僕じゃ『覇者の手套』が無くても奴の目には小物として映っていたんじゃないだろうか?
少なくとも僕と奴では大人と子供どころか、コボルトとドラゴンくらいの実力差があると思う。
「……三百年前失意と共にこの世を去った儂は何の因果かその百年後、突如としてこの世に引き戻された。理由は知らぬ、ただその時この赤き契約紋が儂に語り掛けてきたのじゃ。『汝の宿命と対峙せよ』とな」
「宿命……? 宿敵じゃなくて?」
「あぁ確かに契約紋は儂に『宿命』と言った。儂はそれを自らが超えるべき敵……宿敵の事だと悟ったのじゃ。なにしろ二百年前、トワコの理念を履き違えた愚か者共が開祖を継ぐ者と名乗っておったからな。それこそが宿敵なのだと思い、従魔を率い戦を仕掛けたが、そこには宿敵はおらなんだ。じゃから儂は戦場から身を引き再び眠りについた。次に目が覚めた時こそ宿敵と対峙出来る事を願っての。それなのに出会ったのがお前じゃと? こんな契約紋も刻めないような弱者が宿敵じゃと? 魔物を救済する者じゃと? ふざけるなっ! そんな事馬鹿げた事を許せる訳があろうかっ!!」
「ちょっと待ってよ。あなた誤解してるわ。マーシャルすぐにその……」
奴の怒りは映像越しでも僕達の肌をビリビリと振るわせる程の圧力を放っていた。
母さんはその誤解を解こうと僕に『覇者の手套』を外させようとするが、恐らく焼け石に水だと思う。
「駄目だよ母さん。それを言っても余計奴を煽るだけだ。それより何とか逃げないと……」
「そうだマーシャルのママ。いくらあいつが凄もうが、所詮投影魔法によるものにすぎん。魔道具越しではこちらには手出しが……」カッ! ピキピキ! ドドーーン!!
サイスの言葉を遮るように一瞬の閃光の後、辺りに轟音と共に爆風が吹き荒れた。
僕らは驚愕の顔でその音の方向を見た。
「そ、そんな……」
僕達の目線の先にはパチパチと言う小さい炎を上げている真っ二つに引き裂かれれ焼け焦げた樹木の姿があった。
今の轟音に、そして焼け焦げた樹木……もしかして雷?
もしかしてスコールでも来たのだろうか?
目の前で起こった事を認めたくないと言う重いから現実逃避気味に木々の隙間から見える空を見上げた。
そこには青い空が見える、雷雲なんて狭いながらも見える範囲には見当たらない。
僕は宿敵のほうに振り返った。
すると奴はニヤリと口角を上げまるで馬鹿にするような目で僕を見ている。
まさか……まさか……。
「死神よ。この魔道具の事を知っていたようじゃが何も出来ないと思うのは早計じゃぞ?」
「バカな! 今程の魔力を空間を超えて送信出来る魔道具など存在出来る訳がない!」
宿敵の言葉で僕の予想が当たっていた事を知る。
サイスが言う様に例え魔道具によって相手の場所が分かっていたとしても、今レベルの電撃魔法を放つ魔力を供給するなんて事は送信による減衰や時間のロスを考えると不可能だ。
それこそ本人がこの場に居ない限り……?
いや、ちょっと待って? あいつは言っていなかったか?
血肉を従魔に移植し同一となるって……。
「……もしかして……それが『結魔術』?」
僕はドリーの蔦によって吊るされているダークエルフ達を見上げた。
すると気絶している筈の彼女らの周りに膨大な魔力が渦巻いているのを感じる。
これが答え合わせなんだろう。
「ほう、小僧。思ったより聡しいの。そうじゃ、それが『結魔術』。従魔契約は時空を超え魔力による結びつきが有るが、それは細い糸の様な物。しかし『結魔術』は術師と従魔が同一となる事によって先程のように距離を無視して術を行使出来るのじゃ。まぁ完成形では無い為、いまだ目と耳はこの様に魔道具に頼るしかないがの。近ければ念話で代用出来るがこの場所からは無理じゃ」
「じゃあ、死神ちゃん。これ以上何も出来ないようにあいつらを倒すわよ!」
「あぁ!」
「ふっ。無駄じゃ。あやつらの周りには既に『絶対防御』の魔法を発動させておる。いかに死神と言えども、その護りを突破するのは容易ではないぞ。その間に儂は極大呪文でおぬし等を葬る事が出来ると言う寸法じゃ」
「なんて性格の悪い! じゃあ、ドリー今すぐ私達を転移させて!!」
「そ、それが先程のように転送を阻害されて……」
「ドライアドが居る事は分かっておったから既に手は打っておるわ。言っておくが閃光や煙幕などの目眩ましも無駄じゃぞ。なにしろ生体魔力を感知する魔道具なんじゃからの。それに今から『暴風』で辺り一帯を吹き飛ばすのだから走って逃げるのも無駄じゃ」
「そ、そんな……」
宿敵の口から絶望が告げられる。
どうやら宿敵は僕達と話している間に着々と僕達を殺す準備を進めていたようだ。
気付いた時には逃げる事もそれに抗う術も封じられていた。
話し合いで解決なんて事は端から無理だったんだ。
こいつの姿を見た瞬間に逃げると言う選択肢を選ばなかった時点で僕達の結末は決まっていた。
目の前が絶望で真っ暗になっていく。
「一つ気がかりなのは、なぜ小僧がその程度の魔力でブリュンヒルドとの『結魔術』……『創生』を解いたのかは分からぬが、恐らく前借りと言う奴じゃろう」
「前……借り?」
「あぁそうじゃ。トワコが最後に行ったライアスフィアへの封印。あれは『聖誕』と言う魔法でな。効果の程はそこにおる元の姿に戻ったブリュンヒルドと同じく魔物を始まりの姿に戻すものじゃ。先程も言った通りこの魔法を使うには力が足りなんだ。ライアスフィアとの契約で魂が衰弱していたからと言う訳じゃなく単純に力不足じゃった。それを可能とさせたのは自らの寿命を捧げる事によって力を前借りしたからなのじゃ」
「え……っと、じゃあなんで僕は使えたの?」
「ふん、決まっておろう。ブリュンヒルドが命を賭して儂に殉じようとする様に恐れおののき、死にたく無いと言う想いから無意識に自らの寿命を捧げて『聖誕』を使ったと言う事じゃ。……なるほど、その魔力の弱さもそれが原因かも知れんの」
宿敵は僕の弱さにアレコレ理由をつけて勝手に納得してしまった。
前借り……その言葉は本当なのだろうか?
確かに始祖が命を掛けてしか使えなかった魔法が、何のリスクも無くて今の僕に使えるなんて事はある訳無いと思う。
だけど、奴が言っているような魔力の減衰なんて起こっていない。
むしろ今までよりも身体中に魔力が漲っている……そんな感じだ。
「さぁ疑問も解けた所で話はここまでじゃ。寿命を前借りしたのじゃ、放っておいてもじきに死ぬであろうが、情けは掛けぬ。この手で葬ってくれるわ! ……我が従魔ロタの主イモータルの名において命ずる。吹き荒れろ風の精霊!! 暴風となりて我が敵を切り刻め!! 『暴風』!!」
疑問が晴れた事に満足した宿敵はとうとう僕達を全滅させる為の魔法を唱えた――。
僕の口から零れた言葉に宿敵はニヤリと笑い小さく頷いた。
恐らく想定通りの反応だったのだろう。
「ほう……やはり知っておったか。今おぬしが言った通り、これは従魔術の開祖である『トワコ』がこの世に開闢せしめし契約紋の原初なる姿。この赤き紋の存在は誰にも知られぬようにと偽装魔法にて弟子達以外には見せなんだ代物じゃが、なぜおぬしはこれを知っておるのだ?」
宿敵の口から齎された話は、始祖の手記を保管するものであり、そして手記には書かれていなかった真実も含まれていた。
「そ、それは……」
その真実は僕の処理能力を超える情報を含んでおり、理解が追いつかない。
赤い契約紋をその身に宿しているだけでも衝撃なのに、まるで当時を見てきたように過去を語る宿敵に僕は言葉を失った。
従魔術の開祖とは、僕達の言う始祖の事で間違いないだろう。
それこそ、歴史書や弟子の子孫としての我が家に伝わる伝承や手記に書かれた事が嘘でなければ……だ。
じゃあ、今あいつが口にした『トワコ』と言うのが、始祖の名前だって言うのか?
始祖本人の手記にも書かれていなかった名前をなんで知っているんだ?
死神を知っていて、始祖の名前も知っている。
しかもそれは伝聞じゃなく自らの記憶による言葉と感じた。
こいつは一体何者なんだよ!
「そ、それは……ぼ、僕の……「だからあんたは黙ってなさいって」うぐっ」
理解の追いつかない僕は、宿敵の質問に対して素直に『僕の左手にも浮かび上がっているから』と答えそうになったところを、母さんは僕の口に手を当てて塞ぐ。
「色々聞きたい事も有るんだけど、まずは質問に答えてあげるわ。その赤い契約紋だけど、始祖の弟子が残した手記にバッチリ書かれているのよ」
「な、なんと……、弟子の手記とはアレか? 開祖が主席補佐であるアレイスター以下高弟達五名に渡した魔道書の事か……?」
「えぇそうよ。そして私達はそのアレイスターの子孫ってわけ」
「なるほどのぅ、おぬし達はあのアレイスターの血を引いとるのか。そうか……血は二百年先まで繋がっておったか……。しかし言葉として残すなとあれほど言われていたにもかかわらず、生真面目だった奴がそんな事を仕出かすとはの。困った奴じゃわい」
宿敵はまるで僕と母さんから先祖の面影を探ろうとしているかのような懐かしい目をした後、呆れた様な溜息を吐いた。
恐らく母さんの言葉から、赤い継承紋だけでなく『起動』までも書き残したと言う事を悟ったんだろう。
その仕草から宿敵は当時の噂を伝え聞いた聴衆ではなく、傍観者……いや当事者である事が伺える。
こいつも弟子の一人だったのだろうか?
そんな気安さを感じた。
話の節々からそんな気はしていたけど、三百年も生きてる人間がいるとは思えないんで、その可能性を無意識に否定していた。
信じられないけど、こいつは何らかの方法で三百年と言う時を生きて来たと思う他ないな。
始祖と同じ様に『パンゲア』の知識から赤い契約紋を開く事に成功し、そして延命する魔術も開発した……と言う事なのだろう。
三百年間……ん? 今二百年って言わなかった?
二百年って言ったら従魔戦争の頃だよな?
言い間違えたの? それとも……。
薄っすらと湧いて来た嫌な予感に僕は心臓の鼓動が早まるのを感じた。
「これで赤い契約紋や他にも色々知っている事について理解して貰えたかしら? 勿論ブリュンヒルドを元に戻したのだってそれに含まれるわ。次はこちらから質問したい事が幾つかあるのだけど教えてくれない?」
母さんは額に手を当て僕の先祖がやらかした事に愚痴を零す宿敵にそう問いかけた。
額に手を当てていた宿敵は母さんの言葉にチラリとこちらを見て再度溜息を吐く。
「ふむ。そうだのう……一つだけなら答えてやらんことも無いな」
「あら一つだけ? ケチねぇ。まぁ、いいわ。じゃあ一つだけ。あなた『結魔術』ってさっき言ったわよね? 始祖が目指したのは『絆魔術』って話だけど、それとは違うの?」
「なんと! アレイスターの奴め、『絆魔術』の事まで書き残しておっただと? ……ふむ? それにしてはおかしいのう。二百年前のお前達の先祖はそんな事なぞ露も知らぬ様子であったが……」
宿敵の口からもたらされた言葉に、予感が正しかった事を悟った。
『この地に永劫なる平和を』と言う始祖の理念と敵対したって言う反乱軍の生き残り…… いや、そもそもこいつが全ての元凶なのかもしれない。
それだけじゃない、三百年前の始祖達の事を知っていると言う事は恐らくこいつも弟子の一人だったんだろう。
それならサイスを知っていた事にも辻褄が合う。
何が有ったかは分からないけど、こいつは始祖の死後に道を踏み外した。
そして始祖の理念を引き継いだ弟子達に戦争を仕掛けたんだ。
結果は敗北だったけど、二百年の時を超え再び人類を……始祖の理念を継ぐテイマーを滅ぼす為に復活した。
新たなる脅威、新たなる魔王……。
そうか、始祖もご先祖様もこいつが人類に対して敵となる事が分かっていたんだ。
だから手記として書き記していたんだな。
やっぱりこいつは僕の……テイマーの敵だ。
目の前に居る老人を契約紋に教えられた宿敵ではなく、僕自身の敵だと認識した。
僕は緊張のあまり思わずゴクリと唾を飲む。
「そりゃそうよ。すっごく手の込んだ暗号で書かれていたんだから。三百年経ってやっと私が解読したんだもの。二百年前の先祖が知ってるはずも無いわ。と言う訳で私のご先祖をあんまり悪く言わないであげてね」
「ほう……そうか、それは悪かったのう。では、おぬしの健闘を称えて答えてやろうではないか。『結魔術』の事を聞きたいのであったな。ふむ、まず前提として『絆魔術』はの……欠陥品じゃ。夢幻なのじゃよ」
僕の新たなる決意をよそに、宿敵は少し寂しそうな顔をしてそう言った。
『絆魔術』は欠陥品だって? こいつは始祖さえ習得し得なかった『絆魔術』の何を知っているって言うんだよ。
「あら? どうしてそう言い切れるのかしら? ご先祖様の手記によると始祖はライアスフィアとの絆を確かな物とする為に、そして幸せな未来を掴む為に頑張っていたと書かれていたわ」
そうだ。
あの時、自分の意思で発動した訳じゃないけど、僕はライアとの契約で死に掛けていたところを『絆魔術』で救われたんだ。
それによって僕とライアの絆は更に強くなった。
それなのに『絆魔術』は失敗作だなんて言わせない。
「そうだな、頑張った。それはもう昼夜問わず弟子達が休めと諌めるのも聞かずにな。その結果どうなった? 結局ライアスフィアは赤子として虚舟へと封印され次元の隙間をさ迷う事となり、そしてただでさえ契約によって魂が衰弱していた開祖はその封印によって力を使い果たし程無くこの世を去る事となったのじゃ」
「っ!! そ、それは……」
「全ては自らの力量を省みず、ただ絆と言う幻想を信じ追い求めたが為に産まれた悲劇じゃよ。儂はその失敗を教訓として新たな魔術を模索した。それは絆などと言う馴れ合いの戯言ではなく、絶対なる心身の結び付き……そう、我が血肉を従魔に移植し同一となる為の魔術を編み出した。それが『結魔術』なのじゃ」
自分の血肉を従魔に移植する……それが『結魔術』?
そ、そんな……く、狂ってる。
僕は宿敵の口から語られた『結魔術』と言う狂気の産物に言葉を失った。
「さて、話はこれでおしまいじゃ。ここまでの話の駄賃として、おぬしらの命を貰おうかの」
「な……!!」
それは突然の事だった。
今の今までその身から発せられる圧力とはまるで反対の好々爺の様な優しい表情を浮かべていた宿敵の顔が、突如としてその色を変えてまるで暗黒とでも言わんとする深く静かな怒りを滲ませていた。
それは母さんでさえ身体を震わせ、まるで暴風に曝されているかのように数歩後退りした。
「ちょっ、ちょっと一体どう言う風の吹き回し? 今の今まで楽しくお喋りていたじゃない。それに駄賃と言うならあんたがご先祖の悪口を言った事でペイでしょう」
「すまぬのぅ。しかし、この赤い契約紋が儂に告げるのじゃよ。そこの小僧が儂の宿敵だとな」
「なんですって!?」
またもや左手の甲を僕達に見せ付けてきた宿敵の口から『僕が宿敵』と言う言葉が告げられた。
そんな……僕が目の前の老人を宿敵と認識したように、こいつも僕の事が自らの宿敵だと分かっていたと言う事か。
だとしたらなんで最初から敵意を剥き出しにしてこなかったんだ?
途中で気付いた?
いや、こいつは最初から僕の事を意識していたように思う。
母さんやサイスと喋っていた時以外は僕の方をずっと見ていたんだから。
じゃあ、なんでいきなり本性を現したんだ?
僕は奴の真意を知らなければならない。なぜだかそれが僕の使命だと思ったんだ。
怖いけど、なけなしの勇気を振り絞り顔を上げた。
宿敵の言葉を聞いた母さんは僕を庇うように宿敵の前に立ち塞がり、その身で僕を隠そうと身体を張ってくれている。
そんな母さんの身体を押しやり更に前に出た。
「ちょっと、マーシャル、あんた後ろに……」
母さんは決意を込めた僕の顔を見て、それ以上言葉を続けるのを止めた。
そして自ら横に退き僕に道を譲る。
「最初から分かっていたの?」
「あぁ、分かっておったとも。あえて気付かぬ振りをしていたのは、信じたくなかったからじゃ」
「信じたくない? どう言う事?」
明らかに落胆したと言う表情を浮かべながら目を伏した宿敵の姿に僕は戸惑いを隠せなかった。
僕の問い掛けで宿敵は顔を上げ、明らかに侮蔑の色を浮かべた目で僕を見て口を開く。
「それは決まっておろう。やっと出会えた念願の宿敵が魔道具にも反応しないほどの小物だったと言うんじゃからの」
「それは……」
どうやら宿敵は『覇者の手套』で魔道具の投影を阻害している僕に落胆しているようだ。
後ろで母さんが『あちゃ~作戦失敗だったわね』と呟いているのが聞こえた。
気付いていないからと、僕を弱いと誤認させて匿おうとしていた事が裏目に出たって事なんだろうけど、多分今の僕じゃ『覇者の手套』が無くても奴の目には小物として映っていたんじゃないだろうか?
少なくとも僕と奴では大人と子供どころか、コボルトとドラゴンくらいの実力差があると思う。
「……三百年前失意と共にこの世を去った儂は何の因果かその百年後、突如としてこの世に引き戻された。理由は知らぬ、ただその時この赤き契約紋が儂に語り掛けてきたのじゃ。『汝の宿命と対峙せよ』とな」
「宿命……? 宿敵じゃなくて?」
「あぁ確かに契約紋は儂に『宿命』と言った。儂はそれを自らが超えるべき敵……宿敵の事だと悟ったのじゃ。なにしろ二百年前、トワコの理念を履き違えた愚か者共が開祖を継ぐ者と名乗っておったからな。それこそが宿敵なのだと思い、従魔を率い戦を仕掛けたが、そこには宿敵はおらなんだ。じゃから儂は戦場から身を引き再び眠りについた。次に目が覚めた時こそ宿敵と対峙出来る事を願っての。それなのに出会ったのがお前じゃと? こんな契約紋も刻めないような弱者が宿敵じゃと? 魔物を救済する者じゃと? ふざけるなっ! そんな事馬鹿げた事を許せる訳があろうかっ!!」
「ちょっと待ってよ。あなた誤解してるわ。マーシャルすぐにその……」
奴の怒りは映像越しでも僕達の肌をビリビリと振るわせる程の圧力を放っていた。
母さんはその誤解を解こうと僕に『覇者の手套』を外させようとするが、恐らく焼け石に水だと思う。
「駄目だよ母さん。それを言っても余計奴を煽るだけだ。それより何とか逃げないと……」
「そうだマーシャルのママ。いくらあいつが凄もうが、所詮投影魔法によるものにすぎん。魔道具越しではこちらには手出しが……」カッ! ピキピキ! ドドーーン!!
サイスの言葉を遮るように一瞬の閃光の後、辺りに轟音と共に爆風が吹き荒れた。
僕らは驚愕の顔でその音の方向を見た。
「そ、そんな……」
僕達の目線の先にはパチパチと言う小さい炎を上げている真っ二つに引き裂かれれ焼け焦げた樹木の姿があった。
今の轟音に、そして焼け焦げた樹木……もしかして雷?
もしかしてスコールでも来たのだろうか?
目の前で起こった事を認めたくないと言う重いから現実逃避気味に木々の隙間から見える空を見上げた。
そこには青い空が見える、雷雲なんて狭いながらも見える範囲には見当たらない。
僕は宿敵のほうに振り返った。
すると奴はニヤリと口角を上げまるで馬鹿にするような目で僕を見ている。
まさか……まさか……。
「死神よ。この魔道具の事を知っていたようじゃが何も出来ないと思うのは早計じゃぞ?」
「バカな! 今程の魔力を空間を超えて送信出来る魔道具など存在出来る訳がない!」
宿敵の言葉で僕の予想が当たっていた事を知る。
サイスが言う様に例え魔道具によって相手の場所が分かっていたとしても、今レベルの電撃魔法を放つ魔力を供給するなんて事は送信による減衰や時間のロスを考えると不可能だ。
それこそ本人がこの場に居ない限り……?
いや、ちょっと待って? あいつは言っていなかったか?
血肉を従魔に移植し同一となるって……。
「……もしかして……それが『結魔術』?」
僕はドリーの蔦によって吊るされているダークエルフ達を見上げた。
すると気絶している筈の彼女らの周りに膨大な魔力が渦巻いているのを感じる。
これが答え合わせなんだろう。
「ほう、小僧。思ったより聡しいの。そうじゃ、それが『結魔術』。従魔契約は時空を超え魔力による結びつきが有るが、それは細い糸の様な物。しかし『結魔術』は術師と従魔が同一となる事によって先程のように距離を無視して術を行使出来るのじゃ。まぁ完成形では無い為、いまだ目と耳はこの様に魔道具に頼るしかないがの。近ければ念話で代用出来るがこの場所からは無理じゃ」
「じゃあ、死神ちゃん。これ以上何も出来ないようにあいつらを倒すわよ!」
「あぁ!」
「ふっ。無駄じゃ。あやつらの周りには既に『絶対防御』の魔法を発動させておる。いかに死神と言えども、その護りを突破するのは容易ではないぞ。その間に儂は極大呪文でおぬし等を葬る事が出来ると言う寸法じゃ」
「なんて性格の悪い! じゃあ、ドリー今すぐ私達を転移させて!!」
「そ、それが先程のように転送を阻害されて……」
「ドライアドが居る事は分かっておったから既に手は打っておるわ。言っておくが閃光や煙幕などの目眩ましも無駄じゃぞ。なにしろ生体魔力を感知する魔道具なんじゃからの。それに今から『暴風』で辺り一帯を吹き飛ばすのだから走って逃げるのも無駄じゃ」
「そ、そんな……」
宿敵の口から絶望が告げられる。
どうやら宿敵は僕達と話している間に着々と僕達を殺す準備を進めていたようだ。
気付いた時には逃げる事もそれに抗う術も封じられていた。
話し合いで解決なんて事は端から無理だったんだ。
こいつの姿を見た瞬間に逃げると言う選択肢を選ばなかった時点で僕達の結末は決まっていた。
目の前が絶望で真っ暗になっていく。
「一つ気がかりなのは、なぜ小僧がその程度の魔力でブリュンヒルドとの『結魔術』……『創生』を解いたのかは分からぬが、恐らく前借りと言う奴じゃろう」
「前……借り?」
「あぁそうじゃ。トワコが最後に行ったライアスフィアへの封印。あれは『聖誕』と言う魔法でな。効果の程はそこにおる元の姿に戻ったブリュンヒルドと同じく魔物を始まりの姿に戻すものじゃ。先程も言った通りこの魔法を使うには力が足りなんだ。ライアスフィアとの契約で魂が衰弱していたからと言う訳じゃなく単純に力不足じゃった。それを可能とさせたのは自らの寿命を捧げる事によって力を前借りしたからなのじゃ」
「え……っと、じゃあなんで僕は使えたの?」
「ふん、決まっておろう。ブリュンヒルドが命を賭して儂に殉じようとする様に恐れおののき、死にたく無いと言う想いから無意識に自らの寿命を捧げて『聖誕』を使ったと言う事じゃ。……なるほど、その魔力の弱さもそれが原因かも知れんの」
宿敵は僕の弱さにアレコレ理由をつけて勝手に納得してしまった。
前借り……その言葉は本当なのだろうか?
確かに始祖が命を掛けてしか使えなかった魔法が、何のリスクも無くて今の僕に使えるなんて事はある訳無いと思う。
だけど、奴が言っているような魔力の減衰なんて起こっていない。
むしろ今までよりも身体中に魔力が漲っている……そんな感じだ。
「さぁ疑問も解けた所で話はここまでじゃ。寿命を前借りしたのじゃ、放っておいてもじきに死ぬであろうが、情けは掛けぬ。この手で葬ってくれるわ! ……我が従魔ロタの主イモータルの名において命ずる。吹き荒れろ風の精霊!! 暴風となりて我が敵を切り刻め!! 『暴風』!!」
疑問が晴れた事に満足した宿敵はとうとう僕達を全滅させる為の魔法を唱えた――。
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