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第一章 雑魚テイマーの嘆き
第23話 禁書
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「従魔術の始祖が書かれた禁書? 何それ、何でうちの蔵書にそんな物が有るの?」
そんなもの聞いた事も見た事も無いよ。
書庫にもそんな怪しげな本は無かったと思うけど……。
僕はドヤ顔している叔母さんに詰め寄った。
「うちの家系って高名なテイマーだったってのはマー坊も知っての通り。クロウリーの家名を興してから200年続く名門よ」
「うん、うちの家系がまだ従魔術師がテイマーって呼ばれる前から続いてるって事は母さんに教わったよ。けど、そんな禁書が有るなんてのは母さんから聞いた事なんて無いよ?」
母さんから教わった僕の家の歴史。
それは今から200年くらい前に遡る。
魔王ですら封印する程の強大な力を持つ従魔術師の存在を恐れた時の権力者達が、ある要求を従魔術師達に出したらしい。
それは従魔術の封印に関する事だった。
母さんが言うには、これは時の権力者だけの意向って訳でもなく、他の系統の魔法使い達がかつての魔王との戦い、所謂『人魔大戦』で失墜した自身の系統の地位向上の為に権力者達を唆したんだって。
自身の存在を否定される様なこんな理不尽な仕打ちをされて、よく従魔術師達の反乱が起こらなかったものだと後世では言われているけど、それは表向きの歴史書に載っていないだけ。
本当は『人魔大戦』の再来かと思われる程の戦いが歴史の裏で起こっていたんだと母さんから教わった。
秘められたその戦いの名は『従魔戦争』。
弾圧とも言うべき権力者の横暴に耐え兼ねた従魔術師達反乱軍と魔王を封印して手に入れたこの平和な世の存続を望む従魔術師達鎮圧軍。
鎮圧軍の中心となったのは従魔術の始祖の直弟子の子孫達で、始祖が従魔術を完成させた時に語った『この地に永劫なる平和を』と言う理念を受け継いでいた彼らは、平和な世を従魔術で壊そうとしている反乱軍を止めるべく立ち上がったとの事だ。
その戦いは現在は人も近寄らない『辺境界』と呼ばれるこの大陸の果てで行われた。
両者の力は凄まじく、山が消し飛び地形が変わり豊かな水を湛えていた湖が蒸発したと言われる程で、戦いによる傷跡は200年経った今でも『辺境界』の大地に刻まれている。
しかしその理由を知る者は今ではほとんど居ない。
なぜそれ程の戦いが歴史に残っていないかと言うと、それは極短期間で勝敗が決したかららしい。
勿論鎮圧軍の圧倒的勝利。
後に残ったのはテイマーと呼ばれる魔術系譜に属する職業と言う存在だけ。
反乱軍の結末や勝利した従魔術師側と権力者達との間にどの様な取り決めが有ったのかまでは僕も知らない。
母さんもそれ以上の事については『いずれ教えてあげるわ』って言うだけで話してくれなかったから。
だから僕もこの恐ろしい『従魔戦争』は歴史の闇に葬られ、従魔術は権力者によって封印されたって事までしか分からないんだ。
何故母さんがそんな事を知っているかと言うと、その鎮圧軍の中心メンバーである直弟子達の子孫の一人が僕のご先祖様ミッシェル=クロウリーってわけ。
そんな家系なんだから、そりゃ始祖の文献が残っていたとしてもおかしくは無いけど……。
禁書なんて物騒な存在は僕は知らないや。
どこに隠されていたんだろうか?
屋敷に開かずの間が有るってのは聞いた事が無いんだけど。
「そりゃそうよ。その禁書に目を通せるのは当主だけだもん」
叔母さんが自信満々な笑顔でそう言って来た。
……その理屈はおかしい。
だって叔母さんは当主じゃないじゃないか。
「ちょっと待って、どう言う事? なんで当主しか読む事出来ない物をお姉さんが知ってるの?」
「簡単な事よ。内緒で読んだからに決まってるじゃない。あんな馬鹿親父の言い付けなんてポイよポイ。世の中パレなきゃオールOKなんだから」
鼻息をふんすふんすと音を立てながら良い笑顔で僕を見てくる叔母さん。
オールOKじゃないよ! 完全アウトだよ!
この人無茶苦茶だ~!!
時々叔母さんが常識人なのか変人なのか分からない時が有るなぁ。
「ふぅ、もういいや……。それで、その禁書にはなんて書いてあったの?」
叔母さんの破天荒さに呆れた僕は、額に手を当てながら始祖の記述をの事を尋ねた。
その言葉に叔母さんはニヤ~と笑い、仁王立ちの態勢で禁書について語り出す。
「禁書ってのは始祖の直弟子達の一人が書いた手記なんだけどね、それによると始祖が従魔術を完成させた時の描写には『とうとう完成の時を見た。師匠の左手には燃え盛る炎の如き魔道の力が宿ったのだ』と記述されていたわ。てっきり魔導書によくある比喩表現だと思っていたけど、マー坊の赤い契約紋を見てその事を思い出したのよ」
「燃え盛る炎……」
僕は左手に浮かぶ赤い契約紋を見ながらそう零しす。
確かにその赤い光は確かに燃える炎に見えなくもない。
叔母さんが言っていたように、魔術師が記す文献にはこう言った比喩表現がよく出てくるので一概にそうだとは言えないけど。
元来魔法とは発動する力をイメージして呪文を行使する為、あえてそう言う概念的比喩表現が好んで用いられる場合が多いんだよね。
「そもそも、なぜこの手記が禁書とされ世に広まらなかったのか? それはね、始祖が残した言葉に予言とも取れる内容が含まれていたからなの」
「予言……? どんな事が書かれていたの? ……もしかして……新たな魔王が現れるとか?」
僕はさっきまで見ていた夢の事を思い出していた。
殆ど忘れちゃったけど夢の中の僕……? かどうか分からない、僕と同じ赤く光る契約紋の持ち主は人類の敵である魔王の軍団と戦っていた。
けど、その魔王は300年前の戦いで封印された魔王じゃない。
これもおかしな話だけど、復活した魔王は新しい魔王を『どっかの馬の骨』と言っていたような気がする……?
あの夢が正夢なんて事はある訳ないけど、何故か『予言』と言う言葉があの夢に出て来た新たなる魔王の出現を思い起こさせたんだ。
「んん? マー坊ッたらおかしな事を言うのね」
僕の言葉に叔母さんは片眉を上げて不思議そうな顔で僕を見ている。
あ、あれ? 僕の勘違い?
あ、あは、あはははは、そ、そうだよね。
あんな変な夢を見た所為でちょっと自意識過剰になってたみたい。
正夢なんてある訳無いなんて思っておきながらすっごい期待しちゃってたよ。
「どうしてそう思ったの?」
「え?」
突然叔母さんは声のトーンを下げてそう聞いて来た。
正夢だと勘違いして恥ずかしがってた僕は、その叔母さんの声にドキリとして言葉を失う。
「普通魔王に関する予言を連想する場合、大抵の者は『魔王の封印が解かれ復活する』って言うと思うの。だって魔王は倒されたんじゃなく始祖達に封印されたんだからね。けどマー坊は『新たな魔王』って言った。どうしてかしら?」
「い、いや、何となくそんな感じがして……」
思っていたのと違う叔母さんの言葉に、僕はしどろもどろになりながらそう答えた。
なんで叔母さんはこんな回りくどい質問をするんだろう?
違うなら違うと言ってくれたらいいのにな。
だって恥ずかしくて夢で見たなんて言えないもん。
「何となくか……。ふ~む。なるほどね~」
叔母さんは僕の回答になっていない回答に何故か納得して頷いている。
何に納得しているのか分からないや。
サンドさんも首を捻って叔母さんをただ見ていた。
ライアは退屈したのかな? 僕のズボンに掴まりながらコクリコクリと舟を漕いでいる。
このまま寝ちゃったら地面とごっつんこするんで抱っこしてあげた。
するとすぐに眠っちゃったよ。
ライアも色々有って疲れたんだろう。
取りあえずこのまま寝かせてあげようかな。
「あらライアちゃん寝ちゃったのね。こうして見ると本当に普通の女の子みたい」
考え事をしていた叔母さんがライアを抱っこして寝かせていた僕を見てそう言った。
死してなんだかライアの事を感慨深く見詰めている。
「え~とお姉さん。さっきから言ってる事の意味が分からないんだけど」
「ごめんなさいね、情報を一つ一つ頭の中で整理しているのよ。確信が持てたら話すわ。で、質問なんだけど、マー坊はライアちゃんと出会った洞窟には何回来た事がある? そしてその時のメンバーは毎回同じだった?」
叔母さんから新たな質問が来た。
洞窟に来た回数と一緒に来たメンバー?
え~と、ここに来たのは四回かな?
来たメンバーって言うと、そりゃグロウ達とだよ。
いや一回だけライアと二人で来たな。
と言っても、森には皆で来て薬草採取の自由行動中にだけど。
「四回だよ。メンバーはグロウ達さ。一回だけ自由行動中にライアと二人で来たけど」
「ふむふむ、ならグロウ達だけで洞窟に来たと言うのは彼らから聞いた事ある?」
「え? う~ん、無いと思うけど……。けどあいつ等って僕に内緒で追放を決めたりとかしていたし、話してくれなかっただけかも……」
僕がライアを探す途中でグロウ達と会った時も、なんだか僕が居ない事に慣れてる様子だったし、もしかしたら僕抜きで行動した事が有ったのかもしれない。
だから、四人だけでこの森に来て洞窟に行った可能性だって否定出来ないよ。
そう思うと、仲間外れにされたって思いでなんだか悲しくなってきた。
「ごめんなさい、悲しませるつもりじゃないのよ。ただ来た事が有るか知りたかっただけ。本当にごめんなさいね。けどね、もし彼らだけでこの森に来ていたとしても洞窟には来た事が無かったと思うわ」
「な、なんでそう思うの?」
「だって、この洞窟……いいえ、始祖が残した遺産に触れる資格が有ったのはマー坊だけって事よ」
叔母さんはウインクしながらそう言った。
そんなもの聞いた事も見た事も無いよ。
書庫にもそんな怪しげな本は無かったと思うけど……。
僕はドヤ顔している叔母さんに詰め寄った。
「うちの家系って高名なテイマーだったってのはマー坊も知っての通り。クロウリーの家名を興してから200年続く名門よ」
「うん、うちの家系がまだ従魔術師がテイマーって呼ばれる前から続いてるって事は母さんに教わったよ。けど、そんな禁書が有るなんてのは母さんから聞いた事なんて無いよ?」
母さんから教わった僕の家の歴史。
それは今から200年くらい前に遡る。
魔王ですら封印する程の強大な力を持つ従魔術師の存在を恐れた時の権力者達が、ある要求を従魔術師達に出したらしい。
それは従魔術の封印に関する事だった。
母さんが言うには、これは時の権力者だけの意向って訳でもなく、他の系統の魔法使い達がかつての魔王との戦い、所謂『人魔大戦』で失墜した自身の系統の地位向上の為に権力者達を唆したんだって。
自身の存在を否定される様なこんな理不尽な仕打ちをされて、よく従魔術師達の反乱が起こらなかったものだと後世では言われているけど、それは表向きの歴史書に載っていないだけ。
本当は『人魔大戦』の再来かと思われる程の戦いが歴史の裏で起こっていたんだと母さんから教わった。
秘められたその戦いの名は『従魔戦争』。
弾圧とも言うべき権力者の横暴に耐え兼ねた従魔術師達反乱軍と魔王を封印して手に入れたこの平和な世の存続を望む従魔術師達鎮圧軍。
鎮圧軍の中心となったのは従魔術の始祖の直弟子の子孫達で、始祖が従魔術を完成させた時に語った『この地に永劫なる平和を』と言う理念を受け継いでいた彼らは、平和な世を従魔術で壊そうとしている反乱軍を止めるべく立ち上がったとの事だ。
その戦いは現在は人も近寄らない『辺境界』と呼ばれるこの大陸の果てで行われた。
両者の力は凄まじく、山が消し飛び地形が変わり豊かな水を湛えていた湖が蒸発したと言われる程で、戦いによる傷跡は200年経った今でも『辺境界』の大地に刻まれている。
しかしその理由を知る者は今ではほとんど居ない。
なぜそれ程の戦いが歴史に残っていないかと言うと、それは極短期間で勝敗が決したかららしい。
勿論鎮圧軍の圧倒的勝利。
後に残ったのはテイマーと呼ばれる魔術系譜に属する職業と言う存在だけ。
反乱軍の結末や勝利した従魔術師側と権力者達との間にどの様な取り決めが有ったのかまでは僕も知らない。
母さんもそれ以上の事については『いずれ教えてあげるわ』って言うだけで話してくれなかったから。
だから僕もこの恐ろしい『従魔戦争』は歴史の闇に葬られ、従魔術は権力者によって封印されたって事までしか分からないんだ。
何故母さんがそんな事を知っているかと言うと、その鎮圧軍の中心メンバーである直弟子達の子孫の一人が僕のご先祖様ミッシェル=クロウリーってわけ。
そんな家系なんだから、そりゃ始祖の文献が残っていたとしてもおかしくは無いけど……。
禁書なんて物騒な存在は僕は知らないや。
どこに隠されていたんだろうか?
屋敷に開かずの間が有るってのは聞いた事が無いんだけど。
「そりゃそうよ。その禁書に目を通せるのは当主だけだもん」
叔母さんが自信満々な笑顔でそう言って来た。
……その理屈はおかしい。
だって叔母さんは当主じゃないじゃないか。
「ちょっと待って、どう言う事? なんで当主しか読む事出来ない物をお姉さんが知ってるの?」
「簡単な事よ。内緒で読んだからに決まってるじゃない。あんな馬鹿親父の言い付けなんてポイよポイ。世の中パレなきゃオールOKなんだから」
鼻息をふんすふんすと音を立てながら良い笑顔で僕を見てくる叔母さん。
オールOKじゃないよ! 完全アウトだよ!
この人無茶苦茶だ~!!
時々叔母さんが常識人なのか変人なのか分からない時が有るなぁ。
「ふぅ、もういいや……。それで、その禁書にはなんて書いてあったの?」
叔母さんの破天荒さに呆れた僕は、額に手を当てながら始祖の記述をの事を尋ねた。
その言葉に叔母さんはニヤ~と笑い、仁王立ちの態勢で禁書について語り出す。
「禁書ってのは始祖の直弟子達の一人が書いた手記なんだけどね、それによると始祖が従魔術を完成させた時の描写には『とうとう完成の時を見た。師匠の左手には燃え盛る炎の如き魔道の力が宿ったのだ』と記述されていたわ。てっきり魔導書によくある比喩表現だと思っていたけど、マー坊の赤い契約紋を見てその事を思い出したのよ」
「燃え盛る炎……」
僕は左手に浮かぶ赤い契約紋を見ながらそう零しす。
確かにその赤い光は確かに燃える炎に見えなくもない。
叔母さんが言っていたように、魔術師が記す文献にはこう言った比喩表現がよく出てくるので一概にそうだとは言えないけど。
元来魔法とは発動する力をイメージして呪文を行使する為、あえてそう言う概念的比喩表現が好んで用いられる場合が多いんだよね。
「そもそも、なぜこの手記が禁書とされ世に広まらなかったのか? それはね、始祖が残した言葉に予言とも取れる内容が含まれていたからなの」
「予言……? どんな事が書かれていたの? ……もしかして……新たな魔王が現れるとか?」
僕はさっきまで見ていた夢の事を思い出していた。
殆ど忘れちゃったけど夢の中の僕……? かどうか分からない、僕と同じ赤く光る契約紋の持ち主は人類の敵である魔王の軍団と戦っていた。
けど、その魔王は300年前の戦いで封印された魔王じゃない。
これもおかしな話だけど、復活した魔王は新しい魔王を『どっかの馬の骨』と言っていたような気がする……?
あの夢が正夢なんて事はある訳ないけど、何故か『予言』と言う言葉があの夢に出て来た新たなる魔王の出現を思い起こさせたんだ。
「んん? マー坊ッたらおかしな事を言うのね」
僕の言葉に叔母さんは片眉を上げて不思議そうな顔で僕を見ている。
あ、あれ? 僕の勘違い?
あ、あは、あはははは、そ、そうだよね。
あんな変な夢を見た所為でちょっと自意識過剰になってたみたい。
正夢なんてある訳無いなんて思っておきながらすっごい期待しちゃってたよ。
「どうしてそう思ったの?」
「え?」
突然叔母さんは声のトーンを下げてそう聞いて来た。
正夢だと勘違いして恥ずかしがってた僕は、その叔母さんの声にドキリとして言葉を失う。
「普通魔王に関する予言を連想する場合、大抵の者は『魔王の封印が解かれ復活する』って言うと思うの。だって魔王は倒されたんじゃなく始祖達に封印されたんだからね。けどマー坊は『新たな魔王』って言った。どうしてかしら?」
「い、いや、何となくそんな感じがして……」
思っていたのと違う叔母さんの言葉に、僕はしどろもどろになりながらそう答えた。
なんで叔母さんはこんな回りくどい質問をするんだろう?
違うなら違うと言ってくれたらいいのにな。
だって恥ずかしくて夢で見たなんて言えないもん。
「何となくか……。ふ~む。なるほどね~」
叔母さんは僕の回答になっていない回答に何故か納得して頷いている。
何に納得しているのか分からないや。
サンドさんも首を捻って叔母さんをただ見ていた。
ライアは退屈したのかな? 僕のズボンに掴まりながらコクリコクリと舟を漕いでいる。
このまま寝ちゃったら地面とごっつんこするんで抱っこしてあげた。
するとすぐに眠っちゃったよ。
ライアも色々有って疲れたんだろう。
取りあえずこのまま寝かせてあげようかな。
「あらライアちゃん寝ちゃったのね。こうして見ると本当に普通の女の子みたい」
考え事をしていた叔母さんがライアを抱っこして寝かせていた僕を見てそう言った。
死してなんだかライアの事を感慨深く見詰めている。
「え~とお姉さん。さっきから言ってる事の意味が分からないんだけど」
「ごめんなさいね、情報を一つ一つ頭の中で整理しているのよ。確信が持てたら話すわ。で、質問なんだけど、マー坊はライアちゃんと出会った洞窟には何回来た事がある? そしてその時のメンバーは毎回同じだった?」
叔母さんから新たな質問が来た。
洞窟に来た回数と一緒に来たメンバー?
え~と、ここに来たのは四回かな?
来たメンバーって言うと、そりゃグロウ達とだよ。
いや一回だけライアと二人で来たな。
と言っても、森には皆で来て薬草採取の自由行動中にだけど。
「四回だよ。メンバーはグロウ達さ。一回だけ自由行動中にライアと二人で来たけど」
「ふむふむ、ならグロウ達だけで洞窟に来たと言うのは彼らから聞いた事ある?」
「え? う~ん、無いと思うけど……。けどあいつ等って僕に内緒で追放を決めたりとかしていたし、話してくれなかっただけかも……」
僕がライアを探す途中でグロウ達と会った時も、なんだか僕が居ない事に慣れてる様子だったし、もしかしたら僕抜きで行動した事が有ったのかもしれない。
だから、四人だけでこの森に来て洞窟に行った可能性だって否定出来ないよ。
そう思うと、仲間外れにされたって思いでなんだか悲しくなってきた。
「ごめんなさい、悲しませるつもりじゃないのよ。ただ来た事が有るか知りたかっただけ。本当にごめんなさいね。けどね、もし彼らだけでこの森に来ていたとしても洞窟には来た事が無かったと思うわ」
「な、なんでそう思うの?」
「だって、この洞窟……いいえ、始祖が残した遺産に触れる資格が有ったのはマー坊だけって事よ」
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